12月24日、私は、江東区内で開催された「男の娘☆セミナー 〜商標権の新たな運用法、可能性を探る〜」に出席させていただいた。
このセミナーの講師/司会者は、同人誌即売会「男の娘☆」を定期開催する、イベント主催団体「モノリス」の主催氏。
先日当ブログでも取り上げたが、氏は、「男の娘☆〜」の名称を、イベント名としての使用目的で、商標として登録した。
この件について巷で反発もしくは不安視する声が上がっており、説明の場を設ける事でこれに対応したと言えよう。
氏が同居している、江東区内の政治活動家・猪上一生氏の活動報告会の「第二部」としての扱いで、急遽開催する運びとなった。
ただ、そういう構図であることが充分伝わらなかったのは、このイベントに課せられた反省点の一つである。
例えば、猪上氏の活動報告目当てで参加した支援者からは、第二部で商標登録の話になるとは知らなかった、とのコメントが上がった。
一方、モノリス側の告知も、猪上氏の活動報告会の第二部として開催する事が明言されておらず、告知としては不充分。
商標登録セミナー目当てで参加した方は、いざ会場に行ってみて、会場に「猪上一生活動報告会」としか書いてなかったから、戸惑った方も少なくない。
更に申せば、第一部の猪上氏活動報告会と、第二部の商標登録セミナーとの間に、インターバルを挟むべきであったと思う。
第一部/第二部通算すると2時間半に及び、ぶっ通しにしても長すぎる。
それに、第一部と第二部とを明確に分ける事を通じ、第二部目当ての方への案内が分かりやすくなる効果もある。
この点も、反省点の一つと心得る。
イベント構成への苦言はこのぐらいにして、イベント内容そのものの推移に触れる。
第一部は、猪上氏の政治活動報告会。詳細は割愛するが、氏が江東区議選に出馬する経緯、そして結果(残念ながら落選)、今後の政治活動の方針等が語られた。
続いて第二部が、モノリス代表(「男の娘☆〜」主催)による商標登録セミナー。
これが始まる頃までには、何故か【コミティア】や【クリエイション】の代表氏や、【コミケット準備会】の最高幹部クラスの方など、【同人界隈の大御所】な方々が加わる。
マスコミ関係者も出席され、10人強の小規模セミナーにも関わらず錚々たる面々が揃う。
(同人界隈の大御所方が出席された背景には、この商標登録の一件、モノリスも加盟している「全国同人誌即売会主催者連絡会」内部でも物議を醸していたらしく、それが影響していると考えられる)
「男の娘☆セミナー」プレゼンテーションの内容は、「男の娘☆〜」公式サイト内に「男の娘☆セミナー1 〜商標権の新たな運用法、可能性を探る〜」http://otokonoko.monolis.jp/seminar/01.phpと題したページがあり、こちらをご参照いただきたい。
モノリス側の主張としては、商標登録の目的として、彼らと敵対するイベント主催が居り、モノリス主催イベントへの運営妨害が行われていおり、それに対抗すべく商標登録を行ったとの由。
モノリスと仲の悪いと思しき他のイベント主催が、似た名前のイベントを開催した事が、仲のこじれた原因か?
