1月31日は、九州を代表する東方オンリーに育った「大(9)州東方祭」を母体とする同人誌即売会「大九州合同祭」にサークル参加させていただいた。
北九州市・小倉駅近辺の「西日本総合展示場」を会場に、元々「大(9)州東方祭」として数百sp規模の東方オンリーを開催していたが、一昨年より他ジャンルオンリーも併催し、多ジャンル合同形式での開催となった。
(当初は「福岡合同祭」名義、のちに「大九州合同祭」名義に変更)

主催氏は、元々オールジャンル同人誌即売会の開催(オールジャンル同人誌即売会「Comic Stream」の開催協力)や、東方以外の男性向けオンリーの開催(「都久志祭」開催協力)にも関心が高かった。
加えて、艦これジャンルが、東方からの転向者を吸呑し、急激な勢力伸長を見せていた頃で、これの受け皿になる事も志向していた。
「大(9)州東方祭」を母体としつつも、様々なオンリーを集合させた「大九州合同祭」の開催に転換した「背景」になると思う。

今回は、以下各イベントの合同開催形式だ。
東方projectオンリー「大州東方祭12」
艦これオンリー「西海ノ暁」
アイドル系イベント「アイドリルティング♪バーティ」
オールジャンル同人誌即売会「Comic Stream#06」
造形イベント「TAKUMI ビルダーズフェスティバル3」
ハンドクラフトイベント「手功座-tincarnival-」
プリキュアオンリー「キュア☆コン2」
川上稔作品オンリー「外道求道会1」
ジョジョの奇妙な冒険オンリー「LoadToHeaven」

この他、長崎で定期的に開催している「西方の東方読書会」が小倉に出張開催したり、ステージイベント「(9)-BASE」が併催されたり、レトロゲームフリープレーコーナーに鉄道模型運転会、模型企画、カードゲーム…もう何が何だか分からないw
「大(9)州東方祭」時点でも色々企画を盛り込みまくって相当「カオス」なのだが、「合同祭」は東方というジャンルに縛られない。ジャンルの垣根を超えた「何でもあり」な展開で、カオス度が明らかに増強した。
このカオス度の上昇こそが、この即売会の良い点でもあり、課題ともなる点である。

参加サークルは600sp程度だろうか。
だが、カタログや配置図を見る限り、どこにどのジャンルが、何サークル配置されているのか全く見えてこない。(これが結構問題視している部分でもあるのだが、詳細は後述する)
とりあえず、全体の7割が「大(9)州東方祭」。1割ちょいが艦これオンリー「西海の暁」。残り2割がその他のオンリー…だと思う。
東方・艦これ以外の各オンリーは、おおよそ10サークル前後の参加だ。
これらを全てひっくるめての開催という事で、600sp規模。九州屈指の規模を誇る即売会と化している。
参加者数も、トータル4000人なので、2年前(の「大(9)州東方祭」単独開催時代)に参加した時とほぼ一緒だ。2年前との違いは、艦これオンリーを併催した事で「提督」が増えていることぐらいで、賑わいぶりに変わりはない。

以前と変わった点としては、企業出展や物販が充実ぶりが極まった所だろうか。
大(9)州時代から好評だった「萌え弁」は今回も出店。定番の「みすちーのかしわ飯」の他に、節分に因み萃香の「恵方巻」も。私は「魔理沙のきのこ弁当」を味わう。

きのおこ

会場外にも、「麺処弁天」が大きな屋台をこさえて出展。ホルモンうどんや唐揚げ・豚足等のB級グルメを多数提供していた。
伊吹萃香のパッケージをあしらった萌え焼酎「伊吹瓢」を提供する久保商店も出店。他にも、萌酒を扱うお店や、キャラグッズのくじ引き屋、「とらのあな」等の同人ショップも出店しており、ボリュームが増している。
更には、ジョジョオンリー開催に合わせ、ジョジョをテーマにしたカクテルバーも登場。これがあるから、今回試験的に飲酒解禁としたのだろう。

