10月の3連休、最終日には京都の東方オンリー(「文々。新聞友の会」等)へのサークル参加を決めていた。
どうせ西方に遠征するのなら、他の地域・場所も廻ろう。そこで今回は、徳島のサブカルイベント「マチ★アソビ」に顔を出すこととした。
「マチ★アソビ」は、徳島の市街地を舞台・会場とするアニメサブカル総合イベント。回を重ねるごとに来場者も増加している、人気のイベントだ。
今回は、約8万人来場との公式発表もある。

毎年ゴールデンウイークと、10月の3連休の春・秋年2回開催。
これまでは他の即売会参加と被り参加を断念し続けてきたが、今回は上手くスケジュールがかみ合い、中日の10月11日に足を運んだ次第である。

アニメーション制作会社「ufotable」は、創業者・会長の近藤光氏が徳島県の出身という事もあり、2009年、徳島にも拠点となるスタジオを開設した。
拠点開設により、徳島での活動機会も増加。その中で、地元との協調の下、徳島をアニメで盛り上げようという意図があったようで、「マチ★アソビ」は立ち上がったようだ。
主催は、大人の事情か、開催回によりコロコロ変わるが、「アニメまつり実行委員会」名義での開催が多い。
ufotableがメインとなって動き、県や市、その外郭団体、加えて徳島新聞社等地元メディアもこれに加わる構図だ。
2012年から、ufotable・近藤会長を代表とするNPO法人「マチ★アソビ」が立ち上がり、これが主催に加わった。「マチ★アソビ」の運営をより円滑化するための法人化なのだろうが、ufotable主導の構図は変わらないだろう。
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「マチ★アソビ」の特色としては、市街地全体を「イベント会場」として活用しているところにある。
同人誌即売会やコスプレイベント等は、一つの建物、一つの箱でイベントを行う。
これに対し、「マチ★アソビ」では、市街地様々な個所で、物販ブースやステージ等が設置されている。「建物」という「点」を会場とするのではなく、「市街地全体」という「面」を会場としている点が、他所のイベントに見られない大きな特徴だろう。
町全体を回遊してもらう事により、街の活性化も狙っている、と考えられる。

徳島市街地の構成は極めて面白い。
名勝・眉山と、眉山へのロープウェイ駅も兼ねている「阿波踊り会館」が観光地として有名な、この徳島市。
市の玄関口・徳島駅と眉山の玄関口・阿波踊り会館とは、一本の道路でむすばれているが、実に数百メートルの距離しかない。
この道路の周辺に、商店街や河川沿いの公園が立地。これをイベント会場として活用しているのだ。
山と鉄道駅との間が1kmにも満たず、繁華街や河川もある。こんな地方都市、他に類を見ないのではないか。

ちなみにこの「市街地全体を会場とする」発想は、我々から見ると斬新だが、「阿波踊り」の影響を多分に受けていると思われる。
徳島市民なら知らぬ者のいない「阿波踊り」だが、これも、商店街や公園等を演舞場としている。市街地全体をイベント会場として活用する「阿波踊り」の思想が、意識か無意識かは知らぬが、「マチ★アソビ」にも生かされているのだろう。


徳島駅に到着した自分は、「マチ★アソビ」常連の友人の案内を受ける事となったが、駅で落ち合うまで少し時間があったので、駅そばの「ポッポ街商店街」を散策する。
ここも、「マチ★アソビ」会場の一つである。
ポッポ街商店街は、地元のアニメ関連ショップの老舗「南海ブックス」も入っているなど、オタク連中にとっても、比較的馴染みのある商店街。南海ブックスも当然のように「マチ★アソビ」合わせで、お店でのイベント・セールなどを実施していた。

他都市の例に漏れず、ドーナツ化現象により、市中心部の商店街は「シャッター通り」と化している。
「マチ★アソビ」は、これを逆手に取り、ポッポ街商店街の空きテナントを、企業出展ブース等に充てている。「ねんどろいど」でお馴染み「グッドスマイル」をはじめとした各企業の物販ブースや、コスプレ者の受付コーナーに加え、「Fate」「がっこうぐらし」等の原画展覧会も、これらの空きテナントを活用していた。

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ポッポ街に限らず、他の商店街の会場でも、空きテナントを積極的に活用している。
これも、「マチ★アソビ」の特色の一つと言えるだろう。