そこで自分のイベントを守る為に、商標登録を行ったとの事だ。
本当にイベント妨害が為されたかについては、敵対団体も反論を掲げており、言い分も真っ向食い違うので、事実関係の判断は【留保】する。
但し、自己が用いるネーミングを守る事を動機として商標を登録する方は、決して少なくない。
イベント妨害が本当なのか、只の考え過ぎなのかは分からないが、「自己の用いる名前を守る」という部分は、商標登録を取る動機としては、普通に有り得る真っ当な動機だ。
また、商標権者にはライセンス(商標の使用権)の許諾を行う権利が認められている。
この場合、商標権者は有償の使用料を取りライセンスを与えるのが通例だが、モノリスは「お金を取らない」…すなわち無償で許諾するとの事だ。
金銭を目的とせず、あくまでイベント名としての「男の娘☆〜」を守りたい目的である事が、この事からも裏付けられよう。
商標登録の動機としては、それなりに理解はできる。
過去のブログでも述べた事の繰り返しになるが、モノリスが「男の娘☆」の商標を取得する事そのものについては、私は正当性があると見なし、肯定の立場を取りたい。
ただ、モノリスが掲げる商標権の運用ポリシーには、いささかの不安と疑問が残る。
>1、当団体と過去にトラブルを起こした団体及び個人への使用は許諾しておりません。
>2、同人誌ファン及びコスプレファンの混乱を避けるため、第三者が主催するイベントでの無断使用は許諾しておりません。
上記2項目に該当しないものは、商標権の続く限り、「許諾フリー」としている。
上記要件に該当しないものは、原則許諾する意向だ。
許諾フリーの構想も、私は支持するものである。
但し問題は、その条件に該当するか否かを、誰が判断するのか?である。
特に、1の条件は主観的な判断になりがちだ。
これは質疑応答でも出た疑問だが、「男の娘☆〜」を使う側が「嫌がらせ」目的かどうか、誰が判断するか?という問いに、モノリスの主催氏自身が判断するとの回答があった。
しかしそれは、仮にモノリスに対し邪な気持ちを持たぬ者が、モノリス主催氏の判断により「悪意有り」と見なされてしまう可能性を含む。
邪な気持ちを抱く者が使用を拒絶されるのならともかく、邪でないものが主催氏の判断で拒絶される…一種の「冤罪」の危険を含む。
(実際、モノリス側と他イベント側とで言い分が異なる事例も発生している事も鑑みると、有り得ない話でもないと思う)
これが「男の娘」の語を用いたイベントの開催に、萎縮を呼ぶのではないかとの懸念が指摘されるも、指摘者の懸念を払拭しきれなかった印象。
指摘者の懸念を払拭するには、【客観的な判断を担保】し【冤罪の危険を防ぐ】為の改善が必要、と感じた。
それが為されない限り、主催氏が恣意的に許諾権・禁止権を繰り出すのでは?との懸念を払拭することは、難しいのではないか。
また、「禁止権を最小限に」とのポリシーを出されているが、その範囲がどこまでなのかが不明瞭である。
商標権の基本をもう一度おさらいする。
商標権者たるモノリス主催氏は、商標「男の娘☆」の使用権(=自身の使用)及び許諾権(=他人の使用の許諾)、そして(他者使用に対する)禁止権を有している。
これらはモノリス主催氏に認められるべき権利である。
但し、禁止権の範囲は、類似の用途並びに類似の名称にも、認められている。
類似の名称に、禁止権を設定するのかどうか?
もっと言えば、「☆」を取った、(同人界隈で浸透しつつある単語)「男の娘」という単語を用いたイベント名にも、類似商標だからと、禁止権を発動するのか?
この件に懸念を示す方々の多くは、これを心配しているのではないか。
これに明確な回答が無い限り、モノリスへの懸念や反発を払拭する事は難しいと思う。
そもそも「男の娘」という単語は、昨今においては、一部界隈のみとは言え、それなりに用いられ定着しつつある単語=「慣用表現」である。
商標法においても、慣用表現は、禁止権対象からの除外が定められている。
イベント名に「男の娘」(☆が入らない)が含まれているだけでは、禁止権は行使できないと思われる。
(「男の娘」が慣用表現に当たらないとの説もあるが、ならば☆の付かない「男の娘」で商標登録を申請すればよい。慣用表現に当たらないのなら、申請は通る可能性が高いはずだから。)
世間が心配する「男の娘」(☆無し)への禁止権の行使は、現状であっても既に不可能と考える。
(ユウメディア主催「だって男の娘だもんっ!」が商標登録通っている事実は、「男の娘」と入るだけで禁止権は出せない事の裏付けでもある)
だからお前らが騒いだり心配したり問題視したりしなくても大丈夫だ、問題ない。これが私の立場である。
ただ、世の中の全員が商標制度を理解している訳じゃない。いまいちよくわからない…という方も少なくない。
知らないからこそ、不安視し心配になる、という部分もある。
そこで私は、主催氏自らが、「男の娘」とだけでは禁止権を行使しない(できない)、と明言される事をお勧めしたい。そうすることにより、世間の反発は収束できると考えるからだ。
尚、セミナーの質疑にこんなやり取りがあるのだが…
>『男の娘☆』で商標をとられていますが、☆のつかない「男の娘フェス」については権利を主張されるのですか?
>「男の娘☆フェスティバル」というイベントを開催してるので、「男の娘フェス」という名称は、流石に名前が被せすぎだと思います。
これについて、モノリス側が何とかしたい気持ちは分かる。モノリス側が物申すのも当然の権利だろう。
しかし、「男の娘☆」と☆が付いていない以上、商標制度を盾に禁止権を発動する事は不可能。
この事例に関しては、話し合い等、商標制度に依らない方策を以て当たるべきと考える。
最後に、私の疑問をもう一つだけ申し上げたい。
今回のセミナー中で、再三再四「話し合いをしましょう」という訴えが繰り返される。
しかしながら、今回のセミナー中、特定団体を明示し、彼らからの脅迫電話等妨害行為があった、などとして経緯説明を行っている。
その真偽の判断は留保するが(実際対立団体側と主張が相反しているし)、問題は【名指しする必要性があるのか】という事。
ボカして語っても良かったのではないか?