企画群では模型展示もあるし、レトロゲームにTRPG・麻雀・カードゲーム等トフリープレイが楽しめる。
特にレトロゲームは、【PC-9801】をわざわざ用意し、東方旧作が遊べるようになった。東方のフリープレイコーナーを用意するイベントは多々あれ、旧作まで用意したイベントは極めて稀だろう。

そしてもう一つ、会場内には「(9)-BASE」というステージイベントも併設。
内容としてはクラブイベントそのもので、様々なユニットが出演し、歌やダンス等様々なパフォーマンスを繰り広げる。
流石に即売会会場内のステージイベントは、音響がうるさくサークルスペースの頒布に妨げとなる事も心配だったが、音量を絞っていたので問題はなかったと思う。

(いや、「大(9)州東方祭」でもステージイベントを会場で行う時の音量の問題、さんざん口酸っぱく言ってたし、うるさすぎて不評だった事もあったから、そこは過去の経験も踏まえ、配慮いただけたのだろう)

ただ、閉会前最後の30分、ステージが盛り上がり過ぎてサークルスペースに人の来ない、という現象は発生したがw …まあ、最後の30分ぐらいだけなら、仕方ないか。


とこんな感じで、何が何だか分からない状態ではあるものの、だからこそ、色々見どころ盛りだくさんの「大九州合同祭」であった。
勿論、見どころ盛り沢山なのは「長所」なのだが、同時に、ウィークポイントでもあるとと思う。

先ず、余りの見どころの多さ故「消化しきれない」感がある。
10時30分開場・14時30分閉会、実質4時間弱のスケジュールだが、全て味わおうとすると、特にこれといった予定の無い一般参加者じゃないと難しい。
私はサークルなので、元々時間が取れはしない身。だからこそ感じる部分なのだが、せっかくの「楽しみ」を味わうには時間が足りない。スケジュールの都合上困難なのかもしれないが、せめてあと30分、開会時間を伸ばしてもらえないか。そうすれば、もう少し「大九州」の見どころを味わえるに…とは思った。
ここは個人的な希望も交えての部分なので、受け止め方も軽めで良い。

もう一つ、こちらは重く受け止めていただきたい内容だ。
この「大九州合同祭」に参加して感じたのだが、雑多な雰囲気が漂い、オンリーイベントに参加しているという実感が全く沸かないのだ。こんなの、初めてだ。
何が何だか分からないぐらいに「見どころ盛り沢山」なのはこのイベントの特徴だと思うが、それゆえにだろうか。参加しても、オンリーイベント「らしさ」が殆ど感じ取れない。周りを多数の東方サークルに囲まれた配置であるにも関わらず、である。
いや、これがオールジャンルなら分からないでもないが、一応これ、「オンリーイベント」なので…

とは言え、多ジャンル合同開催形式のイベントは他所の即売会でも腐るほどあるし、昨今では主流になりつつあると思うが、一応オンリーイベントに参加している実感は得られている。
この「大九州」だけが、何故かその実感を、得られないのだ。

他所の合同開催イベントでも共通して言える事だが、色々なジャンルを混ぜ合わせる関係上、「オンリーイベント」っぽい雰囲気は薄まってしまう。
元々オンリーイベントは、そのジャンルの人々「だけ」が集まるイベント。ジャンル者「のみ」が集う事で醸成される雰囲気。そこに付加価値が見出せる。
合同開催イベントは、その雰囲気が弱まり、オンリーイベントとしての価値が低下する。だからこそ、如何にして「オンリーイベントといての雰囲気を出せるか?」が課題になるのである。

他所の合同開催イベントでは、ケットコム主催の「スキマフェスティバル」辺りが非常に上手いのだが(参考リンク)、イベント内の各ジャンルオンリー単位で、「島」を構成させる。
1つの島に、1つのプチオンリーとなるような仕組みである。
1つの島で収まるだけのサークルが集まらなかった場合は、複数イベントで1つの島を構成させれば良い。

