今さら言うまでも無い事だが、同人誌即売会の参加形態は、「サークル」「スタッフ」「一般」。この3種に大別される。

サークルは、同人誌を作り、売る立場の人間。
スタッフは、同人誌即売会を開催する人間。
一般参加者は、同人誌を買う人間。「買い手」という言い方も出来る。

「サークル」「スタッフ」「一般」は、同人誌即売会を構成する3要素、という言い方も出来る。
どれか一つが欠けても、即売会は成立し得ない。
(最近は、会場からの要求が煩わしい事もあり、「会場」を第4の要素と位置付ける考え方もあるが、会場の話は稿をを改めて語る予定。ここでは割愛させていただく)

この3要素は、互いに相補し合った存在であり、互いに尊重し合うべき存在である、と私は考える。

例えば、一般参加者を「買い専」と蔑む風潮が一部で見られるが、その「買い専」に自分の本を買ってもらえるからこそ、サークル活動が出来るんじゃないか。「買い専」がカタログを買ってくれるからこそ、主催も会場費をペイできるんじゃないか。買い手を「買い専」と蔑む事は、自分達の活動を支えてくれる「協力者」を小馬鹿にしている言動であり、正直好まくない。

主催・スタッフにしたって、別に彼らは偉くも何ともない。彼らがいかに偉そうに振舞った所で、サークルに参加して貰えなければ、即売会は成立しない(*最近「サークル目線」という言葉を多用しているが、それはこの現実に立脚しているからこそ、である)
そして、サークルが来なければ一般も比例して来ず。折角借りた会場費がペイできず赤字になるだけだ。主催がマトモに主催活動を行うに当たっては、サークルや一般が「参加」という形で協力してくれる事が前提となる

一般参加者にしたって、いくら彼らがお客様気取りで即売会・サークルに不平不満を並べた所で、主催が即売会を企画し、サークルが新刊を出してくれなければ、一般参加者は何も楽しみが無くなっちまう訳で。主催・サークルあってこそ、一般参加者は楽しんで活動出来る訳である。

*ついで言えば、この「STRIKE HOLE」だって、偉そうに説教がましい事書いた所で、主催者が即売会を開いてくれるからこそ初めてブログにして書ける訳であって。即売会を開いてくれる主催が居てこそ、当ブログは存在し得ると言えよう。


我々はつい忘れがちになるが、「サークル」「一般」「スタッフ」は、互いに相補し合った存在。どれか一つが欠けても、即売会という楽しみをもたらす場は成立し得ない。この事を深く認識し、互いに尊重し合える関係を築いていきたい、と考える次第である。

前置きが長くなってしまったが、今日は、この3要素の中の一つ。「スタッフ」に関するお話を少々させていただきたい。
即売会でスタッフをやってくれる人間なんて、中々そう滅多に居るものでは無い。

そりゃそうだ。朝は8時9時(大規模な即売会ならもっと早く4時〜6時)から夕方5時6時まで拘束され、別に営利目的でやってる訳じゃないしそんな黒字が出るほど儲かる訳じゃないから給料も出ない。あくまで「ボランティア」である。
せいぜい、イベント終了後の打ち上げでお酒を奢ってくれる程度が関の山だ。
実利的な見返りなんて、皆無に等しい

動機としては、主催の知り合いだから協力しようだとか、スタッフの仕事が楽しいだとか、イベントの裏側が覗けるだとか、そんな所だろうか。
自分で何らかの「意義」や「楽しみ」を見出さなければ、スタッフをしようなんて思わない
スタッフの「なり手」は中々居ない。これは全国共通の悩みであり、どこの同人誌即売会に顔を出しても、スタッフ不足の声が聴こえてくる。(参考:2007年07月05日付「北陸本専 今後の課題」)

そんな中、サンシャインクリエイションのスタッフ事情は、若干ではあるが恵まれている方かもしれない。
サンクリ自体の申込者数増加・規模拡大もあって、スタッフも増やさねば追いつかない、という事情もあろうが、毎回200人以上という大変多くの方々がスタッフを務められている。
サンクリ内部の方から見れば、まだまだ不足気味なんだよ、とお叱りを頂いてしまうかもしれないが、一昨年は毎回毎回スタッフ数が過去最高を更新し、その規模を現状も維持し続けている事を考えると、大阪コミコミとか他の地方の即売会のスタッフ不足をこの目で観た身としては、比較的恵まれていると断ぜざるを得ない

他の即売会に比べ、サンクリのスタッフは若い方々が多い、という印象が強い。
他の即売会だと、20代後半〜30代が多いと映る。しかし、サンクリは10代後半〜20代前半の若々しいスタッフが多く見える。館内でのアナウンスも元気に声を上げて誘導に務めている。フレッシュさ、若々しさ、元気さが伝わり、参加する身としても気持ちが良い。

何処の世界でもそうだが、若い連中が活躍できる世界は、活性化する若い連中には、年寄りには無いパワーや新しい発想を持っている
即売会のサークルだって、中学生・高校生時代に地元の即売会に参加し、同人の世界に馴染んだ連中が、大学生になって少しお金に余裕が出、スキルも上がった所で東京の即売会に進出する。東京の即売会が盛り上がるのは、若い連中が新規参入するからこそである。