また、営業を続けている既存店舗にも、「マチ★アソビ」への参加意欲が見られる。
ブティック店は、お遍路を題材とした美少女キャラアニメ「おへんろ。」とコラボした垂れ幕を掲げている。

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駅近くのパチンコ店は、当初「マチ★アソビ」に便乗するかのように、期間中アニメ画のディスプレイでお店を彩っていただけだったが、最近は落書きコーナーを用意する等、より深い形での参加を模索している。
駅近くの豆腐屋は、豆乳アイスクリームも販売して人気のお店だが、コスプレイヤーは、写真を撮ってお店に飾る事を条件に、アイスを割引している。お店のディスプレイが華やかになり、Twitter等でも話題にしてもらいやすくなるよう狙っているようだ。

「マチ★アソビ」への参加様態は、各店様々。
売り上げ増を狙って知恵を絞り色々仕掛けるところもあれば、軽めに参加するところまで多様だが、これまで関心の無かったお店も、来場者の多さに何かせねば、と火が付いた所も少なからずありそうだ。
そして、何かしら仕掛けるお店が増えれば、それを来場者も見に来る。
お店の売上にも繋がるし、来場者の楽しみも増える。そういう構図となる。

ちなみに、「マチ★アソビ」運営側でも、お店に立ち寄って貰う仕掛けを実行している。
「グルメハント」と名付けたこの企画は、地元飲食店の協力を仰ぎ、協力店で飲食をするとスタンプを押して貰う。
ビンゴカードの形式になっており、スタンプが揃うと記念品を贈呈する、というやり方だ。
スタンプラリー・ウォークラリーにヒントを得ているのだろう。
「マチ★アソビ」来場者に、地域にお金を落としてもらうとともに、飲食店と運営との関わりも強めるという取り組みだ。但し、飲食店も参加費を求められるので、これに参加するかしないかは、各店舗次第だろう。


ポッポ街商店街を散策した後、友人と合流。
駅から眉山方向に向かうと、その途中で、橋を一つ渡る。
新町川という川を渡るが、その両岸の水辺の公園こそが、「マチ★アソビ」のメイン会場の一つである。
眉山方向に向かって右手「藍場浜公園」は、痛車展示会場として用意されてはいるが、こちらは10台程度しか止まっておらず、物足りないものがある。どうやら、眉山の会場に多くの痛車が集っているようだが、これは後で行くとしよう。

そして眉山方向に向かって左手の「しんまちボードウォーク」こそが、メインになろうか。
簡易ステージでは、入れ替わり立ち替わりで、朝から晩までスケジュール目白押し。声優のトークショーだったり、業界関係者のトークショーだったり、抽選会だったり。常に人の渦が出来上がっていた。
川沿いには、企業出展のパラソルショップが立ち並ぶ。完全に屋外で、パラソルだけでは防水機能にも乏しく…雨降らなくて良かったな、うん。

ufotable等のアニメ制作プロダクション、徳島新聞社、アニメイト…様々な企業が、川沿いに露店を連ねていた。
売り物も、DVDだったり「マチ★アソビ」向けにコラボして用意した地元名産品のお土産だったり。各社工夫を凝らしていた。
コスプレスペースも併設されており、老若男女問わず多様なコス。男性陣より女性陣の方が多かった印象だ。

この会場では、突発的に原画家のサイン会が行われたり、アイドル声優の撮影があったり、当日足を運ばないと得られない「サプライズ」も盛りだくさんである。
全体的に、声優さんや業界人との距離が近く、身近に触れ合える印象だ。

私にとっての「サプライズ」は、友人がわざわざ並んで整理券を取ってきてくれた、「アニメ店長×東方Project」上映会
東方Projectの「アニメ」というのも珍しいし、アニメ店長とのコラボ、というのも余計に珍しい。アニメイト一部店頭で短期間だけ流されたものらしく、「幻」に近い存在だ。

会場の「unfotable CINEMA」は、東新町1丁目商店街…所謂アーケード街の中にある。「しんまちボードォーク」から、眉山寄りに100mぐらいか。
このアーケード街も、空きテナントを用いて、原画展やらゲーム大会やら、各企業が色々出店していた。
そして、もはや徳島名物と化した、TYPE−MOON阿波踊りコラボの巨大幕も掲げられている。