スキマフェスティバルでは、島ごとに各プチオンリーのバナーやら告知イラストやらを柱に貼った。柱の無い会場では、2m以上の背の高いポスタースタンドを用い、これらを吊り下げた
そうする事で、「この島ではこのオンリーを開催しているんだ」というメッセージになり、ささやかながらもオンリーイベントとしての一体感を演出できる。

(最近では、昨年11月広島で開催した「コミックユートピア」がそんな感じだった。主催氏自ら足を運んでいるから分かるとは思うが、あのイベントも、各ジャンルを島で区切っていた。)

「大九州」は、島ごとの配置でも無ければ、このイベントをここでやっている!的なメッセージ性も無い。
どのジャンルがどこでやっているか分かりにくく不親切なばかりか、オンリーイベントらしい雰囲気も損ねているのだ。
告知イラストを島札に起用するとか、背の高いスタンドで吊るすとかして、「会場内にて」このジャンルはここでやっている!というメッセージを出した方が良いだろう。そうしないと、「大九州合同祭」独特のカオスな雰囲気に呑まれ、オンリーイベント的雰囲気が全く出せずに終わってしまう。


カタログにも、工夫が必要だ。
これはとある合同開催イベントの配置図だが、イベント内各プチオンリーの配置を、網掛け等を通じ分かりやすく、かつ細やかに示している。

配置図の良い例

「大九州」にはそれが見られないので、どこで何のオンリーがやっているかが分かりにくい。
大九州のカタログはオールカラーなのだから、各オンリーの配置を網掛けじゃなく、色分けで分かりやすく示せると思うのだが…


サークルカットの並べ方も、もう少し工夫が必要だ。
大九州は、オールジャンルのごとくカットを並べるだけだが、他所の合同開催オンリーは、各プチオンリー毎にページを分けて表示している。
各プチオンリーの告知イラストを扉絵的に1ページ掲載し、その次のページからカットを並べる構成が多い。サークル数の集まりが少ない所は、告知イラスト+サークルカットで1ページを取るような構成の工夫を図っている。
そんな事するとページ数が嵩み印刷費も高くなる、とのお叱りもいただきそうだが、今のままでは不親切の極みだ。多ジャンル合同開催形式の道を選ぶのなら、それぐらいの工夫は図っても良いのではないか。


今の「大九州」は、多くのジャンルを巻き込んだ「お祭り」を志向している。それはそれで分かる。一つの方向性だ。
だが、各ジャンルがどこでやっているのか。会場内を見ても、カタログを見ても、殆ど示されておらず、不親切だ。色々なジャンルを詰め込んでの「オールジャンル即売会」っぽい雰囲気ではあるものの、オンリーイベント的な雰囲気を見出すことは極めて難しい。

「大(9)州東方祭」の参加サークル数は、最近減少基調だ(これは東方ジャンル全体の減少傾向でもあるが)。
「大(9)州」の減りを穴埋めする役割が期待できる、艦これオンリー「西海の暁」等他ジャンルのオンリーも、皆伸び悩んでいる。「西海の暁」も、佐世保・単独開催の盛況ぶりとは対称的に、小倉では伸び悩んでいる。
これは、今の合同開催形式にする事で、オンリーイベント「ならでは」の雰囲気が欠け、オンリーイベントとしての付加価値が薄まった事とも無縁ではない。

合同開催である以上、どうしてもオンリーイベント的雰囲気は薄くなるが、配置の工夫、カタログの工夫、当日会場内のディスプレイの工夫。まだまだ改善すべき余地は非常に多い。
是非、今回指摘したウイークポイントの改善を、心掛けていただきたい。
それが為されれば、親切設計のイベントになるし、そして何より、オンリーイベントとしての「雰囲気づくり」にも繋がる筈である。