8月30日、ユウメディア開催の東方シリーズオンリー「東方螺茶会」に一般参加でお邪魔した。

ユウメディアは、全国の地方都市を中心にオールジャンルの同人誌即売会を開催している企業。「地域に根差した同人の担い手」として、私はその役割を高く評価している。
最近は中・小規模のオンリーイベントにも積極的に乗り出している。中でも、ヘタリアオンリー「世界会議」の1000sp超は特筆すべき快挙と言えよう。

但し、ユウメディアの即売会は、どうしても「女性向け」の色が強い
どこの地域でも言えるが、地方のオールジャンル即売会は女性参加者が圧倒的多数、男性陣はごく僅か。ユウメディア主催のそれも、例外ではない。
また、過去には、当時男性向け最大規模の同人誌即売会であった「コミックレボリューション」終焉に伴い、レボリューションの後継に名乗りをあげ「コミックキャラクターズ」を立ち上げたものの失敗、男性向け即売会より撤退した事もある。個人的には、これを機にユウメディアは女性向け特化方向にシフトした、との認識を持っている。
オンリーも開催ジャンルは多種多様だが、ヘタリア・リボーン・鋼の錬金術師等女性向け系統のジャンルで実績を上げており、男性向け系統に属するジャンルは、「らき☆すた」にちょこっと顔を出した程度。
どこをどう考えても、ユウメディア主催の即売会は、「女性向け」の傾向が強い、と感ずる次第である。

そのユウメディアが、東方Projectに手を出した。
単純に考えれば、今が旬の東方の力を借り、オンリーの開催を通じ増収を図ろうとする意図を見い出す事が出来る。
これに加え、私は全国各地で開催されるユウメディア主催のオールジャンル同人誌即売会にて、東方サークルが軒並み増加傾向である事も指摘したい。
宇都宮では、配置図のジャンル分けで「東方」が新設されるようになった。名古屋ではその域を既に通り越し、女性向け有力ジャンルの「リボーン」に肩を並べる程の規模に至った。
男性向けの土壌で育った東方が、地方即売会という女性向け中心の世界で一定勢力を持ちつつある現状は、特筆すべき事象だ。
ユウメディアが「手応え」を感じ、東方に進出するのも無理は無い。

さて、つい今しがた、東方について「地方即売会という女性向け中心の世界で一定勢力を持ちつつある」と述べた。
即ちこれは、東方が女性陣…所謂「腐女子」の世界に浸透していることを示している。詳細は省くが、東方原作は腐女子にも受け入れ易い土壌を有していると思う。
男性向けの土壌で育ったとは言え、女性向け文脈でも少しずつ増えつつある事。これは、ユウメディア主催オールジャンルでのサークル数増加という結果が証明していよう。

東方は、女性向けの文脈でも浸透しているジャンルである事。
そして、ユウメディア自体が、女性向け文脈での同人誌即売会を多く開催している事。

私は、「東方螺茶会」をユウメディアが開催すると聞いた時、この2つの前提事実から、「螺茶会は、女性向け文脈での東方オンリーになろう」と予見した。

これまでの東方オンリーは、極めて「男性向けオンリー」的な空気での開催であった。主催・スタッフ共、男性向けオンリーの世界に長く触れた方が多い。一般参加者も男性陣が多数。そりゃ「男性向けオンリー」の雰囲気になるのも当然だ。
だが一方で、ついこないだまでヘタリアやらテニプリやら「腐女子的雰囲気」の中で活動してきた女性サークルにしてみたら、男性向けのこの雰囲気はアウェーだ。勿論その雰囲気に慣れる方も居ようが、どうしても馴染めない方もまた、いらっしゃる事であろう。
「螺茶会」が女性向け文脈での東方オンリーである事を志向するなら、男性向けの雰囲気に馴染めないサークルの受け皿となるだろう。私は、そう期待した。
そしてそれは、乱立する東方オンリーの中で、「螺茶会」が他の東方オンリーとの差別化を図り得る方法でもあったと思う。


