前回記事2009年03月19日付(3/1札幌開催「Elysian」の躍進の秘密に迫る)では、当初10サークル程度しか集まらなかった即売会が、何故200サークルを集める即売会に成長を遂げたのか。その秘密に迫ってみた。
主催が、即売会の開催に当たって確固たる理念を持っている事。そして、その理念に基づき、参加者を楽しませようと様々な企画を打ち立て、参加者の声に真摯に耳を傾ける誠意ある姿勢が、サークルの共感や支持に繋がっている事を指摘した。
今回は、実際に自分が「Elysian」に参加しての雑感を述べさせていただきたい。
主催が、即売会の開催に当たって確固たる理念を持っている事。そして、その理念に基づき、参加者を楽しませようと様々な企画を打ち立て、参加者の声に真摯に耳を傾ける誠意ある姿勢が、サークルの共感や支持に繋がっている事を指摘した。
今回は、実際に自分が「Elysian」に参加しての雑感を述べさせていただきたい。
【本オンリーなのに一般参加者が多い】
前夜は諸事情により夕張に宿泊。夕張を朝8時頃発ち、バスで札幌へ。9時30分頃会場着、バスを使えば、夕張も案外近い。
サークル受付開始の10時まで少し時間を潰し、10時に入場。この段階では、待機列の形成は無いものの、40〜50人単位で一般参加者と思しき方々が周囲にいらっしゃった。
依頼のイベントチラシを配ったり、自サークルの設営・準備を行ったりしつつ、あっという間に11時に。この時には、一般参加者の待機列は100-200人ぐらいに。
本オンリーは、北陸本専などもそうだが、「本を売る場が欲しい!」というサークルの思いが起点となり始まっている。
発端からしてサークル目線に基づく即売会であり、サークルの共感は得やすく、サークル数は集まりやすい傾向にある。
ただ、「サークル主導」の即売会ゆえ、買い手=一般参加者の動きは、サークルに比べると鈍い。
それゆえ、「サークルが集まる割には一般来場者が少ない」という現象が起こりやすく、一般を如何に集めるかが本オンリーの課題となる。
アフターの座談会では「初動3人」という話が出たし、私も(打ち上げの席で)主催氏にお話を伺ったが、前回までは【待機列なんてものは存在しなかった】との事。
カタログの販売数にしても、前回までは100も行かなかったとか。
…そういう即売会で、待機列100-200人なんてのは初めての経験だろう。
今回、主催氏は「思い切った冒険」で500冊、カタログを刷ったとの事。過去の経緯だの「初動3人」だの話を伺う限り、清水の舞台から飛び降りるほどの一大決心だったろうと推察。主催氏的には、掛け値なしに、500冊は大冒険だろう。
しかし、それでもその500冊は、会場1時間余りが経過した12時過ぎには完売した。主催氏が想定した最大値を凌駕する来場者数であった。
何故ここまで一般参加者が増加したか?
詳しくは後述するが、やはり東方シリーズのプチオンリー「東方道出抄」の効果が大きいのは疑いようも無い。
だが、イベント全般を見ると、決して東方だけに人が集中した訳でも無い(東方も思った程には多くなかった印象)。
サークル数の増加や、年3回の定期開催を通じて「Elysian」自体の知名度も上昇し、買い手に浸透している部分もあると思う。
【プチオンリー「ぷちしあん」】
「Elysian」の特色の一つとして、「プチオンリー」の開催を積極的に推奨している事が挙げられる。
「プチオンリー」の本来の趣旨は、単独ではオンリーイベントが開催出来ない程度のサークルしか集う事の出来ない環境下のジャンルサークルが、他の求心力ある即売会に参加する形で開催。一種の「イベント内イベント」である。
古くはガタケットでそのような取り組みが行われていたという話も聞くが、世間的に周知されるようになったのは、「コミックシティ」が「プチオンリー」という名称でで制度化した事にあろう。
オンリーイベントを単独で開催するには厳しいジャンルでも開催可能な事、オンリー主催が行うべき業務の大半を、プチオンリーが参加する大本の即売会に丸投げできて負担が減少する事。大本の即売会側から見れば、プチオンリーの開催により、当該ジャンル内の普段自イベントに参加しないサークルの参加が見込め、サークル数増加のテコ入れになる事。双方にメリットがある為、急速に広まっていった。
(同様の小規模ジャンル救済方法としては、「都産祭」「スキマフェスティバル」のようなオンリー集合型即売会もあるが、複数主催の合同形式による為主催間の調整作業が面倒臭い。手間暇を考えると「プチオンリー」の方が手軽か?)
