5月5日、東京ビッグサイト開催「コミティア」にサークル参加。
コミティアには、多くの方に足をお運びいただき、急きょ刊行した新刊も完売。
サークル冥利に尽きた、充実したひと時を過ごさせていただいた。

この日は、もう一つ注目すべき即売会が存在した。
東京ビッグサイトの東4〜6ホールを借りて開催された「コミティア」から見て、ガレリア(通路)を挟んだ先、東1〜3ホールにて開催された、刀剣乱舞オンリー「百刀繚乱」である。

本年初春、「艦隊これくしょん」をヒットさせたゲーム会社・DMMが、新たにサービスを開始したwebプラウザゲーム「刀剣乱舞」。
艦の擬人化が【刀の擬人化】に変わっただけで、ゲームシステムは艦これに類似。女性陣をターゲットとした艦これ風のゲームと言えようか。
「艦これ」での実績もあり、ゲームサービス開始と共に、大勢の「審神者」(艦これの「提督」に相当)が着任。瞬く間にブームとなる。

この状況に、同人誌即売会イベンター諸氏も黙ってはいない。
女性向けオンリーイベントの実績も豊富な、スタジオYOU・赤ブーブー通信社が名乗りを上げ、更にはケットコム・高天原・寒軍べくたぁ等、市井の有力主催も軒並み参入。
サービス開始から1週間もしない内に、刀剣乱舞オンリーも「群雄割拠」の時代を迎える事になるw

(サービス開始から1か月ちょいでオンリーが開催された「艦これ」の動きの早さも相当だが、刀剣乱舞の動きの早さは、艦これすらも余裕で凌駕している…どうしてこうなったw)
この「戦国時代」、3月上旬には、ほぼ雌雄が決した。
3月上旬、幕張でスタジオYOUの手によって開かれた刀剣乱舞オンリー「百刀繚乱」は、数百サークルを集める盛況。
この時点で、参加サークル数も、他のイベントに比べ群を抜いて上回っている。
各イベンター間の「合戦」は、「百刀繚乱」の圧勝と言えるだろう。

では、何故ここまで「百刀繚乱」が圧勝し得たか。他のイベンターも多数参入したにも関わらず、スタジオYOUの圧勝なのか。
理由は、3つほど挙げられるだろう。

一つは、3月上旬という、何処よりも早い日程を提示できた事。
人気が急激に膨張したジャンルは、参加者が作品に飢えている。できる限り早期にイベントを開催すればするほど、参加者が殺到し、成功を収める。
極論申し上げれば、いかに早い日程でイベントを開けるかが、成功を左右すると言っても過言ではない。

スタジオYOUは、年間契約で押さえ、既にオールジャンルや別オンリーを予定している会場が全国各地に数多くある。その中で、どこか刀剣乱舞オンリーを投入できそうな「箱」を見繕えば良い。
他所のイベント団体に比べ、最速日程で会場を用意しやすい、というアドバンテージが存在している。
実際、ケットコムも4月上旬に日程を出すなど頑張ったが、全国各地で毎週のように即売会を開催して会場も確保しているスタジオYOUの前にはかなわなかった。


二つ目は、スタジオYOUが「本気」を見せた事だ。
先行して3月幕張・5月ビッグサイトの開催を発表したが、その後も、間をおかずに怒涛の開催発表が続く。
5月に沖縄、6月に大阪・仙台・福岡。7月には名古屋・広島・札幌。8月には北九州・金沢。全国各地、怒涛の勢いでの開催を発表し続ける。
日本全国、刀剣乱舞のオンリーは自分達で仕切る。そう言わんばかりの勢いだ。
これも、日本全国各地でイベントを開催し、全国各地で箱をキープしている、スタジオYOUだからこそできる荒業だろう。

最後に三つ目、他ジャンルオンリーへの宣伝力が高かったことだ。
この「刀剣乱舞」というジャンル、実は他ジャンルからの移籍組が非常に多い。
このジャンルは、サービス開始から日も経っていないという事もあろうが、他所のジャンルで経験を積んだ「歴戦の女戦士」とも言うべき方が多数いらっしゃる。
東方Projectのように、「東方で同人始めた」という層は、少なくとも現時点においては、そう滅多に存在しない。(今後は分からないが)

すなわち、「他ジャンルでどれだけ告知できるか」という点がカギだが、この点でも、全国各地で様々なジャンルのオンリーを開催し続けている「スタジオYOU」に、一目の長がある。

以上3点、スタジオYOU圧勝の理由を申し上げたが、これらは皆、根底に共通した事象が存在する。
すなわち、【スタジオYOUが、全国各地で毎週のようにオンリーイベントを開催している】という事象だ。
毎週全国各地でイベントを開いているからこそ、そこで宣伝ができる。
イベントを開くために箱を前もって用意しているからこそ、早い日程でイベントを立ち上げられるし、刀剣乱舞オンリー怒涛の全国展開も可能なのだ。
刀剣乱舞オンリーにおけるスタジオYOUの「一人勝ち」は、スタジオYOUならではの「同人誌即売会全国展開」という「強み」が、最大限生かされたからではないだろうか?