スタッフの世界だって同じだ。若い連中が活躍してこそ、スタッフの世界も活性化する。
若い連中が経験を積み、将来の幹部スタッフに化ければ、組織の活性化にも繋がる。自分で主催をしようと野望を燃やせば、いつも同じ顔ぶれが主催し回していく世界に新風を呼び込める。
若いスタッフの存在は、将来の同人誌即売会活性化の鍵になる存在であり、大事にしていくべき存在でもある。
若いスタッフを多く擁するサンクリという即売会は、やはり「恵まれている」と言えよう。


ただ、若いが故の欠点も、当然ある。
サンクリスタッフは、総じて、スタッフ業務に一生懸命頑張っている良スタッフが多い。しかし、その中にも、著しく態度の悪い横柄な人間も一部ではあるが居る。そう言う連中は、大抵若い人たちである。
逆に、社会人経験を積んだであろう年長の人間だと、横柄な人間は居らず、口のきき方もしっかりしている。
当たり前の話だが、若い方は社会経験が不足気味だ。若いが故の経験不足が、悪い方向に出ると、横柄な態度になってしまうのだろうか

今年2月のサンクリにて、私は館内アナウンスの呼びかけに従い、閉会後の撤収作業をお手伝いさせて頂いた。
その時に若いスタッフの指示に従い撤収活動を行ったが、そのスタッフの態度が大変横柄であった。当然タメ口、命令口調。
私の感覚からすれば、初対面の人間同士、年上だろうと年下だろうとタメ口なんて事はあり得ない。親しい間柄になれば話は別だが、そうでなければ丁寧語で接するべき、と考える。
挙句の果てに、有名スタッフさんの名前を上げ、「俺は●●さんと知り合いなんだ」(●●には有名スタッフさんの本名が入る)とか意味不明な自慢を始めた。…俺もその方とはお知り合いですが何かw

流石に見るに見かねて、作業がひと段落ついた所で、そのスタッフさん捕まえて説教タイムに入ったw

初対面の人間にタメ口は、人への接し方としていかがなものか。サークル・スタッフ・一般は対等関係だが、それは誰に対してもタメ口利いて良いというものではない。対等関係を履き違えているのではないか。
他人と知り合いなのを引き合いに出してもそれは「虎の威を借る狐」という奴で見ていて気持ちの良いものではない。
貴方がサンクリのスタッフである以上、サンクリを代表して参加者と接している事を忘れないで欲しい。貴方の接し方が悪く相手が不快な思いをすれば、それがサンクリのイメージダウンにも繋がる事を考えるべき。


…まあ、こんな事を説かせて頂いた次第である。

後日、この件について本部スタッフの方とお話させて頂いた。
(ご多忙の中お時間を頂いた館内責任者の方、幹部スタッフの方々にはこの場をお借りして御礼申し上げたい)
本部スタッフの方には、この一件について状況を説明申し上げ、先方からも見解を頂いた。
スタッフ集会・スタッフマニュアル等で、人との接し方についてもガイドラインを設けているとの事であり、サンクリ側としてもスタッフのマナーについては指導を図っている模様だ。サンクリは「締める所はしっかり締める」安定した運営の即売会だけに、その当たり、流石に抜かりは無い。
ただ、マナーのなっていない一部スタッフの存在も認めており、いかに幹部がキッチリ発信しても、「受け取る側」の問題(=スタッフマニュアルをちゃんと読んでいない等)もあるのだろう

負の感情に任せ、マナーのなっていないスタッフを懲らしめる事は簡単だ。あいつは駄目だ、とこき下ろすのも簡単だ。
ただ、それは若さゆえの過ち、という側面もある。
そして、若いスタッフは、将来の同人誌即売会の世界を考える上で大切だ。先に述べたように、彼らは、未来の幹部スタッフであり、未来の名主催である。未来の同人誌即売会の世界を活性化させる「鍵」となる存在だ。
只でさえスタッフは人手不足、人材不足。そんな中スタッフに志願してくれる若人は、大事に育てるべき存在である。

その当たりを踏まえて考えると、単に若いスタッフを懲らしめ、こき下ろすだけでは、良い方向に進まない
若いスタッフの過ちを指摘し、何が良くないかを彼らに自覚させる事。それが若いスタッフの「成長」に繋がる。これこそが真に大切な事ではないか。
今回の一件は、我々一般・サークル参加者が、若人の成長を妨げる事なく、良き方向に導く為に何ができるのか。これを考える良き契機になったと思う。

今回の一件で自分が取った行動は、「説教」だが、それの意味するところを、果たして当人は受け止めてくれたか。
如何に偉そうな説教した所で、当人が何が悪いかに気付けなければ、何の意味も無い。当人も成長しない。当人の心に響くような注意が出来なかったのが、残念だ
自分のとった行動は良かったのか悪かったのか。自分でも判断付かないが、今後同じような事態に出会った時、自分に何が出来るかという事を今一度考え続けたいものである。