時々同人誌は買うとは言え、当該ジャンルでサークル参加している訳でもない。
あくまでジャンル外の「部外者」が外から見て感じた事ではある為、ジャンル内の方から異議等あれば遠慮なくお申し出頂きたい所ではあるが…
本日は、TYPE-MOONジャンル…というかFateジャンルの動向について語りたい。

自分の知り合いにも、サークル活動をされている方は多数いらっしゃるが、その中でも、何故かFateジャンルで活動されている比率が高い。
知り合いが比較的多い事もあり、Fateオンリーに顔を出す機会も案外増えている。オンリーに参加したり、ジャンルの方から話を聞いたりしつつ、このジャンルに若干のご縁を得ている、という次第である。
そんな中自分が感じた事ではあるが、最近のこのジャンルの動向が個人的に興味深いものがある。これについて、即売会の開催履歴を軸として、少し掘り下げて考察させて頂きたい。
【月姫時代】
TYPE-MOONの前作「月姫」を元にした、二次創作やオンリーが盛んだった頃についても簡単に触れたい。
その頃自分が当該ジャンルに居た訳ではないので、詳しく語る事は出来ないのだが…即売会の開催履歴が非常に興味深かったので、浅くではあるものの触れさせて頂きたい。

2001-02年頃の事であるが、特筆すべきは地方での開催が大変多い所である。
九州博多「月姫どんたく」の他、仙台・広島・札幌等の地方政令指定都市クラスで、オンリーが多数開催された。
「月姫」はあくまで男性向けジャンルである。一般論として、男性向けは東京大阪中心の開催で、他都市・地域での開催は大変厳しい状況だ。どのような理由かは判らないが、地方開催が続いている点は興味深い。

オンリーイベントの重鎮・SDF主催の「蒼月祭」も、この頃立ち上がった模様。
2002年初頭から2003年夏の1年半の間に、のべ7回もオンリーを開催。更に先述の広島開催も、SDF主催。地方まで含めた大変精力的な動きが目立つ。


【Fateオンリー】
Fate発売から程なくして、様々なオンリーが開催されるようになった。
中でも高天原主催「月読宴」は、オンリーとしては珍しい東京ビッグサイトでの開催だった。
ビッグサイトはご存知の通り、大変キャパシティの大きい会場である。この会場を埋めるには、相当のサークル数を集めないといけない(参考/COMIC1は1,000sp募集、1,500sp参加)。
他即売会との併催形式を取った事もあったようだが、それでも、少なくとも数百のサークルを集められる算段が無ければ、ビッグサイトで開催しようとは思わない。ジャンル自体、相当の規模に膨れ上がったであろう事が伺える。
月読宴がビッグサイトで開催したのは、2004年春と2005年春の計2回。この間が即売会の開催数も多く、当該ジャンルの全盛期と判断できる。

Fateに入っての大きな特徴は、女性の参加が目立つ所(月姫がどうだったかは存じ上げないが)。
登場人物に美形男子キャラが多い故、ある意味自然な流れだとは思うが…。
男性向け各オンリーに顔を出して、他ジャンルと比較して女性作家さんが目立つ、という印象を抱いた。
更には、既存の男性向けとは一線を画し、女性向け色を全面に押し出したオンリーも、年1回ベースで開催されている。
依然男性向けの勢力は強いものの、女性向けに特化したオンリーも始まっている。その比率は、ざっと見で5:1ぐらいであろうか。

各イベントに直接足を運んだり、イベントサイトを拝見した上での、個人的な印象である事を前置きさせて頂くが、主なイベントを勝手にカテゴライズするとこんな所か。

・基本男性向けっぽいが、女性向けも受け入れる
→SDF主催「蒼月祭」、高天原主催「月読宴」、SDF・高天原共催「蒼月宴」、プラステ系「PRIM ROSE」「つくケット」(つくキャラ中心)など大多数

・女性向け色強い(女性向けに特化)
「水都の月」(2004年大阪開催)、「朱い絆」(2005年東京開催/弓凛限定)等

Fate全盛期の状況は、ざっとこんな感じであろうか。
だが、男性向けジャンルは、女性向けジャンル以上に栄枯盛衰、移ろいやすいもの。実際、2006年に入ってからは、ブームも落ち着いて来たようで、オンリー参加のサークル数も落ち気味になってきている。2005年に100以上集めオンリーが2006年開催時には半減、という事例もある。
このジャンルはもう落ち目、とお感じの諸兄もいらっしゃる事であろうが、私に言わせればそれは早計である。


