福島県を地盤とする同人誌即売会「ADVENTURES」。
事務所を県中央部、いわゆる「中通り」の須賀川市に置きつつも、即売会は県全域で開催している。
私も、2011年・東日本大震災に前後して、県東部「浜通り」いわき市や、県都・福島市、須賀川市の隣市・郡山市で開催された「ADVENTURES」に足を運んだ。
残すは、県西部「会津地方」会津若松市開催の「ADVENTURES」のみ…スケジュールの都合でなかなか足を運べなかったが、今回「コンテンツツーリズム」の視察も兼ねて足を運ぶことに。

折しも今回は、会津で即売会を始めてから25周年を記念しての、特別開催とのこと。
偶然とはいえ節目の時に足を運べる幸運に感謝しつつ、私は東武鉄道に乗り込んだ。

(今回は、東武鉄道→野岩鉄道→会津鉄道の乗り継ぎで会津若松に入るルートを取っている。これは、途中の芦ノ牧温泉駅で、ねこ駅長謁見・兼コンテンツツーリズムの視察を組み込んだが故
のこと。芦ノ牧温泉のお話は、別に機会を設けて語りたい。)


◆◆目次◆◆
・主催:ADV企画とは
・「ADVENTURES in 会津」25年の歴史
・「ADVENTURES in 会津」当日の様子
  • 主催:ADV企画とは


今回頒布された催事パンフレットによると、元々「ADVENTURES」は、2つのサークルが主催・運営を行っていたこと。
今回展示されていた過去パンフを見る限り、初回(1993年)の主催は「ORIGIN」名義。その後のパンフには「アドベンチャー準備会」名義での主催だったこともある。
どういう経緯かは不明だが、少なくとも1997年以降(それ以前の可能性もあり)に、今の「ADV企画」名義での主催となり、現在に至っている。

即売会の活動は極めて活発で、かつては事務所の所在地でもある須賀川市で開催されていた。
(今回掲載されていた「ADVENTURES」としては「初開催」となる須賀川イベントの募集チラシには「11月15日・日曜日」とあり、恐らく1987年か1992年のことと考えられる。過去のコミケカタログでは1996年に8回目開催とあるので、開催回数から考えると、1987年よりは1992年の方が可能性は高い)
須賀川は1998年に開催を終了したもの、その後は会津若松市・郡山市・福島市・いわき市等で開催を継続した。
特に「ADVENTURES」の拡大バージョンでもある「SUPER ADVENTURES」は、普段の定例即売会に比べ人が集まる傾向に。自分が過去参加したときには200〜300sp、東北地方では有数の、一大規模を形成した催事であった。

この他、野外コスプレイベント「コスプレGIG」を、福島県内や那須(栃木県)のテーマパーク等で開催。
創作オンリーイベント「Travellers〜創作旅行〜」も年1回ペースで開催していたが。2015年からは「みちのくCOMITIA〜創作旅行〜」とリニューアルし開催。好調に推移している。
最近では、オンリーイベントを多様に手掛ける「スタジオYOU」との共同開催型即売会「THE ADVENTURES project」や、パーティションを用意するなど多様なスペースを用意した「ADVENTURESin郡山-Revolve-」など、既存催事を再編・リブランドしつつ定期的な開催を続けている。



  • 「ADVENTURES in 会津」25年の歴史


今回は25周年特別開催ということで多彩な企画が用意されていたが、その中に、過去のパンフレットを展示(「みちのくコミティア」見本誌展示と併催)するという試みが為されていた。
全て袋詰めされており、中身を見られなかったのが残念だが、表紙の実物を見るだけでも、この即売会が辿る25年の歴史を感じることができたと思う。

先述の通り、2つのサークルにより運営されていた草創期、その後1990年代後半以降「ADV企画」主催による現在の体制に入っても、しばらくは市内の「会津若松労働福祉会館」で開催を継続していた。
その途中、冬季2月に一度だけ開催したこともあったようだが、大雪に見舞われ危うく(事務所のある須賀川から)開催地・会津若松までたどり着けなくなるピンチに陥ったこともあったようだ。
カタログによると、運営陣は3ルートに分かれ会津を目指し、各チームともちょい遅刻ぐらいで済んだらしい。ただこれがトラウマになったのか、それ以降冬季開催は実施されず、雪に見舞われにくい3〜12月の中で年2〜3回ペースでの開催、という形で落ち着いたようだ。

