また、遠征参加が大変そうな「聖地」で艦これオンリーが開催された。
鹿児島県鹿屋市は、現在も自衛隊の鹿屋基地が置かれているが、戦中も海軍基地が置かれており、それが由来となり「艦隊これくしょん」のサーバー名にもなっている。
当然、艦これ「聖地」という扱いになる。

昨今の傾向からすると、そういう艦これの「聖地」的なスポットで、艦これオンリーの同人誌即売会が開催されるのもよくある傾向。
という事で、この鹿屋で艦これオンリー開催と相成った。

とは言え、鹿屋は遠い。自衛隊もあるので定住人口もそこそこ多く、若者も比較的多い。大隅半島随一の10万都市という触れ込みだが、なにぶんアクセスに難がある。
県都・鹿児島からはバスで約1時間半。鹿児島空港からも、バスで1時間半。昔は鉄道も走っていたが、旧国鉄の再建過程で廃線に。中々、アクセスに難儀する「陸の孤島」である。
…でも待てよ、最寄りの空港まで電車使って3〜4時間かかる高知の宿毛湾よりはマシだよね。宿毛より全然難易度低いじゃないの!w
もはや宿毛湾までクリアしたこの私にとって、鹿屋なんぞ近い!近い!

…という訳で、関東の自宅から、片道6時間余りをかけて、私は鹿屋に足を運んだ。
(参考・宿毛は片道10時間
さて、艦これオンリーの聖地開催と言えば、SDF主催「砲雷撃戦!よーい!」が有名だ。
SDF「砲雷撃戦」は、大湊や舞鶴に見られるように、地元の商工業者と派手にコラボして名物料理を振舞う等、参加者の舌と胃袋を攻める傾向にある。
また、地元の観光関連業者とも提携し、スタンプラリー等街歩き・史跡巡り的な企画も盛り込みつつ、コンテンツツーリズムの実践にも取り組んでいる。
SDFの聖地開催は、参加者の満足度向上と地域活性化と目指す取組として、私も含め多くの参加者により支持されていると思う。

しかし、SDFのやり方が、聖地開催即売会においての「絶対」ではない。「全て」ではない。
(そもそもSDFのやり方は、事前の根回しや仕込みも必要であり手間もかかるから、皆が真似出来るわけでもない)
もっと違ったアプローチの仕方もあって、然るべきだとも思っていた。


今回鹿屋開催の「か之これ!」は、艦これオンリーにしては珍しいが、SDFの主催ではない。
鹿児島・宮崎にルーツを持つ即売会主催経験者の方が、知己の地元主催に艦これオンリーやってみないかと声を掛けてみたが色よい返事が無く、結局自分が音頭を取る事になった、という経緯らしい。
昨今の鹿屋市は、10年ぶりに同人誌即売会が開催されたり、市側がサブカルイベント「りなかる!」「アイドル進化論。」(アニソンライブ・痛車展示会・コスプレイベント等)開催を通じての町おこしに挑む等、この手の取組の盛んな土地柄。そういう流れに乗っての「か之これ!」開催、という見方もできるだろう。

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(会場「リナシティかのや」内の光景)

とは言え、人も違えば、即売会の開催の仕方も違ってくる。
聖地開催即売会としてのアプローチも、これまでのSDF的なやり方とは違った角度から攻めている。
「か之これ!」は、SDFの「砲雷撃戦」とは違ったアプローチで、違った面白さを生み出した艦これオンリ―、とも言えるだろう。

例えば、会場内で挑める企画として、クロスワードパズルを用意した。
主催氏が南九州(鹿児島・宮崎)に縁の深い「地元民」だからこそできる芸当なのだろうが、「ぐーぐる先生に訊かない前提でも南九州人なら8割以上解ける。九州外の人だと2割も解けない」という触れ込みのご当地クロスワード。答えを調べる事を通じ、南九州の事を知ってもらえればという狙いも込められている。
九州外の自分にとって難易度は確かに高かったが、キーワードに繋がる質問の難易度だけが低めに調整されているので、九州外の人間でも何とか回答に辿りつけそう、と言ったところか?
ちなみ、キーワードが回答できれば、記念品を貰える仕組みになっている。

スタンプラリー企画も、独自の工夫が込められている。
鹿屋市内の観光を促す目的だが、各観光地に元々備え付けられている「記念スタンプ」をイベントパンフに押してもらい、押したスタンプの数(訪問観光地数)に応じ記念品を贈呈、というやり方だ。
観光地常備の既存スタンプを活用するため、訪問スポット側の受入負担も無いし、大がかりな根回しの必要もない。主催・観光地とも手間をかけず、スタンプラリーができるよう工夫している点がポイントだ。
「砲雷撃戦」のように大がかりにしなくとも、アイディア一つで低コストにスタンプラリーが楽しめるよう設定している点は、他所の即売会にとっても参考になるし、模倣もし易いだろう。