当日フタを開けてみると、サークルは男性向けの土壌で活躍されていたサークルが中心、一般参加者も男性陣中心。
女性陣が多く訪れる、女性向け的な東方オンリーを期待していた自分としては、全くもって期待外れであったと言えよう。

参加者は他の東方オンリー同様、男性向けのノリで参加。その一方で、主催者側は、他のユウメディア主催女性向けジャンルのオンリー同様、女性向けのノリで運営
両者が交じり合って、男性向けとも女性向けとも言えぬ、中途半端な雰囲気を感じ取った。

サークル数は約160、本来ならば、数字的には決して少なくは無いと思う。
だが、東方ジャンルである事を考えると、正直物足りなさを感じる。
博麗神社例大祭や東方紅楼夢と比べるのは酷としても、同じ都内開催の「東方崇敬祭」は800サークルの申込を受け、「月の宴」や「紅のひろば」が300サークル規模たる事を考えると、やはり160サークルは「物足りない」と断じざるを得ない。

では、伸び悩んだ原因は、何処にあるのか?
企業主催という事で参加者側が色眼鏡で見た事も挙げられる。
可能性の話だが、女性向け東方の浸透は地方レベルの話に過ぎず、東京においては、そこまで浸透していないのかもしれない。或いは、その層を他の東方オンリーが取り込んでいるかもしれない。(少し検証が必要だが)

色々考えられるが、私は、この即売会を開くに当たっての「コンセプト」の不明瞭さを指摘したい。
そもそも、ユウメディアは、このオンリーを開催するに当たり、何処をターゲットにしたのだろうか?

東方サークル全般、というつもりかも知れないが、それは「博麗神社例大祭」等既存の東方オンリーがその役目を果たしている。後発の即売会が同じような事やっても興味を引くまい。

私は「女性向け層」をターゲットにすべきとの論だが、よくよく考えると、この日は女性向けで「GOOD COMIC CITY」が開催され、女性陣はそちらに向かう
HARUコミや5月スパコミ、秋のスパークに比べれば規模は小さいが、夏コミ後という事で相応に盛り上がる。
女性向けをターゲットにするのなら、この日程は疑問符である。
「螺茶会」は、ユウメディア即売会にしては女性陣が少なく、男性比率が極めて高い即売会であった。「GOOD COMIC CITY」とのバッティングは、女性が少なかった一因に成り得る。

結局「螺茶会」参加者は、男性陣が中心だった。ただ、それもユウメディアが狙っての結果ではない。女性陣の取り込みに失敗した結果であろう。
かと言って男性陣にアピールした形跡も、余り無い。そもそも「男性向け」の文脈では、「月の宴」「紅のひろば」「東方崇敬祭」と有力な即売会が目白押し。相当努力せねば差別化は図れず、埋没してしまう。ぶっちゃけ、今回のサークル数の伸び悩みは、埋没した結果だと思う。

女性向けを狙うには女性に優しく無い日程。
男性向けを狙うには、差別化を図れずアピール力に欠ける。

「螺茶会」は何をターゲットに即売会を開くのか、そのコンセプトが不明瞭で見えて来ない。
どっち付かずのターゲット設定が、サークル数の伸び悩みの主要因、と私は分析する。

次回は来年春開催との事。
ユウメディアには、ターゲットとコンセプトをもう一度見直し、それに沿った告知や営業に取り組んで欲しい
個人的な意見としては、先述したが女性向け層をターゲットにするべきと主張したい。ユウメディア自体が女性向けに慣れ相性が良いこと、女性向けへの特化は数多の東方オンリーの中で唯一の存在ゆえ、オンリーワンとして差別化を図れることとが、その理由だ。

それが出来れば、今回のような中途半端に成らず済むだろう。
「螺茶会」第二回でのパワーアップに期待したい。

#ユウメディアは、東京のみならず地方都市でも、東方オンリーの開催を目指している。この件についての論評は、次回以降改めて語りたい。