この日は元々、広島開催の同人誌即売会「大九州合同祭」にサークル参加を予定していた。
しかしながら、折からの台風到来により、帰れなくなる可能性が高いものと想定。断腸の思いながらも、サークル参加を欠席させていただくことにした。
となると、9月30日は予定が空いて暇になるわけで…都内開催で気になる即売会があったため、そこに足を運ぶこととした。

一つは、都内開催の即売会「夢を紡ぐ創作の集い」。創作系の即売会ということもあり、過去自分もサークル参加を検討していたこともある。即売会の雰囲気を掴んで、今後の参加するかどうか検討材料になれば、という思いもあった。
もう一つは、横浜開催のサンホラオンリー「第nの地平線」。サンホラジャンルは大田区産業プラザPiOで開催された頃からのお付き合いだが、「第nの地平線」登場以降は、気にしてはいたもののスケジュールの都合上ご無沙汰だった。

共に、前々から気にしていた即売会ではあったものの、スケジュールの都合上参加は叶わなかった。
首都圏の開催なら、台風到来前に見て回れば、台風の影響も最小限で済みそうだ。
今回予定が空いたのを機に、急遽この両即売会に足を運ぶこととした。


◆◆目次◆◆
・創作系ジャンルの昨今
・「夢を紡ぐ創作の集い」当日の様子
・サークルの創作を応援する、独自性溢れる取組
  • 創作系ジャンルの昨今


数千spを突破する巨大イベントに成長した「コミティア」が象徴的だが、創作ジャンルの勢いは、今もなお健在だ。
二次創作ジャンルを変遷し続けたサークルが最後に行きつくところ、とは10年以上前から聞かされていた。実際それを裏付けるかのように、他ジャンルに比べても平均年齢は高めだ。
一口に「創作」といってもその間口は広く、評論・漫画・小説・文芸に服飾・アクセサリーと「創作」のカバーする領域は広範だ。その間口の広さゆえ、創作系即売会は、数多くのサークルを呼び込めているのだろう。
実際地方の即売会に行くと、参加サークルの1/3、下手すると過半数を「創作」で占めるところも少なくない。

創作全盛の中登場した「夢を紡ぐ創作の集い」は、2017年4月に初開催。
以後年2回ペースで開催が継続されており、安定感も出てきたように思える。
主催が違えば、催事の内容も違う。恐らく既存の創作オンリーとは、異なるアプローチが施されているのだろう。「夢を紡ぐ」ならではのアプローチに期待を寄せつつ、足を運んだ。


  • 「夢を紡ぐ創作の集い」当日の様子


大田区の同人誌即売会会場と言えば、大田区産業プラザPiOが有名で、私もそこと勘違いして最寄り駅・京急蒲田に足を運んだ。
…会場の小ホールに足を運んで、別の催事が開かれているのを見て、自分が勘違いしていたことに気づくw

ああ、会場は「大田区民プラザ」ねー。
会場はJR蒲田駅から東急に乗り換えた「下丸子駅」のそば。某FGO区議の地盤でもある。とりあえずJR蒲田駅まで歩き、そこから東急へ。
下町の風情残る町並みで、駅から徒歩2分。交通の便は、決して悪くない。
地下ホールで開催とのことなので、そこに足を運びパンフレットを購入。800円か、ちょい割高感あるなーw

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参加サークルは、34サークル・48sp。
先述の通り間口の広い創作ジャンルだが、この催事は、文芸系が多い。イラスト系のサークルと並び、10サークル前後を確認している。他、同人音楽も1サークル、雑貨・アクセサリー系も3サークル以上確認。
イラスト系のサークルは、オリジナルキャラのイラスト集が目立ったように映る。
…自ジャンルの「評論」は確認できず残念(汗)

作品傾向としては、男性向け系統の作風・女性向け系統の作風。双方が半々ぐらいという展開。参加者の男女比も、ほぼ半々だ。
男性向けと女性向けとでは、色々文化の違いを感じることも少なからずだが、少なくともこの即売会に関しては、男女両方包含した「大らかさ」が感じ取れる。男性向け系統・女性向け系統、どちらも受け入れられる点も、この即売会の長所となるだろう。
なお、年齢層としては、やはり高め。若くても30オーバー、といったところか。


  • サークルの創作を応援する、独自性溢れる取組


この即売会は、サークルの創作を応援する、という理念に包まれている即売会でもあると思う。
「夢を紡ぐ」には、この理念に基づいた取組が少なからず見られる。
そしてこれらの取組は、他の即売会にも見られない、この即売会「ならでは」の取組でもある。

「夢を紡ぐ」では、ステージが用意され、開催中に幾つかのステージプログラムを実施している。
ステージを通じての表現機会を提供するコスプレパフォーマンスは、自作の曲を通じた表現、新作コスチュームのお披露目など、参加者次第だが即売会の枠を超えた表現が実現できそうだ。
「オンライン見本誌読書会」は、AbemaTVでの中継も交えつつ作家の作品をPRする試み。

そして恒例企画のゲストトークは、声優・藤田将利氏、画家・三澤寛志氏をお招きしている。藤田氏は前回催事から引き続いての参加、三澤氏は「博麗神社例大祭」でのサークル参加等、画家のポジションから同人のフィールドにも挑んでいる。
このゲストトークは、「参加の皆さまに楽しんでいただき作家の皆さまのインスピレーションを掻き立てていただけるよう」に、との意図も込められているようだ。

これらのステージ企画を一通り俯瞰すると、どれも「サークルの創作を応援する」という理念に基づいてると思う。

更に特筆すべきは、「イラスト依頼したいされたい会」という取組。
即売会パンフレットには、「絵の仕事を依頼されたい」と欲するサークルさんからの求人が。希望価格や納期・作風・連絡先なども掲載されている。
一方、当日会場では、「イラストを依頼したい」側の求人案件も壁に張り出されていた。7〜8件ぐらいの求人が見られ、自分の本のイラストを描いてくれる絵師や、自分の本の内容をコミカライズしてくれる絵師など、様々なイラスト求人が掲示されていた。

この即売会自体、文字書きと絵描きが半々ぐらいを占めている。「依頼したい」側と「依頼されたい側」との共存状態が、この取組を促進させているのだろう。
専任のコーディネーターが、お互いのサークルのニーズをマッチングさせるべく奔走。会場内では、互いのサークルが名刺交換する姿も見られた。
絵の仕事が欲しいサークルさんや、絵師さんの技量にすがりたいサークルさんは、この催事への参加を強くオススメしたい。

こういう創作支援の取組は、他の即売会ではなかなか見られない。珍しくもあり、かつ興味深い取組であり、そしてサークルの相互交流を促す取組と言えよう。

ただ、「創作支援」に熱が入る一方、一般参加者とサークルとの交流という点に物足りなさを感じた。
そもそも一般参加者も多くはなく、私が訪れた12時前後では、巡回していた人々は10人前後にとどまっていた。自分の本を見てもらいたいサークルの立場からすると、少し物足りなさがあるかもしれない。
つまり一般参加者を増やし、一般参加者とサークルとの交流促進にも注力いただきたい、ということだ。

前述の通り、サークルの相互交流を促す仕組みには、他の即売会ではなかなかお目にかかれない、特筆すべきものを感じている。
この即売会なら、一般参加者とサークルとの交流促進についても、何かしらの特筆すべきアイディアが飛び出してくるんじゃないか。そんな期待も抱いている。