9月17日付で、全国同人誌即売会連絡会より、「文化庁の『文化芸術活動の継続支援事業』について」と題する声明が出された。

参考リンク:同人誌即売会も支援事業の補助対象に 全国連絡会が告知、尽力した議員に謝辞も

この声明がどういう内容かというと…

コロナからの復興支援を目的とした補助金だが、同人誌即売会主催が申請することも可能ですよ!
既に即売会主催連中で、申請に向け動いている人もいる。
サークルも条件次第では、補助金の適用が可能ですよ、と。
そういう声明だ。

コロナでコミケ以下多くの即売会が頓死している状況。同人関係者、皆苦しい。
そして「補助金」は、融資と異なり返済が不要。返さなくて済むのはありがたい。
使えるものならば、何だって使っていこうではないか。

ただ、この同人界隈、補助金云々の話題が出てくるのは、もしかしたら初めてかもしれない。
申請に不慣れな方も、決して少なくはないだろう。
筆者は、士業の資格持ちとして、若干ながら補助金申請の各種支援にも携わっている。補助金については、人より詳しい自負もある。
その「士業」の視点から、補助金申請の注意点について解説したい。

【目次】
◆本当に即売会関係者も申請対象なのか?
◆募集要項は必読(特にp4〜p6)
◆添付する資料について
  • ◆本当に即売会関係者も申請対象なのか?


まずは対象要件を見てほしい。

bunkageijutujosei01


この手の補助金は、法人格を持った中小企業ないし個人事業主が対象。
しかしこの補助金、極めて異例だが、「任意団体」も対象に含めている。
即売会主催団体のほとんどが任意団体なので、対象要件の1つはこれでクリアだ。

ただ、こういう規定もあり、これをどう解釈するかで悩んだ。

bunkageijutujosei02


この規定は、あくまで「文化庁のお役人の想定」なので、同人の世界を役人が知らず「想定外」ということなら、ここに盛り込まれていなくとも、同人関係者は対象となり得るだろう。
書き方を工夫し、同人活動が芸術活動の一環である、とうまくアピールできるならば、充分通るだろうとは思ったが、断定には踏み込めなかった。

幸いにも、与党系2議員が文化庁に問い合わせをし、同人関係も対象に含まれるとの回答を得たとのこと。

あくまで「芸術活動」と見なされるような「書き方」次第だとは思うが、同人誌の世界も、補助金の対象要件から外れない。そこは間違いないと思う。


  • ◆募集要項は必読(特にp4〜p6)


募集要項は、申請者全員必読だ。
コミケに参加するにあたり、コミケカタログの注意書きや、コミケットアピールを全文読め!と準備会はお願いしているだろう。あれと同じようなものだ。

<募集要項ダウンロード>

特に、p4〜p6の内容は音読して繰り返し読むぐらいでちょうど良い。
そこには、この補助金を申請する上での「基本」が書いてある。

例えば、助成対象として認められる経費は、【2/26〜10/31】までの間にかかった費用となる。
トライアル公演(即売会で言えば、別の日に延期して開催)は12/9まで延長が可能。
つまり、それまでに出費を終えないと、経費も助成対象にはならない。
補助対象には、期間の定めがある。だから、その期間内に出費を済ませておく。そこに注意していただきたい。

また、補助金の受給はその後になる。
つまり、出費分が一通りでたあとに、ようやくお金が入ってくる。
補助金は皆そうだが、キャッシュフローが極端に悪いw
(注:先払いも、要件を満たせば特例で可能)

そして、即売会が終わってから30日以内に報告書を出さないと、補助金はおりてこない。
即売会が終わっても、主催はホッとする暇なんぞない。
報告書を書き上げ、文化庁に提出して、お金を貰わないといけない。
お金がおりて、初めて「即売会が終わった」と肩の力を抜くことができるだろう。
加えて申せば、この補助金に関連するすべての書類は、向こう5年間の保存が必要だ。

補助金・補助金は、そういう独特のルールの元で成り立っているのだ。
だから、そのルールの「基本」とも言えるp4〜p6は、きっちり熟読しておきたい。

…しかし、過去の募集でトラブルがあったのだろうか、それとも、補助金に不慣れな方が多いのを見越してなのだろうか。
他省庁補助金の募集要項と比べても、文化庁のこの補助金、異様に細かく・懇切丁寧に語っている感じがする。