「Elysian」でも、前回の「Elysian10」より、「ぷちしあん」と題しプチオンリーの受け入れを開始した。
今回は、自分は評論プチオンリー「予定は未定で無限大!」にもエントリー。エントリーサークルは11と少ないが、単独じゃ開催不可能な数だけに、やはりプチオンリー形式でないとやって行けない事が伺える。
プチオンリーの形態も様々だが、今回のプチオンリーは、あくまで他のジャンルで活動していても、そのついでに評論本出してくれれば…というスタンスとお見受けした。
プチオンリーとしての施策は、主催「みん」さん自ら足を運んでいただきご挨拶を頂いたが、プチオンリー参加の記念品と、プチオンリー参加を示す小さな名札が配布された程度。後は、後述するが「Elysian」終了後の「打ち上げ」企画ぐらいか。
配置も結構バラバラ。オンリーとしての一体感も敢えて出さないようにしているフシが感じられた。「評論サークルの緩やかなネットワーク」みたいな位置づけであろうか。
プチオンリー側の主催さん曰く、「何もやってないですが…」みたいな事おっしゃっていたが、敢えて何もしないってのも一つのプチオンリーの在り方だと思う。
で、問題のプチオンリー「東方道出抄」。
(東方は、わざわざプチオンリーにせずとも、充分単独開催可能なジャンル規模な気はするのだが…)
東方が有るってだけで人は来るのだろうが、果たしてそれを如何に捌けるかが課題になる。…それが東方だw
主催側も、空気読んだようで東方全サークルを壁配置にし対処した。
(主催氏曰く「そこまでは考えてなかった、あの配置は偶然だった」との弁で謙遜されていたが、もし仰る通り「考えてなかった」としても、その配置に行き着く所でイベント勘…というか主催者としてのセンスが備わっているものと解釈する)
サークル数は約30。金沢でも40、仙台でも90、博多に至っては100集まるのが東方クオリティだが、今回の札幌は、サークル数が意外に少ない。
東方は、グッズ系のサークルも少なくない。本オンリーたる「Elysian」枠内でのプチオンリーと言う事で、グッズサークルの参加を阻んでいる事が、他地域に比べサークル数が少ない理由となろう。
また、翌週に、東京開催とは言え3000sp規模の「博麗神社例大祭」が控えた事も、影響していよう。
一般の初動は、多く見積もっても200人。
しかしその中で、東方初動は全体の6-7割。東方以外が初動の一般参加者も、決して少なくない。(東方に人が集中して他閑散、のイメージだったが意外な展開だった)
蓋を開けば、確かに外周・壁サークルに人が集中するも、スタッフによる誘導の必要が生じるレベルでもなく、案外穏やかだったようにお見受けする。
翌週に「博麗神社例大祭」を控えている事や、「Elysian」の本オンリーとしての特質上、グッズサークルを阻んだ事が、想定した程の人の多さに結び付かず…でもそれゆえに程良い混雑具合になったという事か。
打ち上げの席で主催氏にお話を伺ったが、「オンリーを開き辛いジャンルの方々が集まれる機会を作りたい」との事。
確かに、北海道は最大規模のオールジャンルですら500sp程度に過ぎない。市場規模的に非常に弱い。旬ジャンルならともかく、少しでも旬を過ぎたジャンルなら、30集める事すら至難の業であろう。
市場規模の小さい地方都市こそ、「ぷちしあん」のようなプチオンリーの存在は、意義も深い。
主催氏も仰るように「オンリーを開き辛いジャンルの方々が集まれる機会」の創出に繋がるからだ。プチオンリーの役割や意義は、地方なればこそ都会以上に大きいのではないか。
また、このプチオンリーの施策は、「Elysian」側にもサークル数増加という形でメリットがある。
