この日は、長崎県佐世保市の艦隊これくしょんオンリー「西海ノ暁」に、サークル参加させていただいた。

一時の爆発的なブームこそ落ち着いたものの、艦隊これくしょん人気は、今も尚健在だ。
アニメは(お察しください)なものの、サービス登録者数はついに300万を突破。アクティブユーザーも数十万規模が続いている。
同人誌即売会の世界を見ても、1月都内開催の「砲雷撃戦!よーい!」が600サークル以上を集め大混雑。2月に神戸で開催された「神戸かわさき造船これくしょん」も200サークルを集めるなど、まだまだ好調を維持している。

「西海ノ暁」は、九州を代表するイベントの一つとして定着した「大(9)州東方祭」のスタッフ関係者が立ち上げたオンリー。
一応大(9)州とは別組織扱いだが、大(9)州との協力・提携関係は密接だ。スタッフも大(9)州のスタッフの与力が多いし、カタログ編集等イベントノウハウも大(9)州で培われたものが活かされている。
聖地・佐世保で年1回ペースにて開催の他、小倉にて、「大(9)州東方祭」等が開催される複合イベント「大九州合同祭」内でも年2回ペースで開催されている。
「大九州合同祭」では50サークル前後で堅調に推移しているが、佐世保は「佐世保鎮守府」もある艦これの聖地。
聖地開催という事で参加モチベーションも高くなりがち、福岡開催よりも多くの参加サークルが集う傾向にあるようだ。
前回(2014年)の佐世保開催時は、80サークル程度が集ったが、今回はそれを更に倍増させた。

「西海ノ暁」全体では、実に145サークル。スペース数ベースでは、170spにも達した。
今回は、プチオンリーとして、時雨オンリー「時雨、佐世保に行くよ!」那珂オンリー「那珂ちゃんオンリーリサイタル」も併催。
那珂ちゃんオンリーは急な発表という事もありサークル数はそんな多くなかったが、時雨オンリーの方は、佐世保ご当地艦という事もあり、30サークル以上が集ったようだ。
福岡開催の「西海ノ暁」とは、集まり方が違う。流石聖地開催、である。

ちなみに、3つのイベントそれぞれ主催が居り(アフターで3主催それぞれが挨拶していた)、3イベントを統括した当日運営の責任者という形で、大(9)州東方祭主催のチャンコ増田氏が鎮座。そういう体制のようだ。(チャンコ氏には「総主催」という余りお聞きしない肩書が与えられていた)


佐世保の地に、これだけのサークルを集めた即売会も、過去中々無かったようだ。
会場の「アルカス佐世保」は、佐世保駅から徒歩3分。市街地ど真ん中で、アクセス便利な会場。佐世保の同人誌即売会においては「定番」ともいえる会場のようだ。

会場の3階は、通路を挟んで大・中・小3つの会議室の他、特別会議室と和室も設置されており、多様な部屋を兼ね備えている。
普段、佐世保の即売会は、10〜50spぐらいの規模なので、規模に応じ大会議室のみを使用したり、中会議室を使用したり、という感じで使用している。
しかし、今回は170spととんでもない規模。小会議室を企画部屋とし、中会議室・大会議室・特別会議室の3部屋をサークルスペースに充てる運用。和室もコスプレゾーンに充てるなど、3階の全ての部屋を借り、通路も「みなし館内」的に運用した。
地元の方にお話をお伺いしたが、(大・中・小各会議室の使用が通例のようで)特別会議室まで借りて行った即売会は過去無かったとの事。特別会議室まで駆り出さざるを得ないほどに、この即売会が多くのサークルに恵まれた事を示しているのだろう。

館外は、開場1時間前の朝9時半の時点で、長蛇の列。この時点で既に、200〜300人は並んでいた模様だ。…嫌な予感しか漂わないw
開場直前の段階では、推定500人は並んでおり、この即売会の「激戦」ぶりを感じさせる展開だ。

