『ステーションメモリーズ!!』(通称「駅メモ」)は、駅をチェックポイントとした位置ゲーム。2014年頃からサービスが開始されている。
私の周囲でも、鉄道クラスタの皆様中心ながら、ユーザーは決して少なくはない。
女の子キャラが登場するということで、二次創作にもなる。オンリーイベントも登場する。ここまでは、まあ分かる。
だが、開催地が愛知県蒲郡市とな。なんでわざわざその場所でやんのよー?
というわけで、筆者は愛知県蒲郡市に急行した。

◆◆目次
1.位置ゲームと観光振興
2.流浪?のイベント『ねこぱん通りま〜す!!』
3.静かな海の町も、会場内は一変し賑わいを見せる
  • 1.位置ゲームと観光振興


この手の位置ゲームは、自らの足でその地に辿り着かねば、ポイントにならない。外出・お出かけを強いる性質のゲーム、と言えよう。
だからこそ、「観光振興」「誘客」といった施策との親和性は高い。

例えば、位置ゲームとしては『Ingress』が人気だが、岩手県や横須賀市は『Ingress』を活用したイベントを開催。『Ingress』ユーザーの誘客に勤しみ、一定の成果を上げている。
『ポケモンGO』を活かした誘客に取り組む地域も少なからずで、北海道江別市や鳥取砂丘・宮城県石巻市など、多くの地域で成果が見られる。
ただ、アニメ聖地と異なり、コラボイベント頼みの誘客中心。イベントを投下し続けない限り持続可能性を維持できない、という傾向もある。イベント頼りの集客は、地域側もエネルギーを消費しがちで、息切れも気になるところだが…

(位置ゲーを通じた地域への誘客も、コンテンツツーリズムの一形態。筆者の研究対象ではあるものの、まだ余り手を付けられてはいない…どこかで体系的に纏めてみたいところである。)

『駅メモ』も同様で、岩手県とのコラボ企画が見られるほか、エイチ・アイ・エスの自社グループ所有のリゾート「ラグーナテンボス」(愛知県蒲郡市)との「地方創生コラボ」が見られ、駅メモユーザーの誘客に勤しんだ。

…うん、何故この即売会が蒲郡の地を選んだか。だいたいお察しいただけようw
過去に駅メモのイベントが開催された町、という部分が大きいのだろう。


  • 2.流浪?のイベント『ねこぱん通りま〜す!!』


このイベントの経緯も、極めてユニークなものだ。
初回開催は、2017年11月開催。京都・紫名会館を会場としている。
関東で駅メモオンリーが開催され始める中、ならば関西でも開いてみようという流れでスタートしたはず…だった。

ところがその中で参加者から受けた要望が、「全国各地でやって欲しい」という中々大変な代物。
とりあえず二回目は川崎で開催しつつノウハウを蓄え、そして今回の蒲郡が、全国巡業開催の本格的なスタート、と位置付けられるだろうか。

駅メモは位置ゲー。ゲームの性質上、ユーザーも、全国遠征を苦にしない方々が多かろう。
だからこそ、全国各地での巡業開催という形態は、参加者の行動様式と相性が良いのかもしれない。


  • 3.静かな海の町も、会場内は一変し賑わいを見せる


蒲郡市自体は、人口8万人の町。中心街は駅の北側で、南側は景勝地・竹島の玄関口ではあるもの、閑静な住宅街が中心の街並みだ。
会場の蒲郡市民会館へは、蒲郡駅の南側に出て、徒歩5分。駅周辺は、商業施設「アピオ」以外は住宅ばかり。海風が吹きつつも、静かな街並みだ。

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だが、市民会館の中に入り会場に辿り着くと、中は大盛況。私が来場したのは開場1時間後の12時過ぎだが、200〜300人は居ただろうか。
この手の巡業開催、全国各地からファンが集うのが通例としても、中々の人出である。サークル数も、40サークル近くを集めている。

遠征組の多いイベントらしく、会場内には全国各地の物産品が差し入れとして並べられており、参加者は自由に食べて良いとのこと。浜松や広島など、各地のお菓子が並べられていた。
駅を舞台とした位置ゲーだけに、鉄道ファンも多い。Nゲージなど、鉄道模型の走行会も併催されていた。
この他、ガチャガチャ企画が用意されたり、駅メモの成績を競い合う企画もあったり(そういえば、会場外でも結構な数の方々が駅メモに興じていたが…あれは企画があったからか)、色々趣向が凝らされていたと思う。

サークルの頒布物を見ると、合同誌あったり、二次創作のキャラ本があったり、旅行記系もあったり。結構力作が多い印象。
参加者層としては、やはり男性中心ながら女性ユーザーもそこそこ居り、男女比8:2ぐらい。30代前後の、一定資力のある年齢層が多かったと思う。
私は最後までお付き合いできなかったが、イベント終了後はケータリング業者の協力を得て、立食パーティー形式の交流会も開かれたようだ。

元々このジャンル、遠征を苦にしない(というか遠征大好きな)層が多そうだが、そういう連中が全国各地から集うイベントといった趣だ。
765プロ時代・草創期アイマスジャンルのオンリーが、まさにそんな感じだったが(十勝や鳥取・那覇を会場に全国各地から集結)…この駅メモも、規模こそ違えど同じ匂いを感じるw

こういうイベントは、何処の場所で開催されようと、参加者の集まり具合は堅い。どんな僻地でも、来る人は絶対来る。
逆に、ユーザーが「遠征したくなる」場所で開催できるかどうか。開催地の選定こそが、即売会成功の鍵を握りそうな気もする。