昨年2016年夏、三重県は志摩半島の鳥羽市にて開催された「日本SF大会 いせしまこん」。参加された方から「お土産」代わりに「いせしまこん」のパンフレットを受け取ったが、その中で面白い記事をお見掛けした。
その記事いわく、三重県多気町に、「フィギュア博物館」という展示施設が存在するそうな。その名前からして、ユニークな薫り漂うw

SF大会の会場は鳥羽の旅館「戸田家」だったが、そのユニークなコンセプトゆえか、このフィギュア博物館が「第二会場」として起用されたとの事。
何でも、製薬会社の社長「自分の趣味」で集めたフィギュアを、製薬会社の工場敷地内で展示している博物館だとか…
この手の、オーナーのコレクター趣味が高じてミュージアム化した施設はたまにお見掛けするが、「フィギュア」でそれというのも面白い。

都合つけるのに間が空いてしまったが、4月2日には東方オンリー「東方名華祭」(及び併催イベント多数)が名古屋で開催される。名古屋方面に遠征するので、そのついでに立ち寄ってみるか…ということで、前日4月1日に、私は「フィギュア博物館」に足を運んだ。
多気町へは、JR名古屋駅から快速みえ号が便利。
本来はそこで紀勢線普通列車に乗り換え、1駅隣の相可駅下車。そこから歩いて15分ぐらいのロケーションだ。
とはいえ、多気から先の普通列車、本数が異様に少ない。行きは相可から歩いて辿り着いたが、帰りは適切な列車が無いので、多気までタクシー利用で対応した(所要時間約15分・運賃は1500円ぐらい)。

さて、いざフィギュア博物館に足を運ぶが…

どう見ても、製薬会社の工場に過ぎませんw

本当に、ここでいいの?
恐る恐る博物館(というか工場)のドアを開ける…
ドアを開けると、一応窓口があったので、フィギュア博物館入館希望の旨を告げる。800円入って中に入ろうと思ったが、受付係の男性が、「何処から来たの?」などと声を掛ける。
関東から来ました、と告げるとそこから話がはずんで、気が付いたら事務所の建物の中に入り込み、40〜50分ぐらい話込むことに。
どうしてこうなったw

そのやけにフレンドリーな受付の男性が、実は万協製薬の社長その人だったり。
互いに名刺交換をしつつ、色々なよもやま話を。
また、この万協製薬の松浦社長は、町の商工会会長でもあり、そのお立場から「聖地創造」をうたった「町おこし」目的の野外型コスプレイベント「おたコス」も開催されている。
というわけで、自分も「町おこし」のことを研究しているから、と「コンテンツツーリズム取組事例集」をお渡しする。

こうして話し続けている間に、気が付いたら出発予定時間10分前に…タクシーも待たせているので、慌てて博物館内を巡回。
うーん、1時間以上の見学時間を取ったはずなんだが…どうしてこうなったw

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館内は、おおよそ撮影OKなので、気になったものを中心にいろいろとカメラに収める。
2万体以上とも言われるフィギュア群は、おおよそが社長のコレクター魂の賜物。
(一部、他の方から引き取ったものもあるようだが)
よくぞここまで集めたなあ…

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館内最奥部には、【コスプレスタジオ】が併設。
ますます訳がわからないw
(スタジオ周辺のスペースだけは撮影禁止のようなので、その点はご容赦いただきたいところである)

とは言え、見学時間わずか10分では限界がある。充分時間をかけて堪能できなかったことが悔やまれる。(その分、社長から貴重なお話をいただけたのは収獲だったが…)
幸いにも、7月9日は「おたコス」が開催。サークル出店もできるようで、会場はこのフィギュア博物館がメイン。サークル出店と「町おこし」取材も兼ねて「おたコス」に足を運び、今回は充分観切れなかったこの博物館の展示を、改めて堪能し直すことにしたい。そのように考えている。


【追記】
万協製薬は、元々神戸を地盤とする製薬会社。1995年の阪神・淡路大震災により所在地の神戸市長田区は壊滅的な被害を受け、万協製薬の社屋も全壊した。
再建を考えたものの挫折。「必要とされる会社」を目指し、裸一貫で多気町に移り再起を目指した。現在では、商品開発能力を備えつつも、塗り薬・下請けに特化することで売り上げを急伸。多気町に工場を3つ構える一大企業に成長している。
万協製薬の、企業としての復活・成功に至る道筋も、企業の「経営」というものを考える上で示唆に富むものが大きい。
当ブログは変態ブログ・オタク向けブログの為、製薬会社としての記述は最小限にとどめたいが、この会社の「歴史」「成り立ち」にも興味を抱いている。どこかで機会があれば書き記したいとも考えている。