前回記事で提示したデータを見ても、これまでは50〜70台で推移していたサークル数が、「ぷちしあん」を導入した前回「Elysian10」から111spに急増。そして今回は東方効果も加わり168spと激増するに至った。
私自身を振り返ると、「Elysian」に参加を決めたのも、評論プチオンリーの存在が、決定的な最後の一押しであった。それが無ければ参加を見送っていた可能性も充分だった。
前回触れていなかったが、「プチオンリー」の導入も、「Elysian」躍進の一要因ではないかと考える。
【打ち上げ アイスクリームタワー攻略!】
プチオンリーや企画の積極的な導入を除けば、「Elysian」は極めて普通の即売会であった。落ち着いた雰囲気で本の売り買いが出来、本もそれなりに売れ、参加し甲斐のある即売会であった。
そしてその雰囲気作りこそが、「Elysian」の企図したものであろう。

即売会終了直後に開かれたビンゴ大会は事情あって参加せず。ビンゴの後の「座談会」は過去記事に記載したので割愛。
「座談会」の感想としては、札幌コンベンションセンターなら充分アクセス的には問題無いと思うが、先ずはその前に今の規模を維持できるよう努めて欲しい…つまり「足場」をきっちり固めて欲しいと思う。
無理に今焦って拡大後の事を考えるのではなく、今の規模がもう何回か続くようなら、その時に札幌コンベンションセンターに移す方が堅実だと思う。
「継続開催」を志向する即売会との事だが、それゆえに「堅実さ」を追求して欲しい。
そして「座談会」終了後、数十人単位で駅近くの雪印パーラーに移動!
アイスクリームで出来た高さ1M近くのケーキタワーを、数十人がかりで攻略するという「打ち上げ」だ。
元々前述のプチオンリー「予定は未定で無限大!」の打ち上げ企画として設定されていたが、「Elysian」側が便乗w。「予定は未定で無限大!」「Elysian」の共催っぽくなってしまったw
夕方5時過ぎより開始。最初は皆もペースが早いが、タワーの土台部分のアイスがやたら硬い事もあり(確かに硬くさせなければ土台が崩壊してタワーが成立しなくなるから仕方ないのだろうが…)、攻略は苦戦。急速に失速する。
私は飛行機の時間の関係で、夜7時頃には中座させていただいたが、その頃でも1/3は残っていたような…?夜9時の「打ち上げ」終了までには何とか攻略が済んだとの話だが。
お酒を交えての「打ち上げ」も悪くないが、こういう形での「打ち上げ」も悪くない。お酒と違い、未成年でも参加出来るというメリットもあるし。ただ、お酒好きの自分としては、毎回ノンアルコールは流石に勘弁だがw
【総括】
「Elysian」は理念がしっかり備わっている。
その理念ゆえに常に参加者の目線で物を考え、参加者の意見を可能な限り運営に取り入れようとするし、企画も充実させている。その企画も、面白い企画が多く、かつ即売会の本義たる頒布も邪魔しない。
結果、サークルのロイヤリティ(忠誠心)も高い。告知に協力するサークルの多さ、参加サークルのリピーター率の高さがそれを裏付けている。
私も過去様々な即売会に参加して来たが、ここまで良い所を見出せる、かつこれと言った不満点の無い−「穴のない」即売会は殆どお目にかかれない。
唯一課題を申し上げるとすれば、「常に進化する即売会」を目指すとの理念について。今は改善を重ねよう、変化を付けようと努力されている事は百も承知。素晴らしい姿勢だと思うが、経験則で申せば、回を重ねれば重ねるほどにそれは難しくなる。5〜6年経過した当たりで「進化」も「改善」も「し尽くし」て、行き詰ってくる。その時にどうするか、という事も考えた方が良いだろう。
