数年前より存在は知っていたものの、これまではスケジュールの都合等で足を運べなかった、埼玉の同人誌即売会「コミックパーティー」に足を運ばせていただいた。

「コミックパーティー」と言えば、古参の方ならば、Leafブランドのゲームを思い浮かべる方も少なくないだろう。
人によっては、奈良女子大で年1回ペースで開催されている、学園祭内の同人誌即売会「COMIC☆PARTY」を思い浮かべる方もいらっしゃるだろう。
(参考リンク:2008年12月10日付『専門学校/大学 学生団体主催の同人誌即売会』

今回の即売会は、この2つとは全く別物の、もう一つの「コミックパーティー」だ。
最近でこそ川口市や久喜市鷲宮でもオンリーイベントが開催されるようにはなったが、それまでは即売会の開催無く、長らく同人不毛の県であった、埼玉県での開催だ。
私の住まいの県ということもあり、永らく気にしてはいたのだが、今回ようやく念願かなって足を運べた。
会場は、埼玉県春日部市。東部地域振興ふれあい拠点施設「ふれあいキューブ」での開催だ。
東武線・春日部駅から徒歩5分程度。アクセス的には申し分ない。
会場は、ふれあいキューブ内に何部屋かある多目的ホールを利用しての開催だ。

会場に入ると、目の前に受付があり、そこでサークルカット掲載のリーフレットをもらう。入場無料で、リーフレットがカタログの代わりである。
サークル数は10サークル弱。ちょっと規模的には小さめだが、毎回この程度の規模と聞いている。コスプレイヤーも特になく(特にコスプレもやっていないっぽい?)、一般参加者も10人いるかどうかのレベル。

ちょっと寂しい雰囲気がしないでもないが、サークルさんは力作ぞろい。
ジャンルは東方・ボカロ・おそ松さん・刀剣乱舞等皆バラバラだが、注目すべきは「同人誌」として本を出すサークルさんが非常に多い所。グッズオンリーの1サークルを除き、全サークル「薄い本」を置いていた。

この手の、地場のオールジャンル同人誌即売会では、ラミカ・ポスカ・アクセサリー等の小物が多い傾向にある。
ただ実は、開催地が都心に近づくほど同人誌の比率が上がるという法則もある。(東京から離れた地方都市は同人誌を探すのすら一苦労するのに対し、北関東など首都圏近郊での即売会は同人誌比率が高い)
都心に近い、春日部の同人誌即売会で同人誌率が高いのも、その法則に沿った展開だろう。

ぶっちゃけ来場者も多くなく、こじんまりとした即売会。興行的にも微妙だ。
にもかかわらず2015年初開催で、今回で4年目(4回目)の開催。年1回ペースで定期・継続開催を果たしており、ある意味安定感すら備わっている。

これは恐らく、「ふれあいキューブ」という箱の為せる業であろう。
元々この会場、土日料金で午前午後まで借りても7万程度なので、即売会の会場としては比較的安価である。
ただ、埼玉県民が一定の条件下で会場を利用することで適用される「県民料金」というものも存在する。これを利用すると、値段は更に数万規模で下がる。

一般参加者も入場無料と申し上げたが、これは県民料金適用条件の中に、入場料を取らないことが定められているからだろう。
下手に入場料を取ってその分多額の支出になるのなら、最初から入場料を取らない方が安上がりだ。

そうなれば、主催の総支出は2万行くかどうかのレベルと推測される。
告知チラシも余り刷らず、カタログもつくらない。
恐ろしいまでに徹底した「超ローコスト運営」である。
確かに赤字かもしれないが、元の支出もたかが知れているから、主催もそんな負担にならない。1〜2万程度なら、主催個人のポケットマネーでどうにでもなる。

この手の小規模(10sp前後)ながらも「超ローコスト運営」で、継続開催を実現させている即売会は、山梨県山梨市の同人誌即売会や、長野県伊那市の同人誌即売会など、過去にも複数実例を拝見している。

(参考リンク)
2014年06月14日付『6/14 山梨県山梨市・オールジャンル同人誌即売会「メイプルフェスティバル」』
2013年11月21日付『11/10 長野県伊那市オールジャンル同人誌即売会「I,C,I」』

ローコスト運営の徹底化により、主催本人の金銭主催も、無理のない範囲で抑えることできる。
大きい箱を借りて10万単位で赤字を出すのなら、ローコスト運営で毎回1〜2万の赤字を出す方が、主催の負担も軽い。
主催が個人の資力で賄えるレベルの赤字幅に抑えることで、定期・継続開催が実現されているのである。
小さい規模の即売会が生き残るための、一つの方法として記録しておきたい。