当サークルは、「コンテンツツーリズム取組事例集」シリーズに代表されるが、同人誌ベースではあるものの、実際のビジネス利用にも耐え得る内容の実学系書誌を刊行し続けている。
過去には、ふるさと納税の返礼品にフィギュアを投入することでも知られる某市の市議会にて、市政関係者に当サークルの本が出回ったという話も聞こえてきた。とある自然豊かな町では、商工会関係者に当サークルの書誌が出回っていた、という話も聞いた。
この手の話は時折聞こえてくるので、当サークルの書誌がどこの聖地に出回っているのか?その全容を把握することは、正直申し上げてけっこう困難だw

以前、「アニメ聖地巡礼“本”即売会」にサークル出店した時も感じたことだが、サークル頒布物の性質上、専門性の高い同人誌即売会ならば、たとえ参加者が少なくとも訓練されてる連中ばかりなので反応は良い。
言わば、サークルと一般参加者との「ニーズのマッチング」が図れている、ということ。
実用書系の即売会があれば、良い反応を貰えるのではないか?という期待感はある。

とは言え、都内で開催されるこの手の即売会は、最近人気高騰の『技術書典』に代表されるように、IT系などの「技術書」をメインとしたものが多い。
当サークルの書誌は、実用書ではあるが商業系であり、技術書とは言い難い。さすがに『技術書典』は厳しかろうw
何か良い即売会はないかと模索している中、9月大阪開催の『こみっく☆トレジャー』にて、『銭けっと』主催氏が当サークルへお越しになり、参加しないかとお誘いをいただいた。
当サークルの頒布物ならば、『銭けっと』のコンセプトとも合致するだろう。そう考え、足を運ぶことにした。


◆◆目次
1.やはり理系偏重の傾向
2.銭けっと・当日の様子
3.『銭けっと』総括
  • 1.やはり理系偏重の傾向


参加するに当たって、一つ気になっていたことがある。
元々この手の実用書系即売会としては、『技術書典』という大御所が存在する。当然『銭けっと』にとってみれば『技術書典』は最強の告知の場だろう。
しかしながら、『技術書典』は、あくまで技術書に特化している。『銭けっと』が参加サークルを『技術書典』から発掘するのは当然だろうが、そうなれば技術書サークルの中に商業系実用書の当サークルのみ、という事態にもなりかねないw

主催氏とお会いした時に、その不安を直接ぶつけてみた。
これに対し、主催氏から受けた説明としては、(1)我々は技術書系も商業・経済系もどちらも募っている (2)仮に参加者が技術書に偏るならば商業系は希少価値になるのではないか といった所か。
うーむ。不安は拭い去れないが、商業系のサークルが少しでも増えることを祈りつつ、サークル参加を決めた。

果たして参加当日だが、参加15サークルのうち、IT8サークル・電子工作1サークル・商業2サークル・学術(理系)2サークル・実用書1サークル・古典1サークル。
理系サークルが11サークル(IT・電子工作・学術の合算)と、文系サークルを圧倒する展開だ。
一般参加者も、IT系の本を漁りに来たと言わんばかりで、技術書典の買い手と同様の参加者層だ。買う気満々な方々ばかりなので、文系・商業系の当サークルでもまあまあ反応は良かったのだが、IT系など理系サークルに比べると、どうしても引きは弱かった。


『銭けっと』は、告知面で既存の同人誌即売会とは異なる、独特の工夫が為されている。
一般的な同人誌即売会でチラシを撒くといったことはしていない。即売会で取り組んだことといえば、これはといったサークルに話しかけてお誘いをする。いわゆる「サークルの一本釣り」に取り組んだことぐらいだろう。
むしろ、即売会以外での告知に熱心だった。

「Cybozu Meetup Osaka」「KotlinConf 2018 Recap」「関西オープンフォーラム」といった、IT系の勉強会・ミーティングの類いに、主催氏自ら足を運び、積極的に告知を図った。
即売会でチラシを撒く既存の方法よりもこの手法の方が、より想定し得る参加者像にマッチングした告知となるだろう。同人誌即売会における従前の告知手法とも一線を画した、斬新な告知方法だと思う。

ただ、足を運ぶ告知先が、IT系に偏っているのも事実だ。
だからこそ一般参加者も出店サークルも、IT系が多いのだろう。
今のままでは、理系偏重…いやIT偏重がより先鋭化するのは間違いない。
そうなればこれは「劣化版・技術書典」というべきものになりかねず、文系も可とする『銭けっと』ならではの独自性も損なわれてしまうと思う。

確かに文系だと、IT系のような勉強会等の文化は余り見られず、手ごろな告知先が見当たりにくいという点もあるだろうが、何とか告知先を見つけ、商業系・経済系等の開拓にも力を入れる必要があると思う。