過去私がこれほどまでべた褒め、最大級の評価をさせていただいた即売会は、仙台「杜の奇跡」・金沢「北陸本専」・大阪「こみっく☆トレジャー」などが相当するが、札幌の「Elysian」も、これらの良即売会に劣らぬ素晴らしく魅力的な即売会として、最大級の賛辞を贈りたい。
前夜は諸事情により夕張に宿泊。夕張を朝8時頃発ち、バスで札幌へ。9時30分頃会場着、バスを使えば、夕張も案外近い。
サークル受付開始の10時まで少し時間を潰し、10時に入場。この段階では、待機列の形成は無いものの、40〜50人単位で一般参加者と思しき方々が周囲にいらっしゃった。
依頼のイベントチラシを配ったり、自サークルの設営・準備を行ったりしつつ、あっという間に11時に。この時には、一般参加者の待機列は100-200人ぐらいに。
本オンリーは、北陸本専などもそうだが、「本を売る場が欲しい!」というサークルの思いが起点となり始まっている。
発端からしてサークル目線に基づく即売会であり、サークルの共感は得やすく、サークル数は集まりやすい傾向にある。
ただ、「サークル主導」の即売会ゆえ、買い手=一般参加者の動きは、サークルに比べると鈍い。
それゆえ、「サークルが集まる割には一般来場者が少ない」という現象が起こりやすく、一般を如何に集めるかが本オンリーの課題となる。
アフターの座談会では「初動3人」という話が出たし、私も(打ち上げの席で)主催氏にお話を伺ったが、前回までは【待機列なんてものは存在しなかった】との事。
カタログの販売数にしても、前回までは100も行かなかったとか。
…そういう即売会で、待機列100-200人なんてのは初めての経験だろう。
今回、主催氏は「思い切った冒険」で500冊、カタログを刷ったとの事。過去の経緯だの「初動3人」だの話を伺う限り、清水の舞台から飛び降りるほどの一大決心だったろうと推察。主催氏的には、掛け値なしに、500冊は大冒険だろう。
しかし、それでもその500冊は、会場1時間余りが経過した12時過ぎには完売した。主催氏が想定した最大値を凌駕する来場者数であった。
何故ここまで一般参加者が増加したか?
詳しくは後述するが、やはり東方シリーズのプチオンリー「東方道出抄」の効果が大きいのは疑いようも無い。
だが、イベント全般を見ると、決して東方だけに人が集中した訳でも無い(東方も思った程には多くなかった印象)。
サークル数の増加や、年3回の定期開催を通じて「Elysian」自体の知名度も上昇し、買い手に浸透している部分もあると思う。
【プチオンリー「ぷちしあん」】
「Elysian」の特色の一つとして、「プチオンリー」の開催を積極的に推奨している事が挙げられる。
「プチオンリー」の本来の趣旨は、単独ではオンリーイベントが開催出来ない程度のサークルしか集う事の出来ない環境下のジャンルサークルが、他の求心力ある即売会に参加する形で開催。一種の「イベント内イベント」である。
古くはガタケットでそのような取り組みが行われていたという話も聞くが、世間的に周知されるようになったのは、「コミックシティ」が「プチオンリー」という名称でで制度化した事にあろう。
オンリーイベントを単独で開催するには厳しいジャンルでも開催可能な事、オンリー主催が行うべき業務の大半を、プチオンリーが参加する大本の即売会に丸投げできて負担が減少する事。大本の即売会側から見れば、プチオンリーの開催により、当該ジャンル内の普段自イベントに参加しないサークルの参加が見込め、サークル数増加のテコ入れになる事。双方にメリットがある為、急速に広まっていった。
(同様の小規模ジャンル救済方法としては、「都産祭」「スキマフェスティバル」のようなオンリー集合型即売会もあるが、複数主催の合同形式による為主催間の調整作業が面倒臭い。手間暇を考えると「プチオンリー」の方が手軽か?)