  • ◆添付する資料について


補助金では「当たり前」のごとく求められる資料だが、初めての体験だと戸惑う方も多いだろう。同人オタ兼士業持ちの目線で、以下アドバイスさせていただきたい。

(1)定款
任意団体の場合は、定款は必須だが、即売会主催団体で作ってるところがあるとは思えないw
ゆうちょ銀行で団体名義の口座持ってれば、その時にこさえた定款が残ってるかも?
…無ければ作るしかない。

なお、定款記載内容には募集要項p9の【(文化芸術団体について)「ロ」の項 銑】を盛り込むこと。
無ければ改定するしかない。


(2)前年実績を示す書類
向こう3年間で2回以上の活動実績が必要。
任意団体は、加えて前年2019年6月1日以前から、活動している実績が必要。

即売会主催に関して言えば、活動実績を示すものとして「チラシ等」が無ければ「イベントパンフ」でも通用すると思うし、webの告知画面を印刷したものでも構わないだろう。
注:コロナ関連の給付金・補助金等は、webのプリントを証憑として運用してたところが多い

それすらなければ、webachiveから過去の画面引っ張っくる方法も考えられる。
ケットコムの、過去イベ掲載画面のプリントでも、何とかなるかもしれない。無いよりはマシなはず。

サークルの実績を証明するものは…サークル案内とか、印刷所への納入先指示を記録したメールとか、イベントサイトのサークル参加リスト、イベントカタログ、同人誌等の「組み合わせ」が考えられる。
ただし、18禁エロ同人サークルで、アクメ顔ダブルピースのサークルカットなどを活動証拠として提示するのは、冒険が過ぎるので余りお勧めしないw
幾つかの書類の組み合わせになると思うので、どう組み合わせるかがポイントだろう。

★上記とは別に、確定申告等、金銭面で裏付けとなる書類も必要。

それ以外は常識的な範囲内(身分証明書等)なので割愛。


  • ◆事業計画書の書き方「1.事業目的」〜あくまでも趣旨は「芸術支援」。趣旨に沿った書き方を!〜


ここから先が一番大事な「事業計画書」の書き方について。

事業計画書 ダウンロード(pdf,excel対応)

国の事業である以上、各方面からチェックが入る。会計検査院とか議員とか市民団体とか、まあいろいろとつつかれる。
定められた事業内容から逸脱したとこに補助金を渡したら、批判を受けるのは必至だ。
国としても、当然それは避けたいわけで、そのための「審査」である。

募集要綱p4に、この事業の趣旨が書いてある。
ここは特に、もう10回ぐらい追加で音読を繰り返しても良いぐらいだろうw

>「文化芸術活動の継続支援事業」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により活動自粛を余儀なくされた文化芸術関係団体等に対し、感染対策を行いつつ、直面する課題を克服し、活動の再開・継続に向けた積極的取組等に必要な経費を支援し、文化芸術の振興を図ることを目的としています。

あくまで文化芸術活動の助成なので、それに即した「書き方」が必要だ。
いわゆる「霞が関文学」というやつ?

今回提出書類となる「事業計画書」の「1.事業目的」には、「芸術活動支援」という国の施策に即した内容を書くことが望ましいだろう。

(書き方例)
<リスクあり>18禁エロ同人誌の即売会の開催、制作・販売
 ↓
<自分だったらこうします>
〔_茱ャラクター二次創作の同人誌を制作・販売
同人誌即売会の開催を通じ、,粒萋阿鮃圓人々に活動の場を提供
 ⇒´△鯆未検▲汽屮ルチャーの発展に貢献。

18禁という面倒なポイントを削り、「二次創作」等の文言を加えオブラートにつつっみつつ、これを通じ「サブカルチャーの発展」と意義まで書き加えてみた。
こうすれば、だいぶもっともらしくなるのではないか?
各自「書き方」を工夫いただきたい。

で、続いて事業計画書の次の項目
「2.具体的な活動内容(開催時期、場所、参加者、内容等)」
「3.事業実施のスケジュール」
「4.期待できる効果」


の3点ですが、これは長くなりそうなので(後編)に続く!