2018年1月〜3月に放映された、主に山梨県を舞台とし、女子高生たちのアウトドアキャンプを描いたアニメ「ゆるキャン△」
既に第二期放映も発表され、人気の高さは折り紙付きだ。

県内身延町をメインとするものの、県内各地でキャンプを楽しむ光景も描かれており、「聖地」が県内各所に広がりを見せた点が特徴だ。
身延のみならず、山梨市・市川三郷町・南アルプス市なども「聖地」として注目され、隣県の静岡・長野にも聖地が広がっている。
その中の一つ、山梨市「笛吹川フルーツ公園」や「ほったらかし温泉」が取り上げられ、ゆるキャン△「聖地」として注目を浴びた。山梨市の反応も素早く、独自に聖地巡礼マップを制作する力の入れようだ。

そして山梨市は、元々「メイプルフェスティバル」というオールジャンルの同人誌即売会が、年2回で定期的に開催されてきた。
山梨市を地盤とする即売会が、「おらが町」に聖地巡礼で訪れる人々を目の当たりにした以上、刺激を受けるのも無理のないこと。「ゆるキャン△」に呼応した、聖地・山梨市でのゆるキャン△オンリー「野クル校外活動」を立ち上げた。


◆◆目次◆◆
・同人誌即売会「メイプルフェスティバル」とは?
・不安を残した事前対応
・「野クル校外活動」当日の状況
・今回の反省点と今後の展望
  • 同人誌即売会「メイプルフェスティバル」とは?


2010年秋、山梨縣護国神社にて開催された東方Projectオンリー「凱風快晴」
護国神社境内で開催という、同人誌即売会では掟破りとも言える「屋外配置」の同人誌即売会であったが、50サークル弱が集まり盛況をおさめた。記憶した限りだと、甲府市内の大学(山梨英和大学だったっけ?ちょっと自信ないw)の学園祭とも連動した企画も実施していた。

参考リンク:2010年11月10日付『11/7 山梨縣護国神社開催東方オンリー「凱風快晴」』

「凱風快晴」に刺激を受け、自分達でも何か即売会ができないか。
そういう経緯からスタートしたのが、山梨開催の同人誌即売会「メイプルフェスティバル」である。(と今日主催氏からお話を伺った)
当初は山梨英和大学の学園祭内で開催、という位置づけだったが、その後主催が交代するなど「引継ぎ」が行われ、現在では山梨市駅そばの「街の駅やまなし」を会場に、年2回ペースで安定開催を続けている。

参考リンク:2014年06月14日付『6/14 山梨県山梨市・オールジャンル同人誌即売会「メイプルフェスティバル」』

会場費・パンフレット代・チラシ代などの費用を極力抑制した超ローコスト運営が特色。
サークル数こそ10サークル前後と多くはないものの、主催の負担も無理のない範囲で比較的軽く済んでいるので、息切れせずマイペースで、安定した開催が実現できている。

今回立ち上げた、ゆるキャン△オンリー「野クル校外活動」でもそのスタンスは変わらないようで、会場代も低廉、かつ「聖地」にこだわった会場ということで、笛吹川フルーツ公園内の「フルーツセンター」を会場に選定している。


  • 同人誌即売会「メイプルフェスティバル」とは?

不安を残した事前対応

当サークルは、9月末の時点で10月の勤務シフトが確定。10月27日の休みが確定した段階で「野クル校外活動」へのサークル参加を申し込んだ。
「ゆるキャン△」でのアニメ町おこし研究本を執筆、この日に間に合わせる前提での申込だ。
メールで参加を申し込んだが…その後連絡は来ねえ…来ねえ…
一応Twitterで参加申込を受領していたことは確認したが、まあ参加申し込みのメールが来たら、受領確認の返信メールを1本出していただいた方が、こちらとしても安心するので、今後はそういう方向で進めていただければとは思う。

