大阪府枚方市で、小規模ながら地道に開催され続けている即売会「コミハンハヤカワ」にサークル参加させていただいた。
ベッドタウンとして住宅街の広がる、枚方市樟葉。
京阪くずは(樟葉)駅から徒歩約10分という至便の地に立つ、「アートセンターハヤカワ」が会場だ。

「アートセンターハヤカワ」は1978年創業の画材屋さん。
文具品や書道用品、漫画コミックも扱い、「アート」という観点からアイテムを取り揃えている専門店だ。
また、芸術大学志望の学生に特化したアートスクールも開催。芸術大学向けの「予備校」的な側面も見られる。社会人向けの絵画教室も実施している。
この「アートセンターハヤカワ」が、自ら主催として立った同人誌即売会。それが、同人誌即売会「コミハンハヤカワ」だ。

「アートセンターハヤカワ」は5階建ての自社ビルに実店舗を構えており、1階が画材・文具等の取り扱い。2階でコミック類を取り扱っている。
3〜5階は、普段はアートスクールでのアトリエとしての活用。
今回は5階が会場とのことで…つまり、アトリエで開催される同人誌即売会、という新境地を体験することとなるw
IMG_20191104_113158


また、「コミハンハヤカワ」は、主催者が自前の施設を用意して開催する即売会、ともいえる。
この手の即売会は、若干ながら、たまにお見掛けする。
印刷業者「ポプルス」が自社所有ガレージを利用して開催する同人誌即売会(東京都福生市)や、ジョイフル本田が自社店舗内で開催していた同人誌即売会(千葉県北部・茨城県南部で過去お見掛けした)などが挙げられよう。
これらは自社事業・自社店舗活性化の一環としての「同人誌即売会開催」であり、アートセンターハヤカワでの同人誌即売会「コミハンハヤカワ」も、これに近いものと考えられよう。
自社所有の施設・備品を利用するため、他の即売会に比べ比較的ローコストでの開催が可能な点は、大きな「強み」となるだろう。

同人誌即売会「コミハンハヤカワ」は、今回で開催81回目を迎える、
始まりは不明だが、2002年9月時点で「第12回」とのことなので、恐らく20世紀末の立ち上がりだろうと推察される。
その後は年4回ペース、2010年代以降は年2回にペースを落とすも、ローコストで負担が比較的少なく運営できることもあり、今日まで命脈を保っている。


京阪くずは駅から、くずはモールを抜けまっすぐ歩くこと10分、アートセンターハヤカワに到着。
実店舗の横に、3〜5階の絵画教室に上がるためのエレベーターが。エレベーターの前に、店員さんが陣取り、サークル受付やイベントカタログの販売など、窓口業務を受け持っている。

IMG_20191104_113209


受付を済ませ、エレベーターで5階に上がり、自分のサークルに着席。
配置がちょっと変わっていて、普通の即売会だと机を何個か並べて列を形成させるが、「コミハンハヤカワ」は、中央にイラストコンテストコーナーやお絵描きコーナーを配置。それを取り囲むように机椅子を配置している。
うーん、これ完全に絵画教室のノリだなあw

サークル数は14サークル・17spと小規模だが、これで5階のアトリエがほぼいっぱいいっぱいに。
近年は、おおよそ20sp程度で推移している模様。

参加層は、サークルも一般参加者も、男女比は、ほぼ五分五分といったところだろうか。同人ゲームのサークルもいればオリジナル創作のサークルもいるなど、サークル数の割には参加ジャンルは多彩。ただ、地場の即売会でありがちなアクセサリー系サークルはお見掛けしなかったような…?
そのあたりも含め、他地域の地場即売会とも、やや雰囲気が違う気もする。

一般参加者は、地元の中高生も来ている一方、歴史のある即売会だけに、年配の参加者・男性の参加者も案外多い。
ここも他地域の地場即売会とも異なる傾向だが、「歴史ある即売会」という切り口で見ると、他の歴史ある即売会と同じ傾向と言えようか。

ただ、全般的に参加者が少なめだったのが残念。
この即売会に何度も参加しているという方にお話しをうかがったが、サークル数は数年前と変わらないものの、一般参加者が明らかに少なくなっているとのこと。

やはりここは、ツイッターやpixiv等、今の時代に即したアピール方法を考える必要がありそうだ。
ハッシュタグを用意して、ツイッターでサークル参加者に使ってもらうよう協力を要請するとか、いろいろ方法はあると思う。
一般参加者が増えないと、それに刺激を受けサークル参加を志す人も、増えることはない。一般参加者の存在は、サークル参加の「土台」というべき存在。ここをおろそかにしたくはない。

アートスクールの生徒さんにサークル参加を促すなど(あるいはその逆もあり)、「アートスクール」「同人誌即売会」というこの会社ならではの2つの経営資源に、相乗効果を持たせる取組も、検討に値するだろう。

いずれにせよ、こうして地域に根付いている即売会は、その地域に同人誌という文化を伝える「宝」というべき存在。
今後も、枚方の地に、地道な取組で同人の火をともし続けていただきたいところである。