4月12日は、山梨県は甲府市にて開催された「コミックチャレンジ山梨最終回」「東方甲州祭」にサークル参加させていただいた。
主催・アニメ倶楽部甲府は、元々は県内でオールジャンル同人誌即売会「コミックチャレンジ」を定期的に開催しているイベント主催団体。
「東方甲州祭」を立ち上げる事で、東方オンリーにも進出してきた構図だ。

オールジャンル「コミックチャレンジ」としては、数年前に当時150sp規模で定期開催を続けてきた「コミックワールド」の後継イベントとして名乗りを上げる事で、アイメッセ山梨で100sp規模の同人誌即売会を開始した。

しかしながら、アイメッセ山梨自体は会場が不便である。マイカーでの来場ならともかく、甲府駅からバスで40分、それも1日数便程度しか運行しておらず、アクセス面での難があった会場である事は否めない。
オールジャンル同人誌即売会は、一般的に、地元の若い子…主に高校生・大学生の来場の多いイベントであり、彼(女)らの多くはマイカーを持っていない。アクセス的に不便なこの会場は、敬遠されがちだ。
加えて、スタッフ人員も慢性的に不足しがちで、これに起因する運営面の齟齬も少なくなかった。
参加者の不満も募り、サークル数も減少傾向にあった。

そして止めを差したのは、一昨年、山梨交通のダイヤ改訂により実施され、アイメッセ行きバス路線の全廃である。
これにより、アイメッセ山梨に通ずる公共交通機関は無くなった。
参加者の足は益々遠のき、昨年秋に開催された「コミックチャレンジ」は、20sp台の規模にまで落ち込んだ。頑張れば300spは入れる会場、私が過去参加した時も100sp弱の規模だったはずなのだが…

ここに来て、主催も、「アイメッセ山梨」での開催終了を決断。
「東方甲州祭」も併催しての締めくくりとした。
私も、「アイメッセ山梨」最後のイベントという事で、サークル参加を決めた。
…とは言え、アイメッセ山梨への道のりは遠い。
以前来訪した時も、JR甲府駅から、バスで40分ぐらいは要している。
そして今回は、そのバスも存在しない。推奨ルートとしては、バスで山梨大医学部付属病院まで、もしくはJR身延線で国母駅まで出て、そこから【タクシー】(約1000〜1500円)との事だ。
金がもったいないわ!!!(ちゃぶ台ひっくり返す音)

検討の結果、JR身延線・小井川駅で下車。google mapによると、そこから大通りを1本道で、アイメッセに辿り着けるようだ。
ただ、その距離は、軽く3.5kmぐらいあるのだが…
結局小井川駅から徒歩50分を要し、開場時間ギリギリに会場到着。流石に、余りの遠さにうんざりした自分、帰りはタクシーに頼った…。

開場直前の初動列は約80人。その8割が男子で、東方目当てである事を伺わせる。
普段の「甲州祭」が50人前後の待機列なので、会場の遠いアイメッセでかえって増えている点が驚きだったり
。今回併催されている東方大手音楽サークル「幽閉サテライト」ミニライブの効果もあるのだろう。
サークル数は非常に寂しく、「山梨コミックチャレンジ」側は僅か9サークル…昨年秋から更に数字を落としており、アイメッセでこの即売会を営む事の厳しさを感じ取れた。

一方、「東方甲州祭」側は、10サークル15spぐらい。過去の甲州祭と比べても、微減程度の数字であり、まあまあ健闘している。
こちらは、「幽閉サテライト」及びそのお仲間の大手サークルが臨席している事もあり、これがサークル参加数を押し上げている。以前夕張で開催された「夕張まんがメロン祭り/東方嶺水祭」と似たような構図だ。
ただ、山梨県内のサークルが1サークルしか無く、それ以外の全てのサークルが遠征組である点が気がかりだ。
東方オンリーにおいても、リピーターになりやすいのは、遠征サークルよりも寧ろ県内・地元のサークルだ。
2009年に開催された「凱風快晴」以来、山梨における東方オンリーは、遠征サークル頼みのサークル集めという構図に変わりがない。数字上は安定しているようにも見えるが、地元率の少なさに不安定さを感じる。


過去の「東方甲州祭」や「山梨コミックチャレンジ」で散見し、今回も心配した「スタッフ不足」の懸念。
今回はコミックチャレンジ側で少なくとも5〜6人の要員を用意していた。
これに、併催されるミニライブのスタッフとして、「幽閉サテライト」側からも5〜6人程度は派兵。
両方合わせて10人以上。この数なら、30sp規模のイベントを何とか回して行ける。前回「甲州祭」で見られたスタッフ不足による運営の齟齬は、今回起こらずに済んだ模様だ。