新刊の執筆は開催1週間前に終了、製本も済ませ、あとは当日を待つだけ!と言いたいところだが、1週間前を切っても、参加案内が来ない…
1週間前を切って何も動きが見られないと、過去の経験上「即売会中止フラグ」が立った、と判断せざるを得ない。
Twitterも半月前から動きが無いので、それも不安を掻き立てる。

流石に不安になって「メイプルフェスティバル」参加常連の知己サークルに訊いてみたところ、「基本的に主催からの案内は届かない」「開催10日前ぐらいにサークル案内はメールで来ることが多い」とのこと。
うーん、開催10日前は余裕で切ってるのだが、メールで今後届く可能性もあるから様子見るか…世の中には、サークル案内が一切届かず、かつ主催と連絡が取れない状態であっても即売会を何とか開催し得た、という大物事例も存在するのだから…

参考リンク:2017年10月09付『10/9 川崎市開催オーガスト作品オンリー「AugusticEternal」』

サークル案内については、開催の2日前にメールが届いた。
メールが届いたということは、無事開催できるということ。安堵はしたが、そもそも10日前ぐらいに案内を出してくれれば心配もせずに済んだわけで。それができなくても、Twitterで「サークル案内遅れてごめん、もう少し待ってや」とツイートすればまた違っていた。
小まめな発信を…とまでは求めないが、もういっちょメールかツイートでの発信が欲しかったところだ。


  • 「野クル校外活動」当日の状況


会場は、笛吹川フルーツ公園内。市街地のJR山梨市駅から北西に約4kmの地点に立つこの公園は、甲府盆地を一望する景色が見どころで、夜景は「新・日本三大夜景」の一つに数えられる風光明媚なスポットだ。「ゆるキャン△」でも、この光景が描かれている。
昼間でも、晴れていれば富士山を眺められる。この日は幸運にも、山頂が白く覆われた富士を眺めることができた。
…ということは、そういう丘の上まで、駅から「山登り」を強いられる、ということでもあるw

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「ゆるキャン△」では、駅から1時間歩いてフルーツ公園に辿り着いた。
レンタサイクルもあるが、いくら電動アシスト付とは言えこの山を登るのは大変そう。
一応市営バスも1日3便、即売会の開催時間にマッチする形で運行されているので、それを利用しても良いとは思うが、1日3便は自由が利かなすぎる。
悩んだ結果、天気も良くなったことだし、電動アシストの力を借りつつ自転車を漕ぐことにw

坂はキツかったが、電動アシストの力は大きく、ゆっくり漕げばそこまで苦行ではなかったか…?
途中、フルーツ公園内の作品聖地「オーチャードカフェ」で、「ゆるキャン△」読みソフトクリーム頬張りながらの休憩(約30分)を挟み、1時間かけて会場に到着。
電動自転車のバッテリーが60%まで減っており、道中の急坂ぶりが伺えたがw


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【オーチャードカフェの等身大パネル】

会場は、フルーツ公園内の物産店「フルーツセンター」での開催。
…どう見ても、観光地のお土産物屋です。
STRIKE HOLEの花羅、ついに「お土産物屋の中で開催される同人誌即売会」という新境地に突入したw

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土産物屋の奥の方に、小さい会議室があり、そこが会場のようだ。
参加費を払い、受付を済ませるが、参加サークルは2サークルとのこと。そして初動は1人。
「伝説のゆるケットを越えた」という評も上がったが、あのイベントは参加5サークル・初動2人。うん、確かに超えてるなw

参考リンク:2018年03月04日付『3/3 都内開催:ポプテピピックオンリー「ポプケット」改めゆるキャン△オンリー「ゆるケット」』

もっとも、その「ゆるケット」もそうだが、サークル数が少ないのは決して悪いことばかりではない。
サークル数が少ない分、一般参加者は全サークルを回る。せっかく来たのだから何か買って帰りたい、というインセンティブも働くので、本を買ってもらいやすくなる。
「ポプケット」改め「ゆるケット」に参加したサークルも、「普段の即売会より売れ行き良かった」と漏らしていたぐらいだ。このサークル数の少なさは、かえって「チャンス」にも映った。

