同人系ブログにおける有力主宰の一人でもあるよつばの。様主催による「よつばの。読書会」に参加させて頂いた。

同人関係の「読書会」としては、コミティア読書会が有名だ。
コミティア開催時に収集した見本誌を、皆で閲覧する、という趣旨の読書会である。
COMIC1でも見本誌閲覧コーナーは存在したが、あの時のように狭いスペースで、殺伐とした雰囲気で見本誌をロクすっぽ見られない、という訳でもない。

コミティアの読書会は、閑静な集会室を借り、室内に椅子とテーブルを設置。テーブルの上に読書用の本が大量に陳列してある。
その本を、参加者は椅子に座ってじっくり熟読する事が出来る。
時間も朝から夕方まで、7〜8時間を取っており、その気になれば丸一日同人誌と触れ合う事も出来る。
同人誌即売会だけでは出会い切れない、知らない同人誌との出会いを、時間に終われずゆっくりと楽しめる。それが、読書会の醍醐味だと思う。

「よつばの。読書会」は、コミティアとは少し違う。
ティアの場合は即売会で収集した見本誌が陳列されるが、よつばの。読書会においては、買い手各々が自らの購入した本を持ち寄り、それを皆で見せ合う、という形式の読書会である。
出展者は事前に出展同人誌リストを提出。出展者同士で出展予定の同人誌が被れば、事前に調整を図り対応していくシステムだ。
昨年の夏に第1回目が開催され、2回目は昨年の冬に開催。
会場が手狭になった所で、今回の第3回目は会場を変え、7月14日に開催された。
回を重ねる毎に参加者が増え、地道に盛り上がりを見せている。

この読書会には、意義深い点を幾つか見出す事が出来る。
先ず一つは、新たな同人誌との出会いの場、という観点。
我々は、日々即売会に参加し、同人誌を買い求める。だが、出会える同人誌も、買い手一人一人の活動の中では、限界がある。
だが、読書会という場では、のべ10人以上の方が各々の購入された同人誌を出展される。
出展者の持ち込み量は各自により異なるが、全員合わせて1400冊以上の同人誌が出展された。1400冊と言う膨大な量は、一人の活動では何十何百の即売会を回らないと出会い切れない分量でも、多くの買い手の力を合わせる事により、これだけ多くの同人誌に出会う事が出来る。それが読書会の醍醐味の一つであろう。
これは、主催氏ご本人の功績であり、同時に出展者諸氏の功績でもある。この場をお借りして感謝の意を申し上げたい。

もう一つは、読み手・買い手同士の交流の場、という側面。
読書に耽り同人誌との出会いを楽しむのも良いが、それに飽きたら、休憩テーブルで一休みも良し。テーブルにはお菓子や飲物が用意してあり、そこで買い手同士雑談したり即売会の事を話したり、と交流を図る事も出来る。共通の話題となる同人作品があれば、それについて語る事も出来る。夕方からは、サークルさん作品のカードゲームで遊んだとか。
交流会的な要素も併せ持っている読書会、とも言える。

そして最後に一つ、「買い手が主体となるイベント」という点を指摘したい。
通常の同人誌即売会は、イベントスタッフやサークルが主催する。頒布される作品も、サークルがクリエイトする。能動的なのはサークルやスタッフであり、買い手側は受動的になりがちだ
今回の「読書会」は、主催も出展者も皆買い手。買い手が能動的に動く、という珍しいタイプの同人イベントである。
受動的になりがちな買い手側の、同人誌を愛するが故の積極性ある活動、という点からも注目して参りたい。


唯一気になる点としては、出展者の買い手諸氏は、男性向け即売会の参加経験者ばかりである事。当然、出展する本も男性向けジャンルの本が中心。参加者も、男性が圧倒的多数になるところ。
男女のバランスが極端な点気になるが、これは直そうとして直る物でもない。今までの流れでそうなっているのだから、それを無理に変える必要性も無い。
ただ、男性向けジャンル本に偏ると、回を重ねるごとに出る本もワンパターン化するかもしれない、という懸念はあるのだが…それもすぐに表出する訳でもない。もっと回を重ねないと、表に出るには至らないと思う。

いずれにせよ、気軽に見知らぬ同人誌と出会える貴重な機会である事には、異論は無い。
今後も、定期的に継続して頂ける事を、心より願いたい。