鹿児島から南に400数十km。
北方領土を除けば、沖縄本島・佐渡島に次いで3番目に大きい島「奄美大島」。
流石にここで同人誌即売会が開催、という話は聞かなかった。

しかし、私のアンテナの精度も完璧ではなかった、ということなのだろう。
確かに「同人誌即売会」ではないものの、「オタクのフリーマーケット」と銘打って、同人誌即売会に準じる催事が開催されていた。しかも今回が7回目とのこと。結構続いている。

その存在を知るや否や、筆者は速攻飛行機を手配した。

というわけで前日の土曜日、羽田から奄美への飛行機に搭乗。
奄美到着後は、旧日本海軍の戦跡をちょっとだけ巡る艦これ「提督」的な動きをしたり、あるいは大和村の景勝「宮古崎」を訪れ「西郷どん」の「聖地巡礼」をしたり、黒糖焼酎の飲み比べをしたり。そんな感じで、島内観光に勤しむ。

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【「西郷どん」オープニングの舞台「宮古崎」】

そして翌日、午前中少し観光した後に、午後「オタク市」に顔を出した。
会場の「AiAiひろば」は、奄美の繁華街「名瀬」アーケード街から徒歩圏内の公共施設。
空港と市街地を結ぶ幹線路線のバス停も徒歩圏内なので、アクセスも問題ない。

会場に入ると、多数のコスプレイヤーで賑わいを見せている。
サークルも7サークルと決して多くはないものの、人口も多くない島での即売会だ。参加できるサークルにも限りはあるはず。それを考えると、健闘しているとは思う。
「同人誌即売会」ではなく「フリーマーケット」という枠組みだが、参加サークルの多くが自作の同人誌や小物類を頒布。事実上の「同人誌即売会」と見て差支えはないと思う。
(注:自作モノではなく、不要のアニメグッズ売ってるサークルも少数存在)

一般参加者は入場無料、カタログも用意していないが、入場者には記念品的に名刺サイズのカードを進呈。
進呈時に「注意書きを必ず読んで下さいね」と案内を受ける。

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なるほど、こうやって参加者への諸注意浸透を図っているということか。

今回のこの催事で、一番盛り上がりを見せているのは、明らかに「コスプレ」だろう。
実はサークルも、大半がコスプレをして売り子をしている。
コスプレイヤー同士の歓談も会場内至る所で見られるし、コスプレイヤー用に、背景用の白の緞帳も用意されている。

家族連れで来ているのだろうが、小学生以下のコスプレイヤーも多い。
全体の3割ぐらいが、小学生以下の小さい子。
私は背丈もあるので、間違って小さい子たちを膝で蹴っ飛ばしてしまわないか?とつい気を遣ってしまうレベルであるw
色々な催事を行脚している自分でも、こういう気の遣い方は、流石に初めてだ(汗)


人口の少ない「島」ならではのハンディはあるものの、それを乗り越え「オタク市」は定期的な開催を継続し、健闘を見せている。
これは、私が思うに、地域に根差した告知活動の賜物と考えている。

「オタク市」では、地元店舗にポスターを貼ってもらうことで、島内への告知を徹底させている。
ポスター掲示店舗を拝見すると、店舗数の多さが目を引く。主に、繁華街・名瀬のお店が多いが、よくよく見ると、名瀬からもさらに車で1時間以上(注:奄美空港からだと車で2時間)掛かる、島内最南端の瀬戸内町にも告知対象を広げている。島内全域に告知の網をかけている。
さらに、主催側は地元FM局にも番組を持っており、そこでも告知宣伝を図っている。

また、今回は昼間開催の「オタク市」だが、これとは別に「夜のオタク市」というイベントも開催されている。
筆者が奄美で夕食をとろうと入った「ROAD HOUSE ASIVI」というお店。
ここが偶然にも「夜のオタク市」会場としても起用されているお店で、スタッフさんから「夜のオタク市」の様子も色々聞かせてもらった。

ライブハウスとしての顔も持ち、著名アーティストのライブも時々開かれるこのお店は、ステージ完備。音響設備も充実している。
ここでDJイベントやライブを行いつつ、サークル物販もOK、というスタンスらしい。
18歳未満入場不可・入場料はワンドリンク付1500円というレギュレーションは、子連れも多い「オタク市」とは対称的な、大人のイベントと言えるだろう。

「オタク市」「夜のオタク市」ともに、それぞれ年1回ペースの開催で推移している模様だ。
過去の開催履歴を紐解くと、2013年が第1回の開催。2020年の現在に至るまで継続し、4月にはDJイベントも予定されるなど新たな動きも見られる。
奄美のオタク達にとっての、かけがいの無い「場」として、今後の永続を望みたい。

筆者も機会があれば、次は「夜のオタク市」で焼酎呑みながらサークルとして参加してみたいw