3月24日は、東京ビッグサイトにて開催された「AnimeJapan2018」に初めて足を運んだ。
これまで当方も、この手の「見本市」的位置づけのアニメイベントに食指が動くことはなかったが、今回はこれがあったので足を運んだ。


「AnimeJapan放送局ブース」3月24日(土)13:00〜14:00
『アニメと街 うちのいいとこプレゼンテーション』

プログラム内容:地方自治体とコラボレーション実績があるアニメ作品の担当者や各自治体の方に、コラボレーションに至ったきっかけやアニメ化した後の地域への効果などをお話しいただきます。


ほうほう、これはこれは…「コンテンツツーリズム」「アニメ聖地町おこし」の研究を嗜む自分としても、興味を抱きたい内容。
出演者も、ガルパン(茨城県大洗町)・ゆゆゆ(香川県観音寺市)・はいふり(神奈川県横須賀市)から招いている。
特に、香川県観音寺市「結城友奈は勇者である」については、作品面・地域での取組面、双方とも自分自身にとっての関心が、最も高い作品/地域の一つである。かくして当方も、ビッグサイトに万難を排し足を運んだ。大天使乃木園子様万歳!

(なお、各地域/作品からは、地元の地域振興に携わるキーマンと作品の制作担当者が1人ずつ参加。2人×3作品=計6人が登壇した)
スタート10分前の12時50分、「AnimeJapan放送局ブース」にスタンバイ。
前説のMCさんが「遠くから来た方いますか?」と聴衆に話を振って「香川から来ました」というあたりで「ゆゆゆ民」の存在を一定数確認するw

そして予定通り13時になったところで、3地域6名が登壇。
最初は自己紹介から。観音寺は市役所の「地方創生」担当、横須賀は観光企画課の「サブカル担当」と、同じ市職員でも職掌に相当の違いが生じており興味深い。

ちなみに横須賀は、アニメ「はいふり」以前にも「たまゆら」「蒼き鋼のアルペジオ」巡礼マップを制作するなど、多数の作品を集客に活かしている点が特徴だ。観光企画課の職掌も、集客プロモーション面のみを見ても、他にも「Ingress担当」などが確認されている。
(拙著:「コンテンツツーリズム取組事例集2」参照

大洗だけ、登壇者が役所の担当者ではない。大洗まいわい市場等を経営する、大洗町商工会の常盤社長が登壇。商工会主導でのガルパン町おこしが進む、大洗ならではの現象か。

3地域/作品担当者の自己紹介が終わり、司会から質問が投げかけられる。
その質問に、各地域/作品が回答していく、という進行だ。
以下、質問内容と各地域/作品の回答とを、箇条書き形式にして記したい。

(メモを取っての内容を元に記しているが、抜け落ちの可能性もあり。その点はご容赦いただきたい)


≪Q1≫地域の見どころ・アピールポイントは?

(横須賀)
・歴史的・地勢的に東京を護る「防衛の要所」であり、軍港関連の史跡が多い
→記念艦「三笠」、旧海軍のレシピから取った海軍カレーなど
・作品とのコラボしては、海軍カレーや、作中にも登場した「さかくら総本家」の銘菓など

(観音寺)
・レタスや伊吹島イリコが特産品
(著者注釈:イリコは、煮干しやうどん出汁の原料として活用される)
・「見たら一生お金に困らない」との言い伝えが残る「銭形鳥居」
「天空の鳥居」高屋神社…インスタ映え、観音寺で一、二を争う絶景
・「銘菓観音寺」は賞味期限が短い
「勇者部うどん」などのコラボ商品も

(大洗)
・大洗磯前神社からの朝日、涸沼からの夕日
あんこう鍋(3月まで)が冬の味覚として知られるが、他のシーズンにも季節鍋を用意している
・飼育するサメの種類の多さは日本一「大洗アクアワールド」、「かねふく」の「めんたいパーク」、そして4月27日オープンの「大洗シーサイドステーション」(旧:大洗リゾートアウトレット/「まいわい市場」もこの中で店舗を構える)



≪Q2≫町とアニメとのコラボの経緯について

(横須賀)
・横須賀市としても、過去に舞台起用されたことはあったが、全編横須賀という作品はなかった。横須賀舞台のアニメをつくりたいとの報を受け、担当者内心ガッツポーズ。
制作側としても、どこかと作品をコラボさせたいという意向があり、放映中から横須賀市にアプローチ
・放映直後、「春の横須賀まつり」から提携を始める

(観音寺)
・放送1年半後、まだ二期の放映も決まっていない中、制作側が観音寺市より「コラボをしたい」との申し出を受けた。「大洗で勉強してきた」とのこと。
・大洗では、全国各地から視察に来るそうで、商工会の常盤社長が対応。先日は【山梨県】(著者注:十中八九「ゆるキャン△」がらみと思われる)からも視察が来たそうな。
・放映終了後でも、草の根的なファンの動きを確認しており、市としても、受入態勢を整えたい。
・制作側としては、二期放映までは時間が空くので、それまで聖地で盛り上がってもらえれば、との思い。