【2006年以降の流れ】
確かに男性向けは弱まってきたが、決して無くなった訳ではない。また、「女性向け」の皆さんの盛り上がりも根強いものがある
女性向け色の大変強い同人誌即売会「コミックシティ」では、大阪・東京問わず多数のサークルさんがFate本を精力的に出されている。シティの規模によってサークル参加数は異なるが、平均20サークル程度が参加されているようだ。

また、昨年10月の大阪コミックシティ内において、プチオンリー(ヤドカリイベント)「なんでさ。」が開催され、直接17・委託13、計30サークルが参加した。
このプチオンリーが大阪シティ内で開催された理由は、同サイト内「アンケート結果」のページから窺い知る事が出来る。

>特に「関西地域ではオンリー自体がない」という事情は、東京では月読宴やE.G.O2など
>比較的女性が参加しやすいイベントも開催される予定があるのに対して、こちら側
>のイベントしか選択肢がない方々にとっては、かなり大きいものであるという風に
>受け止めました。


要は関西はオンリーが少ないし、女性が参加し易い即売会となるとなおの事、だからシティでプチオンリーなんだ、という事である。。
という事は、今まで即売会運営に励み、頑張っていらっしゃる主催の皆様には非常に申し上げにくいのだが…【既存即売会は女性陣には参加し辛い】という結論になってしまう。
本年6月24日開催予定「新星祭」も、この流れを汲むものとなろう。このオンリーは「やおいオンリー」と銘打っている。

原作側も、昨年12月に小説本「Fate0」が刊行された。これがジャンル再隆盛の起爆剤になるであろう事が期待される。だが、同作品はBL系ゲームの名門「ニトロプラス」とのコラボレーション。女性向けで起爆剤になる事はあっても、男性向けでは起爆剤には成り得ないように思える。

という訳でこのジャンル、今まで以上に「女性向け」のカラーが強まると思われる。
「女性向け」の勢力比率も、今後益々増加する事であろう。



【即売会主催の対応方】
このジャンルの最近の傾向としては、男性向けは下火、女性向けは勢力強まる、という所。
今後即売会を開催する主催の皆さんは、この流れを考慮頂く方が得策、と私は考える。
ぶっちゃけ、女性サークルの気持ちを読めないオンリーは、今後淘汰されるのではないか、と。

俺は男性向けに特化したFateオンリーやるんだ、少数でも構わない。というのなら、潔さがあるしそれはそれで良い。
SDFさんのように他男性向けジャンルとの共催形式を取って開催される所は、自然にそういう形になるのかもしれない。

ただ、男性は勿論、女性サークルも取り込んでできるだけ多くの参加を…とお考えの主催さんには、今の状況を考慮し、女性への配慮を強めていく必要に迫られると思う。

近々開催予定のFateオンリーとして、「衛宮家の食卓」がある。
HARUコミ翌週、大阪シティと同日。サークルが参加するには、非常に厳しい日程の中、舵取りを迫られた模様だ。
それでも、名古屋開催「月下の祭典」、SDF主催「蒼月祭」、高天原主催「月読宴」などのジャンルオンリーに顔を出し、告知を精力的にされた。女性向けギャルゲオンリー「E.G.O.」にも顔を出し、女性層への告知も図った。サンクリやコミケにも告知した。
個人的には、コツコツ努力されている即売会だと思うし、応援して参りたい気持ちに変わりは無い。サークル数も相応に集めた模様で、主催初経験という事も考慮すれば相当頑張っていると思う。

しかしながら、対女性向けへの意識をもう少々持って頂きたいもの。告知先にしても、E.G.O.には告知したものの、シティが抜けている。日程面でも、大阪シティと被っている。
主催氏ご本人に話を伺った事もあるのだが、男性・女性問わずファンの方皆に参加して頂けるものを目指したい、との事。アンソロ本の当日刊行も含め、ジャンル愛に満ちたその心意気は素晴らしい。

…でも、現実は男性向けに寄っちゃった、という部分。そこが今後の課題であろうか。
女性向けの要素をもうちょっと補充しないと、今後は厳しくなるような気がする。逆に、今後女性向けへの意識を強化出来れば、次回以降開催の際に、サークル数はもっと伸びるだろう。

私は少し前から異論・反論覚悟でこう申し上げたことがある。

Fateは女性向けジャンルと考えよ

セイバー萌えの自分が言うのもアレなセリフだがw
だが、女性向け色を強く出しているサークル、オンリーが増えている現状を考えると、今後その点を踏まえた運営を行わないと、各主催とも苦戦は免れないように思う。

男性向け色を全面に出したいのならば、ある程度の苦戦は覚悟した方が良さそうだ。勿論、それを覚悟で茨の道に踏み込む主催がいれば、それはそれで応援して参りたいとも思うが。
男女問わない、という即売会であれば、今後は女性への配慮を強めるよう努力を図るべきだろう。