「Elysian」でも、前回の「Elysian10」より、「ぷちしあん」と題しプチオンリーの受け入れを開始した。
今回は、自分は評論プチオンリー「予定は未定で無限大!」にもエントリー。エントリーサークルは11と少ないが、単独じゃ開催不可能な数だけに、やはりプチオンリー形式でないとやって行けない事が伺える。
プチオンリーの形態も様々だが、今回のプチオンリーは、あくまで他のジャンルで活動していても、そのついでに評論本出してくれれば…というスタンスとお見受けした。
プチオンリーとしての施策は、主催「みん」さん自ら足を運んでいただきご挨拶を頂いたが、プチオンリー参加の記念品と、プチオンリー参加を示す小さな名札が配布された程度。後は、後述するが「Elysian」終了後の「打ち上げ」企画ぐらいか。
配置も結構バラバラ。オンリーとしての一体感も敢えて出さないようにしているフシが感じられた。「評論サークルの緩やかなネットワーク」みたいな位置づけであろうか。
プチオンリー側の主催さん曰く、「何もやってないですが…」みたいな事おっしゃっていたが、敢えて何もしないってのも一つのプチオンリーの在り方だと思う。
で、問題のプチオンリー「東方道出抄」。
(東方は、わざわざプチオンリーにせずとも、充分単独開催可能なジャンル規模な気はするのだが…)
東方が有るってだけで人は来るのだろうが、果たしてそれを如何に捌けるかが課題になる。…それが東方だw
主催側も、空気読んだようで東方全サークルを壁配置にし対処した。
(主催氏曰く「そこまでは考えてなかった、あの配置は偶然だった」との弁で謙遜されていたが、もし仰る通り「考えてなかった」としても、その配置に行き着く所でイベント勘…というか主催者としてのセンスが備わっているものと解釈する)
サークル数は約30。金沢でも40、仙台でも90、博多に至っては100集まるのが東方クオリティだが、今回の札幌は、サークル数が意外に少ない。
東方は、グッズ系のサークルも少なくない。本オンリーたる「Elysian」枠内でのプチオンリーと言う事で、グッズサークルの参加を阻んでいる事が、他地域に比べサークル数が少ない理由となろう。
また、翌週に、東京開催とは言え3000sp規模の「博麗神社例大祭」が控えた事も、影響していよう。
一般の初動は、多く見積もっても200人。
しかしその中で、東方初動は全体の6-7割。東方以外が初動の一般参加者も、決して少なくない。(東方に人が集中して他閑散、のイメージだったが意外な展開だった)
蓋を開けば、確かに外周・壁サークルに人が集中するも、スタッフによる誘導の必要が生じるレベルでもなく、案外穏やかだったようにお見受けする。
翌週に「博麗神社例大祭」を控えている事や、「Elysian」の本オンリーとしての特質上、グッズサークルを阻んだ事が、想定した程の人の多さに結び付かず…でもそれゆえに程良い混雑具合になったという事か。
打ち上げの席で主催氏にお話を伺ったが、「オンリーを開き辛いジャンルの方々が集まれる機会を作りたい」との事。
確かに、北海道は最大規模のオールジャンルですら500sp程度に過ぎない。市場規模的に非常に弱い。旬ジャンルならともかく、少しでも旬を過ぎたジャンルなら、30集める事すら至難の業であろう。
市場規模の小さい地方都市こそ、「ぷちしあん」のようなプチオンリーの存在は、意義も深い。
主催氏も仰るように「オンリーを開き辛いジャンルの方々が集まれる機会」の創出に繋がるからだ。プチオンリーの役割や意義は、地方なればこそ都会以上に大きいのではないか。
また、このプチオンリーの施策は、「Elysian」側にもサークル数増加という形でメリットがある。
前回記事で提示したデータを見ても、これまでは50〜70台で推移していたサークル数が、「ぷちしあん」を導入した前回「Elysian10」から111spに急増。そして今回は東方効果も加わり168spと激増するに至った。