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「unfotable CINEMA」は、ufotable直営のアニメ専門映画館。地下1階が「アニメイト徳島店」という立地も素敵であるw
ここもメイン会場の一つで、朝から真夜中に至るまで、様々なアニメ映画を、入れ替わり立ち替わり放し続けていた。
私が観賞した「アニメ店長×東方Project」だが、アニメ店長が幻想郷に迷い込み、また幻想郷の面々が現世に迷い込む展開。我々の多くが抱く東方の世界観を壊さず、秀麗に仕上げられていた、という印象。
ufotableの近藤代表自らお越しいただき、聴衆の意見を聞いたり、裏話をされたり。多くは話せないが、製作側は相当東方を熟知しているスタッフのようで、世界観が崩れずに仕上がるのも納得の出来。今後の展開にも注目していきたいところである。

最後に、眉山のメイン会場に向かう。「unfotable CINEMA」から100m歩くと、眉山へのロープウェイの、山麓駅だ。
山麓駅は、阿波おどり会館も併設。阿波おどりの展示が豊富な資料館だが、この日はTYPE-MOON一色。2階に特設の「TYPE-MOON」グッズショップが開設されていたほど。

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そしてロープウェイは、なんと1時間半待ち!元の輸送量が少なく、キャパシティオーバーの模様。我々は仕方なく、山麓駅に臨時に設置された、シャトルバスで眉山山頂へ。

眉山山頂駅近くで、我々は無理やり降ろされる。そこから歩け、という事らしい。
どうやら山頂には、バスの切り返しが出来る所も無いようで、手前で降ろされるとの事。
ふえ?山頂なら駐車場もあるからそこで切り返しできるでしょ?と疑問に思うも、歩いて10分、眉山会場に着いてその謎は氷解した。
眉山の駐車場は全て、巨大なステージと、多数の観客席。そして、痛車軍団で埋め尽くされ、シャトルバスの入り込む余地など無いw

眉山山頂の駐車場をフル活用した、眉山会場。「マチ★アソビ」各会場中最も巨大なステージと観客席を擁し、人の入りも相当。
ここで、開会式や閉会式等のセレモニーも行われるし、声優・芸能人のライブも行われる。
ある意味ここが、一番のメインかもしれない。
多数の屋台が林立し、私も「鯖缶クレープ」なる珍妙なスイーツを賞味したり、会場周辺を一周して楽しむ。

帰りはロープウェイを利用。山頂駅には「東方Project×阿波踊り」のポスターも掲示され、記念に写真に収めるw
ロープウェイに乗ると、声優さんによるガイダンス。これも、「マチ★アソビ」ならではの趣向だ。

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こうして「マチ★アソビ」を一通り巡った自分だが、このイベント、間違いなく「楽しかった」と断言できるイベントであった。
そう感じる人が多いからこそ、回を重ねるごとに参加者が集い、町おこしにも繋がってくるのだろうが…では、何が「楽しかった」のかとなると、言葉にはし辛い。不思議なものがある。

ざっと思いつく限り箇条書きにすると…

・空きテナント等、町の各所でオタク関連の様々な業者が出店しており、趣向を凝らした仕掛けも多数
・オタクと縁の薄そうな、普通の個人商店も、このイベントへの参加意欲が高く、色々趣向を凝らした仕掛けを行う
・仕掛けが余りにも多く、どこに何が仕込まれているか分からないから、ワクワク感もある。町を歩くだけで、新たな出会いや発見が期待できる
・特定のコンテンツに偏っていない分、知ってる作品が一つでもあれば楽しめるし、知ってる作品が多ければ多いほどより楽しみも倍加


こんな所だろうか。

しかしこれも、あくまで1回参加してみての感想に過ぎない。
別の機会に参加すれば、まだ違った「気づき」や「感想」も出てくるのではないだろうか。。
毎回毎回、出展されるコンテンツは入れ替わるし、二度三度参加してみる事で、1回目とは違った「楽しみ」を発見できるような気がする。

実際に足を運び、町を歩き、五感で体感する事により得られる「楽しさ」…それこそが、「マチ★アソビ」の楽しさの「本質」なのかもしれない。
「マチ★アソビ」の魅力については、冬コミ刊行予定新刊「コンテンツツーリズム取組事例集」にて、より深く掘り下げて行きたいとも考えている。