名指しする事は、名指しされた側からすれば、「喧嘩売ってる」となる。
モノリス側と、名指しされたイベント側との関係は、これまで以上に悪化するだろう。
これまで以上に、話し合いがしづらくなるのではないか。
正直、こうして名指しする行動は、話し合いを諦めたかのようにも見える。
話し合いを主張される方が、話し合いを諦めるかのような行動は、言行の不一致とも捉えられかねない。
その辺り、言行の整合性を見直してみても、損はしないはずだ。
商標権を取得する事自体は、その名前でイベントを営む以上、決して否定されるべきものではない。
但し、類似商標に当たる、☆なし「男の娘」の語の使用が禁止されるのでは?との疑念が、今回の騒動の根幹だ。
実際には、「同人イベント開催」を目的とした商標登録だから、例えば同人誌等で「男の娘」は無論、「男の娘☆」としても、禁止の対象外だ。
イベントにしても、☆なしの「男の娘」なら、原則禁止の対象外(※)だ。☆付の「男の娘☆」は当然禁止対象だ。
もっとも、普通に商標法を解釈すれば、その結論に至るので、今更「男の娘」が使えなくなるのでは?なんて心配、する必要すら無いのだが…
ただ、商標権者がそう明言すれば、人々の不安も収まり、この騒動も終焉に至るとも思う。
(※)蛇足で少々。☆無し「男の娘」は、基本的に使用禁止の対象外だが、☆無しでも禁止できるケースも若干存在する。
当該商標登録のページを確認すれば何となく分かろうが、今回の「男の娘☆」は、図形として登録されている所謂「図形商標」である。
類似商標への禁止権も、名称の類似というよりは寧ろ図形の類似に対し、発動されるべきものである。
例えば、イベント名で☆無し「男の娘」であっても、ロゴデザインが似ていたりとかすれば、モノリス側も禁止権を発動できるであろう。
このセミナーの講師/司会者は、同人誌即売会「男の娘☆」を定期開催する、イベント主催団体「モノリス」の主催氏。
先日当ブログでも取り上げたが、氏は、「男の娘☆〜」の名称を、イベント名としての使用目的で、商標として登録した。
この件について巷で反発もしくは不安視する声が上がっており、説明の場を設ける事でこれに対応したと言えよう。
氏が同居している、江東区内の政治活動家・猪上一生氏の活動報告会の「第二部」としての扱いで、急遽開催する運びとなった。
ただ、そういう構図であることが充分伝わらなかったのは、このイベントに課せられた反省点の一つである。
例えば、猪上氏の活動報告目当てで参加した支援者からは、第二部で商標登録の話になるとは知らなかった、とのコメントが上がった。
一方、モノリス側の告知も、猪上氏の活動報告会の第二部として開催する事が明言されておらず、告知としては不充分。
商標登録セミナー目当てで参加した方は、いざ会場に行ってみて、会場に「猪上一生活動報告会」としか書いてなかったから、戸惑った方も少なくない。
更に申せば、第一部の猪上氏活動報告会と、第二部の商標登録セミナーとの間に、インターバルを挟むべきであったと思う。
第一部/第二部通算すると2時間半に及び、ぶっ通しにしても長すぎる。
それに、第一部と第二部とを明確に分ける事を通じ、第二部目当ての方への案内が分かりやすくなる効果もある。
この点も、反省点の一つと心得る。
イベント構成への苦言はこのぐらいにして、イベント内容そのものの推移に触れる。
第一部は、猪上氏の政治活動報告会。詳細は割愛するが、氏が江東区議選に出馬する経緯、そして結果(残念ながら落選)、今後の政治活動の方針等が語られた。
続いて第二部が、モノリス代表(「男の娘☆〜」主催)による商標登録セミナー。
これが始まる頃までには、何故か【コミティア】や【クリエイション】の代表氏や、【コミケット準備会】の最高幹部クラスの方など、【同人界隈の大御所】な方々が加わる。
マスコミ関係者も出席され、10人強の小規模セミナーにも関わらず錚々たる面々が揃う。
(同人界隈の大御所方が出席された背景には、この商標登録の一件、モノリスも加盟している「全国同人誌即売会主催者連絡会」内部でも物議を醸していたらしく、それが影響していると考えられる)
「男の娘☆セミナー」プレゼンテーションの内容は、「男の娘☆〜」公式サイト内に「男の娘☆セミナー1 〜商標権の新たな運用法、可能性を探る〜」http://otokonoko.monolis.jp/seminar/01.phpと題したページがあり、こちらをご参照いただきたい。
モノリス側の主張としては、商標登録の目的として、彼らと敵対するイベント主催が居り、モノリス主催イベントへの運営妨害が行われていおり、それに対抗すべく商標登録を行ったとの由。
モノリスと仲の悪いと思しき他のイベント主催が、似た名前のイベントを開催した事が、仲のこじれた原因か?