  • 2.銭けっと・当日の様子


会場は、大阪なんばど真ん中の「大阪御堂筋ホール」。
近鉄/阪神の大阪難波駅や地下鉄/南海なんば駅からは、それぞれ徒歩数分でアクセス可能。各鉄道線のなんば駅を結ぶ地下街から、「御堂筋ホール」の建つビルの地下に直結している。地下街からビル地下に入り、エレベーターで会場に向かうという形だ。
地下街とビル地下との出入り口のところに、案内のPOPが貼られ、スタッフもそこで誘導を掛けている。

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エレベーターで御堂筋ホールのフロアまで赴き、そこで受付を済ませる。
サークル参加費は当日払いということなので、受付で参加費を払って入場・設営。

ただ領収書を発行したりだので、1サークル当たりの対応時間が長め
それでも、15サークルというこのイベントの規模なら、問題はないだろう。しかし、もっとサークルが増え数十サークル規模になるのなら、受付がボトルネックとなるのは明らかだ。

サークルを増やすのも必要だが、いざサークルが増えたら受付が大変なことになる。
参加費は事前に収受する(これは、安易なドタキャンによる取りっぱぐれの防止にもなる)など、受付を簡略化する工夫も求められるだろう。

配置も事前に決めていたようだが、配置番号も事前には知らされておらず、配置を案内されたのは当日。
受付時、配置を口頭で案内していたが、その分受付に要する時間は長くなる。
これも15サークルだからこそ問題にならなかっただけであって、数十サークル規模になれば、間違いなく受付待ちの長蛇の列ができ、ボトルネック化する。
やはりここは、(他の即売会で当たり前に実践しているが)事前に配置図付で配置スペースの番号を案内し、当日受付業務の簡略化・時間短縮を図るべきだろう。


12時スタートだが、初動は10人ぐらいと極めて弱いw
その後も少しずつ足を運ぶ人は出てくるが、全体的に人は少なめ。
もっとも、人の少なさの割には買う気満々な方々の率が非常に高く、買い手との会話が購入行動に繋がりやすい。「やればやるだけ還ってくる」感があり、モチベーションも湧いてくる。
サークル的には、買う気満々な買い手ばかりという状況に助けられた、とも感じている。


注目すべき取組は、併催して開催されたライトニングトーク
プロジェクターを別途用意して、10〜15分程度の短いプレゼンが数本実施された。
特筆すべきは、中学生参加者の登場。中学生によるライトニングトークは、Vtuberについてのプレゼンテーションで、少なくない方が足を止めて聞き入っていた。
「学術」というカテゴリーがジャンルに含まれているだけあって、学術発表にも門戸を開いた取組と感じた。



  • 3.『銭けっと』総括


『銭けっと』は、技術書系即売会で著名な『技術書典』を意識してはいるものの、技術書にもとどまらず、経済・商業系等文系ジャンルや、学術系ジャンルにも門戸を開いた即売会である。
しかしながら主催氏側のマインドは、どうしてもIT技術方向に向いている
それ自体は否定するつもりはないが、元々の「実用書全般」という取扱カテゴリーとの齟齬が生じかねない。

『銭けっと』にとっては、文系ジャンルや学術系ジャンルの受入、加えてライトニングトーク等の趣向が『技術書典』との差別化につながる「長所」足り得る。
IT技術方面への偏重傾向が強まると、『銭けっと』ならではの差別化要素を打ち消してしまうことにもなりかねないので、その点は心に留めていただいたいところだ。

なお、『銭けっと』は今回こそ大阪開催だが、全国各地で巡業しての技術書読書会を開催している。
既に今月は石川県で読書会を開催。今月末には大阪、来月には博多での開催を予定してる。この怒涛の全国展開は、全国にこの手の書誌・そしてそれに付随する知識を流通させたいとの思いから来ているようで、主催氏ご本人の言葉を借りると「故郷で働くことが不利益とならない社会を築く」という目的から来ているようだ。

2019年5月には、埼玉県川口市での『埼玉銭けっと』も開催。
積極的な活動を続ける、今後の『銭けっと』の軌跡にも注目していきたい。


【追記】
『埼玉銭けっと』に申し込んで気付いたが、サークルの申込方法が、若干分かりにくいかもしれない。
『銭けっと』のサークル申込方法は、必要事項を問い合わせフォームにぶち込むだけの簡単なものだ。

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ただ、通常の問い合わせフォームを用いてのサークル申込という方法は、サークルにとって馴染みが薄い。
サークルにとっては分かりづらく、申込方法が分からず終わってしまう、という話にもなりかねない。
webページの上部メニューを、「お問い合わせ」ではなく「お問い合わせ&サークル申込」として、サークル者にも分かりやすく表現した方が良いと思う。