私自身を振り返ると、「Elysian」に参加を決めたのも、評論プチオンリーの存在が、決定的な最後の一押しであった。それが無ければ参加を見送っていた可能性も充分だった。
前回触れていなかったが、「プチオンリー」の導入も、「Elysian」躍進の一要因ではないかと考える。
【打ち上げ アイスクリームタワー攻略!】
プチオンリーや企画の積極的な導入を除けば、「Elysian」は極めて普通の即売会であった。落ち着いた雰囲気で本の売り買いが出来、本もそれなりに売れ、参加し甲斐のある即売会であった。
そしてその雰囲気作りこそが、「Elysian」の企図したものであろう。

即売会終了直後に開かれたビンゴ大会は事情あって参加せず。ビンゴの後の「座談会」は過去記事に記載したので割愛。
「座談会」の感想としては、札幌コンベンションセンターなら充分アクセス的には問題無いと思うが、先ずはその前に今の規模を維持できるよう努めて欲しい…つまり「足場」をきっちり固めて欲しいと思う。
無理に今焦って拡大後の事を考えるのではなく、今の規模がもう何回か続くようなら、その時に札幌コンベンションセンターに移す方が堅実だと思う。
「継続開催」を志向する即売会との事だが、それゆえに「堅実さ」を追求して欲しい。
そして「座談会」終了後、数十人単位で駅近くの雪印パーラーに移動!
アイスクリームで出来た高さ1M近くのケーキタワーを、数十人がかりで攻略するという「打ち上げ」だ。
元々前述のプチオンリー「予定は未定で無限大!」の打ち上げ企画として設定されていたが、「Elysian」側が便乗w。「予定は未定で無限大!」「Elysian」の共催っぽくなってしまったw
夕方5時過ぎより開始。最初は皆もペースが早いが、タワーの土台部分のアイスがやたら硬い事もあり(確かに硬くさせなければ土台が崩壊してタワーが成立しなくなるから仕方ないのだろうが…)、攻略は苦戦。急速に失速する。
私は飛行機の時間の関係で、夜7時頃には中座させていただいたが、その頃でも1/3は残っていたような…?夜9時の「打ち上げ」終了までには何とか攻略が済んだとの話だが。
お酒を交えての「打ち上げ」も悪くないが、こういう形での「打ち上げ」も悪くない。お酒と違い、未成年でも参加出来るというメリットもあるし。ただ、お酒好きの自分としては、毎回ノンアルコールは流石に勘弁だがw
【総括】
「Elysian」は理念がしっかり備わっている。
その理念ゆえに常に参加者の目線で物を考え、参加者の意見を可能な限り運営に取り入れようとするし、企画も充実させている。その企画も、面白い企画が多く、かつ即売会の本義たる頒布も邪魔しない。
結果、サークルのロイヤリティ(忠誠心)も高い。告知に協力するサークルの多さ、参加サークルのリピーター率の高さがそれを裏付けている。
私も過去様々な即売会に参加して来たが、ここまで良い所を見出せる、かつこれと言った不満点の無い−「穴のない」即売会は殆どお目にかかれない。
唯一課題を申し上げるとすれば、「常に進化する即売会」を目指すとの理念について。今は改善を重ねよう、変化を付けようと努力されている事は百も承知。素晴らしい姿勢だと思うが、経験則で申せば、回を重ねれば重ねるほどにそれは難しくなる。5〜6年経過した当たりで「進化」も「改善」も「し尽くし」て、行き詰ってくる。その時にどうするか、という事も考えた方が良いだろう。
過去私がこれほどまでべた褒め、最大級の評価をさせていただいた即売会は、仙台「杜の奇跡」・金沢「北陸本専」・大阪「こみっく☆トレジャー」などが相当するが、札幌の「Elysian」も、これらの良即売会に劣らぬ素晴らしく魅力的な即売会として、最大級の賛辞を贈りたい。