前編では、告知とサークル数の事書いただけで終わってしまったが、実際行ってみてどうだったのか。今日はそこを書いてみたい。
参加してみて印象に残った事が何点かある。

・スタッフの士気が非常に高く、皆生き生きと仕事をされている
・サークル向け企画の充実
・最後まで残るサークルが多い
・アフターイベント人大杉


いい感じで主催氏の遊び心が滲んでいて、それゆえにサークル・一般も楽しめる、という印象もある。
では、上記4点の印象について、一つ一つ細かく述べてみよう。
【1.スタッフの士気テラタカス】

これは個人的な印象に過ぎないが、全体的にスタッフが生き生きと、楽しそうに仕事をされている。そういう印象が強い。

アフターイベント(じゃんけん大会。詳細は後述する)では、司会かスタッフのどなたかが、東京の方から来ている、みたいなお話をされていた、と記憶している。もしこれが本当ならば、わざわざ遠方から「杜のスタッフする目的で」仙台に遠征している事になる。
普通、スタッフをする為だけに遠方から遠征するなんて余り無い
スタッフする事に対するやりがい、意義を見出さないとわざわざ金かけて遠征する気にならない。
コミケ等では遠隔地にお住まいの方がスタッフを務められる、というケースをしばしば見かけるが、杜もきっと同様のパターンであろう。
「杜」には、遠征してスタッフするだけの価値があるのだろう
逆に言うと、それだけ杜はスタッフのロイヤリティ(忠誠心)の高いイベントと言える。

スタッフの人数も10〜20人は集まっている。
士気の高いスタッフをこれだけ集められるのも、ひとえに主催氏の力量と人徳あっての事。深く敬意を表したいものである。



【2.サークル向け企画の充実】

杜の奇跡は、単に即売会以外にも楽しみは多い。
主催氏が趣向を凝らした様々な企画が用意されている。
それがまた、楽しみでもある。

11:00開場。開場してしばらくは一般参加の人波が出来、しばらくは修羅場であるが、それが落ち着いた頃…12:30頃になると恒例の「サークル向けドリンクサービス」というのが行われる。
但し、一般的に流通している普通のジュースが振舞われる訳ではない。というか明らかに珍しい物やゲテモノ系のドリンクな訳だがww

今回のドリンクは(1)ゴーヤジュース(2)紅芋ドリンク(3)MAXコーヒー復刻版(4)A&Wルートピアの4種類。この中からサークルが好きなドリンクを選びゲテモノ食い的珍味を味わう喉を潤す。
ちなみに、前回のドリンクは確かこんな感じだったかと。
(1)ミキ(ライスドリンク)(2)白い恋人ドリンク(3)練乳入りMAXコーヒー(4)プリンシェイク(5)楽天イーグル酢

何処から調達してくるのか激しく疑問だが、主催氏の遊び心が入った小ネタ的企画と言えよう。同人即売会とは直接的な関連性は無いが、サークル的にはネタとして楽しめると思う。
ちなみに、自分は今回は紅芋ジュースをチョイス。
紅芋のすりおろしみたいなゲル状の液体が喉を通るのがゲテモノ的感覚ww。でも味は整えられてて美味しかったですが。

サービスで頂いたドリンクを、13:00頃に賞味。
そんな大した本置いてあるサークルでもないので、余り人も来ず暇にしていると、ブロックノートが回ってくる。サンクリでも御馴染みの企画だが、楽しみながら良き暇つぶしになる。


そうこうしていると、2時過ぎに「あ〜ん企画」というのが実施される。
主催が各スペースを回り、主催とジャンケンを行う。
勝った人間は、女の子スタッフから練乳付いちごを「あ〜ん」で食べさせてくれる。
しかし、負けた人間は女装スタッフより固いせんべいを「あ〜ん」で食べさせてくれる地獄を味わうw
・・・希望者のみの企画だが、明暗クッキリ分かれていて面白い。
問題は、主催氏がジャンケンやたら強すぎだったので、大半の人間が女装スタッフのお世話になった所だがwwwww 主催氏にはジャンケン勝ちすぎないようにと苦言を呈したいところであるw
これも小ネタ的企画であるが、サークルも場がまったりして退屈しつつある時間帯での企画投入なので、場の盛り上げに一役買うと思う。

そしてアフターのじゃんけん大会。これについては別途後述したい。

「杜の奇跡」は、サークル向けの企画が非常に充実している。
これは主催氏の遊び心、そしてもてなしの精神が息づいての企画の充実である。
「杜」はサークル参加のリピート率の高いイベントであるが、即売会としての楽しさ、磐石な運営もさることながら、主催氏のもてなしの精神・遊び心をサークル側が受け入れ楽しめる事も、リピート率の高さに寄与している、と考える。



【3.最後まで残るサークルが多い】

そもそも、企画の投入タイミングが非常に巧妙である。
11:00即売会開始。1時間半経って場が落ち着いたらドリンクサービス。更に1時間半経って場が弛んできた所でサークルvs主催氏のじゃんけんバト「あ〜ん企画」。そしてブロックノート。
サークルが退屈な時期を見計らっての企画投入、絶妙なタイミングである。