(主催氏が、当サークルはじめ各サークルに挨拶回りする余裕もあったぐらいなので、運営は結構余裕があった方だと思う。普段のイベントからこれぐらいの余裕が持たせられれば、甲州祭はもっと良くなるのではないだろうか


「東方甲州祭」名物の「朱の鳥居」も、今回めでたく復活。
今回は、幽閉サテライトのライブステージに鎮座し、ステージの「背景」として活躍。
ただ、透明テープで補修された跡が著しく目立ち、経年劣化で傷んでいる雰囲気も。そろそろ、鳥居のリメイクが必要な頃合いなのかもしれない。

12時半過ぎより、幽閉サテライトのミニライブがスタート。
幽閉サテライトのライブも、前日の都内「幻想発掘祭」に比べ人出が多い。
やはり、回数を重ね「見飽きた」状態になっている首都圏よりも、少し距離を置いた地方都市の方が、反応は良さそうだ。
前日同様、音響面での気遣い・調整も図られ、頒布に大きな影響も及ぼす事無く済んだ。

ミニライブの終わったステージは、そのまま「コミックチャレンジ」名物「炎のジャンケン大会」の会場に転用。
今回は、幽閉サテライトのメンバーがDJ役を務め、盛り上がる。
「東方甲州祭」の併催に加え、幽閉サテライトの加入で、東方色が一気に強まった気配を感じる。

その一方、コスプレイヤーは東方勢が極めて少なかった。
進撃や刀剣乱舞、ボカロ、艦これ等、通常のオールジャンルと同じように、バラエティに富んだ様相だ。東方のコスプレイヤーは殆どお見かけしなかった。
コスプレ面においては 東方オンリー併催の影響は、殆ど見られなかった模様だ。


こうして、今回は「幽閉サテライト」の助力もあり、即売会は無事に回せた共に、来場者向上にも寄与できたと考える。
今回はそれで良かったと思う。
しかし、今後を考えると、(サークル数・参加者数・運営側の頭数など多方面にわたって)幽閉サテライトへの依存度が高く、その点が気がかりだ。

幽閉サテライトも、ライブが開催できる等メリットがあるからこそ、東方甲州祭に協力している。
しばらくは協力してくださるとは思うが、それがいつまで続くか。5年後かもしれないし、1年後かもしれない。そこまでは、私にも読めない。
ただ、即売会会場でライブをやっても、メリットが感じられなくなれば、幽閉サテライトも撤退するだろう。

幽閉が撤退すれば、サークルも減る。一般も減る。運営の人手も減るだろう。
現実として、「東方甲州祭」は、幽閉サテライトへの依存度が高過ぎる。この現実を、きっちり認識した方が良いだろう。
今のままでは、幽閉サテライトが仮に撤退したら、「東方甲州祭」は厳しい状況に追い込まれる。
もし今後も「東方甲州祭」を続けたいのであれば、いつかは来るであろう幽閉サテライトの撤退を見越して、二の矢となる活性化策を模索する必要がある、とも感じた。



もう一つ思った事としては、やはり「アイメッセ山梨」で開催する事の「無理筋さ」であろう。
確かに「アイメッセ山梨」は、数百sp規模の同人誌即売会が開催可能な「箱」。現に、21世紀初頭までは、「コミックワールド」が200sp規模で開催されていた。
皆、その時のイメージが強いらしく、デカい即売会を開こうとする主催は、皆アイメッセを目指していたと思う。
山梨の即売会主催には、一種の「アイメッセ信仰」が存在したと思う。

しかし、あの頃と現在では、時代が違う。
少子化が進み、主力参加層となる学生の数自体が減っている。それは、同人誌即売会の参加者数にも影響する。
たとえ即売会側に瑕疵が無くとも、自然に参加者数は減っていくものだと思う。相当の努力と工夫重ねて、ようやく現状を維持できるのではないかとすら思う。
アイメッセは、今の時代にそぐわない、「大きすぎる箱」なのだ。

しかも、元々アクセス面が貧弱・不便であったにもかかわらず、少ないバス路線も全廃。
主力参加層の学生は、車の運転ができない者も多く、会場に辿り着くまでのハードルは、各段に上がった。
正直、この会場で即売会を営み、戦うことなど最早不可能ではないかと思う。

今後は、「コミックチャレンジ」「東方甲州祭」共に、甲府駅前の図書館内イベントホール「かいぶらり」で開催との事。
駅から徒歩3分以内でアクセス便利。会場もきれいで新しい。中高生にも参加しやすい環境だ。
この会場で仕切り直しを図り、即売会を地道にコツコツ開催するという選択が、よりベターな選択かとお見受けする。
この会場で今後も続くであろう、「コミックチャレンジ」「東方甲州祭」のご健闘を、お祈り申し上げたい。