これでは、他所のイベンターも、スタジオYOUに歯が立たない。
後は、スタジオYOUとは違った形で、女性向けに強みを持つ「赤ブーブー通信社」の動きに注意を払う必要はあるだろうが、事実上スタジオYOUの「一人勝ち」と言っても差し支えはないだろう。


だが、刀剣乱舞の勢いは、幕張の数百スペース程度では済まなかった。
3月時点ではサークル数こそ集ったものの、サービス開始から間もないため、作品の出来上がっていないサークルさんも少なからず。「5月が本番だ」との声も聞こえ始めた。
以後、5月「百刀繚乱」へのサークル申込は殺到。スタジオYOU側も、現在●サークル受付済、などとサイト上で煽るので、バスに乗り遅れるなとばかりに皆こぞって申し込む。
5月5日という日程は、地方在住者にとっても、巨大同人誌即売会「SUPER COMIC CITY」(スパコミ)の翌日という事で、スパコミ遠征のついでに参加ができる。そういう参加しやすい日程だったことも作用したと思う。

最終的には、サークル数4300余り。
これは、艦これオンリーの最大値を優に超え、東方Projectオンリー「博麗神社例大祭」に迫る規模だ。
元々は、スタジオYOU主催他オンリーとの合同開催を予定していたものの、この規模に膨れ上がった事を鑑み、ビッグサイト東1〜3ホールをあてがっての「単独開催」へと移行した。
(他オンリーは全て、東京ビッグサイトの西ホールで開催)


東京ビッグサイトに到着して、先ず最初に驚いたのは、東ホールに連なる長蛇の列。
一般参加者の列かと思いきや、これは全てサークルの待機列である。
4000サークルの来場すればこれだけの長蛇の列も不思議ではないが、それにしては列の捌けが悪すぎる。

それもその筈、これはスタジオYOU主催イベントの流儀だが、このイベントも、パンフレット全員購入制を取っている。
サークルゲートの所で、パンフレットを購入する分、ゲートの通過速度は明らかに下がる。これが、列の捌けの悪い大きな理由である。
普段の200sp300sp規模のオンリーなら、その方法でこなせたかもしれないが、今回は4000spの一大規模。200sp規模のオンリーと同じ運用では、流石に無理があったと思う。
パンフレットの購入場所を別に用意する。待機列にパンフレットを売りに来るなど、ゲート通過に要する「パンフレット購入」の時間をカットし、ゲートの通過速度を上げる工夫が求められると思う。


スタッフも熟練度が低く酷いもので、会場の構造すら把握していない方すらいらっしゃった。
(私も一般待機列の場所を聞いたら「2階に上がって下さい」などと意味不明の事を言われたw待機場所の駐車場は1階だろうがw)
そこも、列が滞留し混乱を来した一因となろう。

もっともこのジャンルは、他所のジャンルで経験を積んだ、「猛者」な移籍組が多い。
ジャンル者は全般的に、同人活動そのものに対しての熟練度も高い。ゆえに、列の並び方も、会場の構図も、イベントの流れもよく分かっている。
スタッフの覚束ない部分も、スタッフ以上に「慣れている」「分かっている」参加者がマナー良く動き、フォローしたという構図になると思う。


屋外の東駐車場は、一般参加者の待機場所として確保。
イベントカタログの売り場と、イベント公式アンソロ本の頒布も、待機列で行っている。
参加者も、並びながらアンソロ読んで楽しめるので、この頒布のやり方は上手いと感じた。
私も「コミティア」のサークル準備があったため、一般待機列の膨れ上がる様を最後まで見る事は出来なかったが、友人知己の話によると、「近年の例大祭クラス」との事。4000サークル集まるに相応しい、一般来場者に恵まれた模様だ。

東3ホールに4000サークルは詰め過ぎじゃないか、という指摘も見られたが、そもそも例大祭の「4ホール4000サークル」っていうのが余裕を取りまくった配置である。
これと比べると詰めているのは間違いないが、蓋を開けてみるとそんな激しい混雑には見舞われずに済んだと思う。
(それに、向かいコミティアの3ホール5000サークルよりは、全然マシでしょう)

ただ、これだけ集ったにもかかわらず、トイレ事情は劣悪。
東館・ガレリアのトイレは何処も、女子トイレのみ長蛇の列。
女性陣は男性に比べ、トイレの回転率がどうしても悪い。駐車場に仮設トイレを用意するなど、女性用トイレにおける環境改善の工夫を図っても良いのでは?とも感じた。


「コミティア」のサークル頒布活動がひと段落ついて辺りで、「百刀繚乱」に「遠征」する。
企業出店が全般的にぶっとばしている印象。どこぞの印刷会社は、社員(社長?)の刀剣コレクションを展示するという誰得企画をかますが、これに群がる一般参加者。皆こぞってスマホを向け写真に収めていた有様が印象的だった。
徳川美術館や刀剣博物館なども、このブームを機に刀剣に興味を持っていただこうと必死の売り込み。刀鍛冶の実演等も行われ、やはり大勢がスマホを向けていた。

サークルスペースは普通に賑わいを見せる。閑散ともせず、混み過ぎもせず、といった所。込み具合も、最近の例大祭ぐらい、という印象だ。
サークルも軒並み5月刊行の新刊を用意(今回が事実上初のオンリーだから当然と言えば当然か)。軒並み力作ぞろいで、私も数点購入させていただいた。
やっぱり、同人誌即売会は面白い。そう感じさせてくれる熱気の強さだった。

「刀剣乱舞」というジャンルはまだまだ始まったばかり。これからのジャンルだと思う。
配置図を見ても、「オールキャラ」分類のサークルさんが大半で、カップリング配置のサークルさんも多少はいたが、そんな多くは無い。今後、ジャンルの深耕に伴い、自然と細分化されていくのだろう。

ただ、勢いは相当だ。近年これほどの勢いや熱気のあるジャンルは、そう滅多に見ない。
今後もサークルさんの熱気で、ガンガン盛り上がっていただきたい。そう感じさせるジャンルであったと思う。