この日、東方界隈で一時代を築き、長い歴史を持つ東方オンリーが、静かに終焉の時を迎えた。

今から10年ぐらい前の、2005年〜2006年頃、東方ジャンルは急激にその勢力を拡大した。
だが、東方ジャンルの拡大に、イベント数は追いついていなかった。
オンリーイベントは「博麗神社例大祭」と「東方紅楼夢」ぐらいしか存在せず。東方界隈の同人者は、オンリーイベントに「飢えていた」側面があった。
そんな中、「イベントが少ないなら自分で立ち上げよう」「イベントを補完する」という思いから立ち上がった東方オンリーが、この「紅月ノ宴」である。

年1回のペースで開催されていた「紅月ノ宴」。
当初は、イベント数が少なかったという事情もあってか、200サークルだの300サークルだの集まった。
だが、時が経つにつれ、東方イベントは乱立傾向に。そして、東方ジャンルの拡大も収束し、緩やかな縮小基調に移る。
特に都内東方オンリーの地盤沈下は顕著で、同日に地方開催の東方オンリーとバッティングして地方のオンリーよりもサークル数が集まらない。首都圏在住のサークルが、都内を捨てて地方東方オンリーに足を運ぶ、なんて事態すら発生する。

「紅月ノ宴」の立ち上がり当初から、時勢は大きく移り変わってしまった。
当然、「紅月ノ宴」もこの例に漏れず、サークル数を落とすこととなってしまった。
加えて、主催氏もリアル生活が厳しく、即売会主催に時間を割けない状態が長らく続いた。
「紅月ノ宴」は、2012年5月開催を最後に、動きが途絶えてしまった。
ようやく復活したのは、2015年初春。
埼玉県川口市「川口フレンディア」での開催を発表する。
そして、今回を最後に「紅月ノ宴」は幕を閉じる、との事。

これまでの会場・都産業貿易センター浜松町館で取れなかったから仕方なく、という側面はあるにせよ、「埼玉県初」の東方オンリーでもある。
そして埼玉県は、私の「地元」でもある。
同日開催・艦これオンリー「砲雷撃戦!よーい!」等にも惹かれるものあれど、地元応援という部分を重んじ、私は、発表後即「紅月ノ宴」へのサークル参加を決断した。

…んで、決断したは良いが、日程発表後全く動きがない。
申し込みしたくとも、申し込めない状態が、長らく続いた。
やはり主催氏も、リアル生活の忙しさは変わらず。即売会の運営に、時間を割けないのか。
開催2か月を切った7月下旬になり、ようやくオンライン申し込みが始まった。

正直、この体たらくで、ましてや艦これオンリー「砲雷撃戦!よーい!」に流れたサークルも多い。サークルが集まるとは、全く思っていなかった。
サークル案内の発送だって、1週間前を切ってしまっている。だらしないと言えばだらしないし、青龍刀片手に主催を問い詰めたくなるレベルなのだが、これも、主催が即売会運営に時間を割けなくなっている事の証左と言えるだろうか。

それでも30サークル集ったのは、シルバーウイーク開催の9/19「すいかといっしょ」・9/21「東方季奏宴」に挟まれた日程による相乗効果が大きかったのではないかと考える。
すいか→紅月→季奏宴の流れで、遠征サークルを中心に即売会3連続参加、という方も少なからず。ついでに言えば、その翌日9/22の「諏訪風神祭」にも参加して、シルバーウイークの東方オンリー4連続参加も可能だ。
この流れに「紅月ノ宴」が乗れたからこそ、出足の遅さがあっても尚、遠征サークルを中心に、それなりのサークル数を集められたのだろう。


初動は20〜30人ぐらいで、そんな多くない。
人出もそれほどでもなく、会場内は終始、まったりムード。
参加者の年齢層としては、歴史ある東方オンリーだけに、全般的に年長組…古参の東方クラスタが多かったように映る。

艦これ組がハシゴでこっち来るんじゃないか?とも期待したが、よくよく考えてみれば、ビッグサイトから川口までは電車で1時間30分近くはかかる。ハシゴも難しい。
サークル側にしても、そんな多くの参加者も来ない事は容易に推察できる、そこは割り切って、のんびり構えているサークルが多かった。
私も、創業60年以上を誇る川口銘菓「太郎焼」を皆さんに振舞ったり、関係者と雑談したりしながら、のんびり過ごさせていただいた。


今回は、「最後の開催」という点を、強く意識した即売会であったと思う。
主催氏も、サークルへの挨拶回りと称し、昔話に花を咲かせていたw

会場内の半分は「展示スペース」として当てられ、ここには、過去開催された「紅月ノ宴」での落書きコーナーの「成果」が展示されていた。
昔を偲びつつ、落書きコーナーイラストのクオリティの高さに舌を巻いた。

また、過去のカタログや告知チラシも展示
主催氏曰く「一部どうしても見つからないのもあった」との事だが、過去を懐かしみ、思い出に浸ることができたのではないか。

過去の物品を展示する事で、昔を懐かしみつつ、「最後の開催」を締めくくろうとしたのだろう。

13時になると、過去の開催イベントで売れ残った記念品(の余剰分)を、特別大放出の特価販売。ここで、会場滞留者の殆どが多くが本部に殺到。「この機を逃すと二度と手に入らない」ということで、皆さん記念品に群がった。

即売会自体は、特に大きなトラブルもなく、15時に終了。
アフターイベントも、過去の記念品を景品として放出したじゃんけん大会。「終わり」を告げる即売会ならではの展開だった。


こうして無事、フィナーレを迎えた「紅月ノ宴」。
総じてみて、サークル募集・参加案内など事務作業の遅れが目立っていた。最後だし、そこはもう少し何とかして欲しかったものである。

その一方、過去の展示を用意したり、過去の記念品を提供したりといった企画は、「最後」だからこそできる重みのある企画。ラストを飾るにふさわしい企画であったとも言えるだろう。
我々参加者は、過去の遺物に触れながら、昔を懐かしみ思い出話に浸れる。
そういう部分を主催側も狙っていたのではないかと思うが、これらの企画を投入したことで、「有終の美」を飾ることに繋げられたと言えよう。

始まりあれば、終わりは必ずどこかでやって来る。
今回の「紅月ノ宴」は、その必ず来る「終わり」を、上手く締める事のできた即売会、と位置づけられたと思う。
そして、これまで足掛け9年間の頑張りに、労いの意を申し上げたい。