(大洗)
・制作側としては、多数ある舞台候補に大洗も入っていたが、制作側に大洗出身者がいたことからツテで地域側と接触
・商工会・常盤社長の上役にあたる方(著者注:会場で名は伏せているが、他の書籍等より、大洗選出の県議でもある田山東湖商工会長と断定可能)から常盤社長が呼び出され、常盤社長と制作側との接点が発生する
・以後、常盤社長が地域と作品との調整役を務める
(著者注:ここら辺の流れは、拙著「コンテンツツーリズム取組事例集1」でも詳述。)


≪Q3≫地域で反響が大きかったもの

(横須賀)
グルメラリーは飲食店34店舗が参加、18000食を消費。多くの方に横須賀の名物を知っていただけた
・「さかくら」のコラボどら焼きは3時間で完売
・コラボメニュー終了後も足を運んでくださる方が多い
・「御飯がおいしい」は正義?(←これは発言者不明)

(観音寺)
市内観光地とキャラとをコラボさせたポスターの反響が大きい。(著者注:豊稔池にたたずむ園子様とうとい。大天使乃木園子様万歳!)
・2018年は市名の由来ともなる「神恵院 観音寺」のポスターが新登場。住職も作品ファン。

(大洗)
・コラボものは多すぎるが、代表例としては缶バッジ(これまでに400種・150万個)。商店で買ってくれた人に缶バッジをオマケで付ける。缶バッジの収益を、町で開催するイベントの運営費用に充てる。
(著者注:拙著「コンテンツツーリズム取組事例集1」参照
・ファンのお泊り会は200人、誕生会は多い時は2000人参加。
・ボランティアスタッフは、曲松商店街系統とまいわい市場(常盤社長)直属とが存在。
茨城県内のガルパン案件は常盤社長を通せ、ということに(著者注:代表例は茨城県大子町。拙著「コンテンツツーリズム取組事例集4」参照。)



【著者雑感】

アニメ聖地「町おこし」を研究し続け、今回地域の担当が参加された箇所も、一通りは研究を済ませた上でその成果も書誌を通じて発表している。
(横須賀は「コンテンツツーリズム取組事例集」第2巻、観音寺は同4巻、大洗は同1巻で発表)
当然、既知の内容も少なくはないが、話している内容を拝聴しつつ、研究を通じて得た知見を再確認させていただくことができたと思う。

また、横須賀に関しては、書誌発行後に「はいふり」が登場したこともあり、「はいふり」絡みの動きは、正直申し上げて自分も把握し切れていなかった。「はいふり」関連の動きについて、市関係者ならびに制作関係者側からお話をいただけ、新たな知見を得られたと思う。

今回登壇した3地域、それぞれタイプが異なるという点も面白い。
そもそも地域それぞれに独自の個性がある。作品にも、それぞれに独自の個性がある。
「町おこし」が、地域の特性と作品の特性を勘案しつつよりベターな方向を模索するものである以上、タイプが異なるのは当たり前にせよ、その違いに注意を払ってみるのも面白いと思う。

例えば大洗は、一つの作品に依拠しつつ、商工会主導色が強く、商店街を軸にした盛り上がりを見せている、という点が特徴だろう。
これに対し横須賀は、これまで「たまゆら」「アルペジオ」「Ingress」(市は手が出しにくいようだが「艦これ」も民間業者が手を出している)…数多くの作品にフットワーク良く手を出している。舞台起用の機会が多く、地域に複数作品が存在している点。加えて市主導の色合いが強い点も特徴だろう。
前者大洗を視察する地域も多いようだが、複数作品の舞台となった地域(他には東京都立川市や京都市などが該当)は、横須賀型から学べることも多いと思う。

(観音寺は、「瀬戸の花嫁」等他作品でも舞台として起用されたことや、市主導色という点では横須賀に近いが、町中の盛り上がり具合を見ると、どちらかと言うと大洗に近いタイプだと思う)

地域毎の特徴を、もう少し分かりやすく分類してみたい、とも考えてはいるが、そこは今後の「宿題」にさせていただきたい。


最後に一つ。1時間という「尺」は、流石に短いとも感じた。
トークショーとしてなら、1時間という「尺」は決して短くはない。だが、よくよく考えてみると、3地域1時間ということは、1地域の割り当ては20分に過ぎない。
3地域それぞれにドラマがある。各地域の「ドラマ」が充分語り尽くせていない、そういう物足りなさは感じた。
もっとじっくりお話を拝聴できるような、別の機会があることを願ってやまない。