最近の同人誌即売会は、サークル側も早めに撤収する傾向がある。
撤収する事情はサークルそれぞれ様々であろうが、一番大きな理由は、人が来なくなって退屈になった、って部分であろう。自分が撤収する時も、それが最大の要因かと。

しかし、杜の奇跡は「良い意味で」撤収のスキを与えてくれない。
ドリンクサービス、あ〜ん企画と場が退屈するのを見計らっての投入である。サークル心理としては、「変わった企画があるし、これが終わるまでは帰れない」という心情になる。
作品の頒布・販売以外でも楽しめるイベント、という言い方も出来るし、イベントの最後まで飽きさせないイベント、とも言える。
一つ一つの企画は小ネタ的なもので大掛かりなものではない。しかし、それでもサークルを繋ぎ止めるには充分だ。また、小ネタ的なものゆえ、サークル活動の本義たる頒布・販売を邪魔する本末転倒状態にはならずに済む、という見方もできる。

#頒布・販売の邪魔になりかねないイベンtの代表例は、やはりマイク使用のステージイベントでしょうか。

小ネタ的企画の効果的な導入により、最後までサークルを飽きさせないイベントとなり、それが早期撤収サークルを少なくさせていると思う。



【4.アフターイベント人大杉】

杜の奇跡の販売は15:00で終了だが、その後20分の準備期間を経て、アフターイベント定番のじゃんけん大会が実施される。

驚きなのは、じゃんけん大会に残る一般参加者の数である。
ゆうに、150〜200人は居るであろう。例大祭のアフター1,000人規模には流石に負けるだろうが、イベントの規模を考えると、余りにも人大杉状態である。
しかし、驚嘆すべきはその商品数。サークルや一般や関係業者からの提供、主催氏自身での調達、色々物資を調達すべきルートはあろうが、兎に角これらの参加者全てに行き渡り有り余るだけの商品を用意している。
人大杉である以上に、商品大杉状態であるwwww
これだけの景品を集める事ができるのもまた、主催氏の力量なのか。
多くの人と商品を集めたじゃんけん大会が、盛況の内に終わったのは言うまでも無い。

先にサークルの撤収の話に触れたが、一般参加者だって早めに撤収する(大手の欲しい本だけ買って終了、みたいなパターン)ケースは多い。
しかし「杜」は、他に類を見ない程の一般参加者がアフターまで残る。
一般参加者にとっても、最後まで残る価値のあるイベント、最後まで楽しめるイベント、と言えよう。



【総括】
総じて見て、杜の奇跡は非常に素晴らしいイベントである。
小ネタの出し方、告知の方法、サークルへの心配り等、他のイベント主催が参考にするべき点は多々ある。
というか、地方で男性向け同人イベントを開催したい主催は、一度杜の奇跡を視察するべきとまで断言する。

と、こんな感じで手放しの賞賛「のみ」の論評になってしまったが、逆に悪い点を探す方が難しいぐらいである。
唯一難を上げるとすると、企画が対サークルにのみ偏り、一般向けの企画が無い事ぐらいか。ただ、一般はサークルが居てこそ初めて参加する訳であり、サークルが増えないとしょうがない。サークルに偏重するのも、考え方によっては当然と言える。

悪い点が無いので、後は今後の懸念点を探すぐらいになるが、懸念点を上げるとすると…

・サークル規模の拡大と企画の兼ね合い
→杜はサークル140spを今回集めたが、今後も更に伸びるかもしれない。
 「あ〜ん企画」「ドリンクサービス」等の趣向を凝らした企画は、今の規模だからこそ展開可能な企画である。規模が拡大すると実施は難しくなりそうだ。
 「杜」は良きイベントでリピーターも多い。200sp超も現実的な話である。
 募集200spとの事なので、これを超える事は無いだろうが、万一200sp超のサークルを落選無しで受け付けた場合、今のアットホームな企画が実現できるのだろうか。

・杜の奇跡に次ぐ同人イベント
→杜の奇跡は非常に良きイベントである。
 しかしこれは主催者の力量(運営、告知、遊び心ある企画、商品調達力など)に因る部分も大きく、他の主催が真似しようとしても到底不可能だ。
 もし今後、杜の功績で東北の男性向け市場が拡大したとしよう。それも、東京や大阪のように、第2・第3の男性向け即売会の需要を満たすほどに。
 そうなれば、第2歳3のイベントが登場し、杜の対抗馬になるのだろうが、既存のイベントに「杜」がある。一般もサークルも、どうしても「杜」と比較して見るので、「杜」の良さを知っている以上、どうしても厳しい視点にならざるを得ない。(レヴォ後に開催されたキャッスルが、初回でもあるにも関わらず非常に厳しい視点で見られたようなものか)
 余りにも「杜」が良すぎる故、「杜」に次ぐイベントを打ち立てる事は、非常に難しい仕事であるように思う。いや、それは「杜」が悪いわけじゃないのだが…。


いずれにせよ、杜の奇跡には今後も永続的に開催して頂き、一般にもサークルにも広く愛される即売会になる事を、そして東北同人世界の発展に寄与される事を、参加したいちサークルとして、心より願いたいものである。