イベントパンフも、観光地への路線バス時刻表を掲載する等、公共交通機関利用組でもスタンプラリーをこなせるよう配慮。
また、同人店舗での前売りを行う事で、開催当日に会場外に出なくても済むよう(開催前日までにスタンプラリーをこなせるよう)工夫を図った
九州では、イベントパンフの前売りは余り定着しておらず(大九州合同祭・コミックシティは例外中の例外)、「か之これ!」の前売りは異例の展開。
九州では馴染みの薄い筈の前売りを敢えて行ったのも、スタンプラリーを奨励するためなのだろう。

この他、サークル向けに南九州由来艦の同人誌を刊行すれば記念品、コスプレイヤー向けに南九州由来艦のコスをすれば記念品…と鹿屋開催だけに南九州推しが目立つが、まあこの辺りは、主催の趣味だろうw
いずれにせよ、SDFとは違ったアプローチでの「聖地開催」を目指し、色々と工夫を図っており、独自性も出せている。この点は押さえておきたい。


逆に、残念だったのは、オンライン申し込みの不備であろう。
全国各地の艦これオンリーや九州島内イベントで配布された告知チラシには、オンラインで受け付けると書いてあったのだが、いざサイトに行ってみると、オンライン申し込みフォームが置かれていない。申込書のPDFファイルが、置いてあるだけだ。
結局自分の場合は、PDFファイルを編集してデータを送信するのも面倒なんで、印刷して手書きで申込書を記入。郵送で申し込む事に。…どこがオンラインやねん。

せめて、サークルカットテンプレートと、申込フォームが置いてないと、オンライン申し込みとは言えないだろうに。
自前で用意するか、それが出来なければ大九州合同祭の申込システム「PEXACES」を使わせて貰う「PEXACES」は自分達以外のイベントでの利用も歓迎している)とかして、オンライン申し込みの体制を整えてほしかったものだ。
他の艦これオンリーは、WEB上でのフォームが用意しているため、申込もしやすいし、皆それに慣れている。サークルから見て「不便」であった事は否めない。

今回の参加サークルは22サークル(40sp)。
聖地開催にしては少なめだが、九州最南端というロケーション・アクセスの問題に加え、この申し込みの不便さも作用していると思われる。


ちなみに、サークルの内訳を見ると、南九州(鹿児島・宮崎)といった「地元勢」・それ以外の九州勢(福岡など)・九州島外で、ほぼ均等に三分されている。
頒布物傾向としては、同人誌のサークルもそれなりに多かったが、グッズ類中心のサークルも相当目立って見えた。地元民のグッズ類は手作りのアクセサリー中心なのに対し、遠征組のグッズ類は大物も少なくない。

一般参加者は、初動50人ぐらいと流石に少なめだが、人の入れ替わりもあったようで、最終的には200〜300人は来たと思われる。
13時過ぎると、聖地巡礼に出る人もあってか、少し人出は落ち着くが、それでも会場内は常時人の往来が。
参加者層を見ると、南九州(宮崎・鹿児島)からの地元組が多いのは、もちろんのこと。加えて、九州の艦これオンリー「西海の暁」でお見掛けする方々が多い、と同イベント関係者からの談も聞く。
年齢層的には、ゲームの性質上(提督就任可能年齢は18歳以上)若い世代が少なく、年長者が多い。これも艦これオンリー、いつものパターンか。

企業出店としては、福岡天神のコスプレショップ「ぱるふぇ」の他は、鹿屋の地元勢が占めていた。
印刷会社「プリントガーデン」は、鹿屋に本社を構える同人印刷所。艦これ風の「新艦あります」なるミニのぼりを私も購入したw
「WonderGoo」も鹿屋にお店を持っており、このイベントに出店し、キャラグッズ等を販売。このお店、大隅半島唯一と言っても良いキャラクターホビーショップではあったものの、今月中の閉店が決定。最後のお別れ出店となってしまったのが残念。
この他、鹿屋市観光協会も出店。基地の町なだけに、ミリタリー系のお土産が多いが、萌え乾パンなんてのは初めて見たw
鹿屋の町に根差した企業が多かったように思えた。

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コスプレイヤーさんも数はそんな多くなかったものの、艤装もしっかり整え気合の入ったレイヤーさんが多い印象。
コスプレの集合写真には20名程度のコスプレイヤーが参加した模様だが、「撮り方、はじめ!」「撮り方、やめい!」といった謎の号令の下フラッシュが焚かれる展開w
…まあ、ここも盛り上がっていた、というべきか(汗)


こうして見るに、鹿屋というアクセス難儀な場所での開催という事もあり、他所の艦これ聖地開催オンリーのように多数の来場者に恵まれる、という訳でも無かったが、それでも「濃い」精鋭たちがそれなりに訪れ、場も盛り上がったかのように思える。
主催側も、「砲雷撃戦」等既存聖地開催オンリーとは違った角度から、工夫を凝らしたアプローチの企画を出しており、他の主催関係者も学べる点が大いにあったのではないか、とも考える。

流石に鹿屋開催は何度もできるものでも無さそうで、次回は無さそうな雰囲気。
残念ながら今回限りと思われるが、楽しい場をご用意いただけた事に感謝申し上げたい。