1999年以降、会場が手狭になったこともあり、開催地を「アビオスペース」に移転。
2011年3月の東日本大震災では相当の被害を蒙ったものの、被害の少ない会津では翌4月に開催を断行
震災という「試練」も乗り越え、現在に至っている。


  • 「ADVENTURES in 会津」当日の様子


会場「アビオスペース」は、会津若松駅から北西に2km。インターチェンジにも近く、卸団地や郊外型店舗の建ち並ぶ一角にある。
バスもそこそこ走ってはいるが、当方はレンタサイクルを利用。駅から15分ぐらいで到着した。

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規模的には、スペース数ベースで110sp。
25周年開催というアニバーサリー要素が追い風になっているのかもしれないが、会津の人口規模を考えると、相当健闘していると言えるだろう。
カタログには参加者の地域分布も掲載されているが、会津若松・喜多方など会津地方で20サークル。その一方、郡山・福島など県内他地域からの遠征組も多く、37サークルと県内他地域で会津勢を凌駕している。
やはり、「25周年」という要素が、県内全域からの来訪者を掘り起こせたと考えられようか。副次的な要素として、インターチェンジにも近く、遠征しやすい立地という点も挙げられよう。

サークル参加者を見るとは、9割が女性陣。ジャンル・作風も同様で、女性向け分野が多い。
サークルの年代を見ると30代前後が多いかな?とは思ったが、カタログ(誌面上でサークル年齢分布も掲載)で答え合わせをすると、やはり30前後が一番多いようだ。それより若い世代ももちろんいるが、やや少なめだろう。

(ひと昔前は「地方の即売会と言えば若い女子学生ばかり」と言われていたが、最近は少子化で若い子も少なくなり、徐々に高齢化が進んでいるように映る)

ジャンル傾向としては、服飾・雑貨・アクセサリー等が多い。全体の半分ぐらいが、この手のサークルで占められている。
アクセサリーは、50円単位での頒布も目立つ。小物といえども100円単位が通例で、50円単位は中々見ない。50円単位は、数年前にお邪魔した(北海道)道東・道北の即売会以来だろう。

なお、男性陣に関しては、サークル参加組はほぼ無し。
一般参加だと男性も2割ぐらいはおり、年齢層も20〜40代まで幅広い。
年長者が多いのは、25年の歴史を誇る即売会だけに、当地に根を下ろした古参兵が多いがゆえだろう。古参兵の多さが、歴史を物語る。


今回は、コスプレイヤー向けに敷地内屋外を撮影スペースとして開放していたが、私が参加したお昼頃は、外に出るレイヤーさんも殆ど居ず。
自分が撤収した後に屋外に打って出たのかもしれないが、せっかくのご厚意が余り活かされておらずもったいない思いも。外も好天に恵まれ、撮影日和だったように思うのですが(汗)
もっともレイヤーさんは余り多くなく、屋内に20人ぐらい居た程度。もっとも、これは自分が足を運んだ12時台の話なので、その後増えたのかもしれないが。

企画のイラストコンテストは、18作品がエントリー(12時時点で)。
オリジナルもの、二次創作ものと部門を分けてそれぞれコンテストを実施しているのが「ADVENTURES」の特色だが、どれも力作揃い。「ADVENTURES」のイラコンは、相変わらずレベルが高い。

今回は、25周年企画ということで、声優・沢城千春氏のトークライブも開催。
私はこの後の予定もあったので、トークライブの時間には残らなかったが、観覧整理券が全量配布し切ったとのことで、盛況だったものと思われる。

駆け足での訪問だったため、この催事の全てを見切れたわけではなくそこが残念ではあった。
ただ、なかなかの盛況ぶりだったので、今度はサークルとして参加してみたいと感じた。そう感じさせる良即売会であったとも思う。