これだけの来場者を一度に入れる訳にもいかないので、段階的に入場制限をかけながら少しずつ入場させて対応したようだ。
本部からは、「ただいま二個中隊入場中」などという意味不明なアナウンスも聞こえてくるw
通路幅も決して広いとは言えず(もちろん今年1月の蒲田「砲雷撃戦!よーい!」よりは圧倒的にマシだがw)、常時人だかりができ大混雑。身動き取るのにも一苦労の状態。
開場から1時間半ぐらいは経って、ようやく落ち着き始めたといった所か。

参加サークルは、福岡から、そして全国各地からの遠征組が相当数だったが、地元長崎の方も少なくなかった。
島原半島のローカルネタなども聞こえてきた当たりで、自分が長崎にいる事を実感させてくれるw
参加年齢層は、20代の若手からアラフォーまで幅広く、老若男女問わず人気の高いこのジャンル・このゲームならではの光景か。ただ、男女比は9:1ぐらい、圧倒的に男性提督の方が多かった

企画としては、大(9)州系の即売会でおなじみとなっている「じゃんけん大会」「オークション」がアフターに行われた。
ポストカードのプレゼントや、駆逐艦オリジナルTシャツも好評だった。

また、「幸運クジ」と称した企画も実施。
他所の即売会では、サークルで作品を購入してシールをため記念品に引き換えられるという特典を用意し、サークルの作品購入を促す「シールラリー企画」が定番だが、これに似た企画だろう。
違いは、記念品の進呈が、記念品のくじ引きに変わった所だろう。
これも結構人気があったようで、記念品くじ引き所として運用されたた小会議室は列が絶えなかった


こうして大盛況の内に終わった、聖地・佐世保開催の「西海ノ暁」。
佐世保においては、異例・異質とも言える規模の参加者に恵まれ、大きなトラブルも無く終わった以上、間違いなく「成功」と言えるだろう。
来年も春を目途に、佐世保で開催方向との事。次回佐世保にも期待を寄せたいものである。

最後に、今回参加した中で、気になる点に触れておきたい。

気になるのは、聖地・佐世保開催と、普段の福岡開催との格差である。
普段の福岡開催50サークルも大したものだとは思うが、佐世保がこれだけ集まるならば、福岡ももう少し集められないものか?とも思う。
福岡開催の方をどうやって集めていくかが、課題の一つになるのではないか。


そしてもう一つ、聖地開催イベントとして、余り大きな特徴が見いだせない、という点。
単に、箱を用意して開催しただけに終わっているような気がして、少し物足りない。
いや、箱を用意するのも大変だし、そこに170spも集めるというだけでも充分凄いお話なのだが…

ただ、この「艦これ」というジャンルには、個性的な企画や趣向を凝らし、エッジを鋭く利かせた「砲雷撃戦!よーい!」というイベントがある。
同じジャンルにあれだけ個性的な聖地開催オンリーがある以上、どうしてもそっちと見比べてしまう。そうなると、特徴的にいささか弱くなるのは、否めない。
イベントとしての個性が弱いと、飽きられるのも早くなる。

「砲雷撃戦」は、主催団体「SDF」の代表が、豊饒なる発想力で、次から次へとユニークな企画を立ち上げ、耳目を集める「天才」だ。
それに対抗…するという訳でもないが、「西海ノ暁」側にも、SDF代表と同じぐらいいの発想力を持つ「天才」がいる。今の「大(9)州東方祭」を創り上げた、大(9)州主催でもあるチャンコ増田氏その人である。

チャンコ氏は、その豊饒な発想力で多くの新機軸を打ち立て、それを以て多くの人々に足を運ばせた。大(9)州を皆に愛されるイベントとして定着させた人物だ。
そのチャンコ氏が居ておきながら、「大(9)州」の時はあれだけ大暴れしておきながら、「西海ノ暁」での小じんまりとおさまった様は一体何なのか?
チャンコ氏の神通力が衰えたのか。それとも、本気を出してないのか。
後者であるのならば、チャンコ氏の発想力を活かし、「砲雷撃戦」に勝るとも劣らぬ、更なる個性化を図れないものか?とは思う。

SDFは、地元商工団体との提携を密にし、前夜祭パーティーやスタンプラリーを行うなど、聖地ならではの企画を充実させ、個性を出している。
「西海ノ暁」は、チャンコ氏ならではの発想力で、もう少し違った方向で個性を出せるのではないか?とも考える。