開場30分後の12時30分過ぎには、聖地巡礼者のグループ10数人が大挙押し寄せる。この時点で、この即売会の最遠訪問者は「米国オハイオ州」という超展開になったw
案の定、皆さんからの反応は全般的に良く、交通費の元が取れるぐらいには売れた。ありがたい。
もう1サークルは、この時点で完売状態に。

…ってことはさ、俺が体調悪くして早めに撤退しまーす、とかやったらさ、その時点で即売会は成立し得なくなるよね(汗) やべえ、急に責任重大になってきたわw
とりあえず2時までは聖地巡礼者の立ち寄りが散発的に続き、その全員が当サークルに足を運ぶという展開。20人以上は足を運んでくれただろうか、反応も決して悪くはなく、下手な即売会よか売れ行きは良い。
また、一般参加者による即興企画として、「ゆるキャン△」山梨県内での報道資料(新聞切り抜きコピー等)や身延で発行されているチラシ類などの展示も実施された。

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2時に「ジャンケン大会」がスタート。主催からの地元特産品の提供、加えて一般参加者からのグッズ提供もあり、なかなかの品ぞろえ。10人規模での実施で、当サークルも山梨産のワインを頂戴する。
それ以降は雑談タイム。主催氏と参加サークル、それと聖地巡礼者でひたすら歓談が続く。山梨県内の即売会開催事情だとか、来月の身延ゆるキャン△イベントの話だとか、いろいろな話ができて楽しかったと思う。
流石に話題も尽きて、新規の来場者も途切れた15時40分頃。(実際には16時30分閉会だが)主催判断で前倒しの「閉会」に。こうして、ゆるキャン△オンリーは、参加者数こそ少なかったものの、和気藹々の雰囲気の中終了した。


  • 今回の反省点と今後の展望



個人的には満足感の高かった即売会であったが、即売会全体を通してみるならば反省点は色々あったと思う。

どんなに頑張ってもサークルが集まらない時は集まらないのだから、サークル数が集まらないこと、これ自体は仕方ない。
ただ、サークル数を集める工夫。一般参加者を集める工夫。これらを重ねる余地は充分存在し得たと思う。

母体となる即売会自体がローコスト運営を心掛けており、大量にチラシを刷ってサークルに配るという、コストの嵩む手法は馴染まないだろう。
それでも、Twitter等SNSの発信頻度を上げて注目されやすくする(今回は発信が少なすぎたため、当サークルも「本当に開催するの?」と心配してしまったほど)。他イベントのようにプレスリリースを発信してネットメディアに取り上げて貰う、などローコストで話題性を高める努力はできたと思う。
観光案内所やフルーツ公園等に、ポスターを貼ってもらうという方向性も有りだろう。地元民・聖地巡礼者両方への参加アプローチになるし、それをSNSで誰かが拡散してくれるかもしれない。
身延での聖地イベントに足を運んでの告知も、検討に値するだろう。
次回以降があるのなら、これらを新たなアプローチとしてご検討いただきたい。


また、山梨市での開催も良いが、身延での開催もご検討いただきたい。
本栖高校モデル地の「五条ヶ丘地区」を筆頭に、身延には聖地が多数存在し、訪れるファンも多い。地域内の町おこし団体等と提携すれば、面白い結果が生まれる可能性も充分有り得るだろう。

ジャンルは違うが、艦これオンリー「砲雷撃戦!よーい!」を聖地で開催する「SDF」の取組方、地域団体との提携の仕方も、研究すればいろいろ参考になると思う。
(参考:拙著『コンテンツツーリズム取組事例集1』/無料公開中)

今回の即売会自体は、興行的には反省点が多いだろうが、だからこそ改善の余地は充分ある。
そして何より、「ゆるキャン△」という作品自体が、第二期が決定するほどに人気が高い。これは本来「追い風」となるべきものだし、その追い風は、少なくとも二期放映後までは継続が見込める。
次またやろうという意欲をお持ちならば、違ったアプローチ手法を取り入れれば、追い風を生かし違った結果になるのではないか?とも思う。