そこで自分のイベントを守る為に、商標登録を行ったとの事だ。
本当にイベント妨害が為されたかについては、敵対団体も反論を掲げており、言い分も真っ向食い違うので、事実関係の判断は【留保】する。
但し、自己が用いるネーミングを守る事を動機として商標を登録する方は、決して少なくない。
イベント妨害が本当なのか、只の考え過ぎなのかは分からないが、「自己の用いる名前を守る」という部分は、商標登録を取る動機としては、普通に有り得る真っ当な動機だ。
また、商標権者にはライセンス(商標の使用権)の許諾を行う権利が認められている。
この場合、商標権者は有償の使用料を取りライセンスを与えるのが通例だが、モノリスは「お金を取らない」…すなわち無償で許諾するとの事だ。
金銭を目的とせず、あくまでイベント名としての「男の娘☆〜」を守りたい目的である事が、この事からも裏付けられよう。
商標登録の動機としては、それなりに理解はできる。
過去のブログでも述べた事の繰り返しになるが、モノリスが「男の娘☆」の商標を取得する事そのものについては、私は正当性があると見なし、肯定の立場を取りたい。
ただ、モノリスが掲げる商標権の運用ポリシーには、いささかの不安と疑問が残る。
>1、当団体と過去にトラブルを起こした団体及び個人への使用は許諾しておりません。
>2、同人誌ファン及びコスプレファンの混乱を避けるため、第三者が主催するイベントでの無断使用は許諾しておりません。
上記2項目に該当しないものは、商標権の続く限り、「許諾フリー」としている。
上記要件に該当しないものは、原則許諾する意向だ。
許諾フリーの構想も、私は支持するものである。
但し問題は、その条件に該当するか否かを、誰が判断するのか?である。
特に、1の条件は主観的な判断になりがちだ。
これは質疑応答でも出た疑問だが、「男の娘☆〜」を使う側が「嫌がらせ」目的かどうか、誰が判断するか?という問いに、モノリスの主催氏自身が判断するとの回答があった。
しかしそれは、仮にモノリスに対し邪な気持ちを持たぬ者が、モノリス主催氏の判断により「悪意有り」と見なされてしまう可能性を含む。
邪な気持ちを抱く者が使用を拒絶されるのならともかく、邪でないものが主催氏の判断で拒絶される…一種の「冤罪」の危険を含む。
(実際、モノリス側と他イベント側とで言い分が異なる事例も発生している事も鑑みると、有り得ない話でもないと思う)
これが「男の娘」の語を用いたイベントの開催に、萎縮を呼ぶのではないかとの懸念が指摘されるも、指摘者の懸念を払拭しきれなかった印象。
指摘者の懸念を払拭するには、【客観的な判断を担保】し【冤罪の危険を防ぐ】為の改善が必要、と感じた。
それが為されない限り、主催氏が恣意的に許諾権・禁止権を繰り出すのでは?との懸念を払拭することは、難しいのではないか。
また、「禁止権を最小限に」とのポリシーを出されているが、その範囲がどこまでなのかが不明瞭である。
商標権の基本をもう一度おさらいする。
商標権者たるモノリス主催氏は、商標「男の娘☆」の使用権(=自身の使用)及び許諾権(=他人の使用の許諾)、そして(他者使用に対する)禁止権を有している。
これらはモノリス主催氏に認められるべき権利である。
但し、禁止権の範囲は、類似の用途並びに類似の名称にも、認められている。
類似の名称に、禁止権を設定するのかどうか?
もっと言えば、「☆」を取った、(同人界隈で浸透しつつある単語)「男の娘」という単語を用いたイベント名にも、類似商標だからと、禁止権を発動するのか?
この件に懸念を示す方々の多くは、これを心配しているのではないか。
これに明確な回答が無い限り、モノリスへの懸念や反発を払拭する事は難しいと思う。
そもそも「男の娘」という単語は、昨今においては、一部界隈のみとは言え、それなりに用いられ定着しつつある単語=「慣用表現」である。
商標法においても、慣用表現は、禁止権対象からの除外が定められている。
イベント名に「男の娘」(☆が入らない)が含まれているだけでは、禁止権は行使できないと思われる。
(「男の娘」が慣用表現に当たらないとの説もあるが、ならば☆の付かない「男の娘」で商標登録を申請すればよい。慣用表現に当たらないのなら、申請は通る可能性が高いはずだから。)
世間が心配する「男の娘」(☆無し)への禁止権の行使は、現状であっても既に不可能と考える。
(ユウメディア主催「だって男の娘だもんっ!」が商標登録通っている事実は、「男の娘」と入るだけで禁止権は出せない事の裏付けでもある)
だからお前らが騒いだり心配したり問題視したりしなくても大丈夫だ、問題ない。これが私の立場である。
ただ、世の中の全員が商標制度を理解している訳じゃない。いまいちよくわからない…という方も少なくない。
知らないからこそ、不安視し心配になる、という部分もある。
そこで私は、主催氏自らが、「男の娘」とだけでは禁止権を行使しない(できない)、と明言される事をお勧めしたい。そうすることにより、世間の反発は収束できると考えるからだ。
尚、セミナーの質疑にこんなやり取りがあるのだが…
>『男の娘☆』で商標をとられていますが、☆のつかない「男の娘フェス」については権利を主張されるのですか?
>「男の娘☆フェスティバル」というイベントを開催してるので、「男の娘フェス」という名称は、流石に名前が被せすぎだと思います。
これについて、モノリス側が何とかしたい気持ちは分かる。モノリス側が物申すのも当然の権利だろう。
しかし、「男の娘☆」と☆が付いていない以上、商標制度を盾に禁止権を発動する事は不可能。
この事例に関しては、話し合い等、商標制度に依らない方策を以て当たるべきと考える。
最後に、私の疑問をもう一つだけ申し上げたい。
今回のセミナー中で、再三再四「話し合いをしましょう」という訴えが繰り返される。
しかしながら、今回のセミナー中、特定団体を明示し、彼らからの脅迫電話等妨害行為があった、などとして経緯説明を行っている。
その真偽の判断は留保するが(実際対立団体側と主張が相反しているし)、問題は【名指しする必要性があるのか】という事。
ボカして語っても良かったのではないか?
名指しする事は、名指しされた側からすれば、「喧嘩売ってる」となる。
モノリス側と、名指しされたイベント側との関係は、これまで以上に悪化するだろう。
これまで以上に、話し合いがしづらくなるのではないか。
正直、こうして名指しする行動は、話し合いを諦めたかのようにも見える。
話し合いを主張される方が、話し合いを諦めるかのような行動は、言行の不一致とも捉えられかねない。
その辺り、言行の整合性を見直してみても、損はしないはずだ。
商標権を取得する事自体は、その名前でイベントを営む以上、決して否定されるべきものではない。
但し、類似商標に当たる、☆なし「男の娘」の語の使用が禁止されるのでは?との疑念が、今回の騒動の根幹だ。
実際には、「同人イベント開催」を目的とした商標登録だから、例えば同人誌等で「男の娘」は無論、「男の娘☆」としても、禁止の対象外だ。
イベントにしても、☆なしの「男の娘」なら、原則禁止の対象外(※)だ。☆付の「男の娘☆」は当然禁止対象だ。
もっとも、普通に商標法を解釈すれば、その結論に至るので、今更「男の娘」が使えなくなるのでは?なんて心配、する必要すら無いのだが…
ただ、商標権者がそう明言すれば、人々の不安も収まり、この騒動も終焉に至るとも思う。
(※)蛇足で少々。☆無し「男の娘」は、基本的に使用禁止の対象外だが、☆無しでも禁止できるケースも若干存在する。
当該商標登録のページを確認すれば何となく分かろうが、今回の「男の娘☆」は、図形として登録されている所謂「図形商標」である。
類似商標への禁止権も、名称の類似というよりは寧ろ図形の類似に対し、発動されるべきものである。
例えば、イベント名で☆無し「男の娘」であっても、ロゴデザインが似ていたりとかすれば、モノリス側も禁止権を発動できるであろう。