地方都市にて開催の同人誌即売会は、近年「同人誌」の頒布率が減少傾向だ。
グッズ・ラミカ・便箋が増え、コスプレイヤー率が高まり、昔ほど本を見なくなったとの声を聞く。
地方の同人誌即売会の主力は若い中高生。本を作る元手となる経済力も弱いし、同人初心者も多いから手軽に作品を出せる便箋・ラミカに走る…同人誌が減る理屈も、分からないでもない。
だが、「本を欲しい」買い手からすると、このような即売会は、魅力に映らない。都市部のオンリーや大規模オールジャンル、或いはショップに走り、地元の即売会は見切ってしまう。
そして地元即売会に出るサークルも、本を求める買い手が居なくなり、またコスプレイヤーの増加もあり、サークルとして参加し辛くなる。東京に出るにも、交通費の問題もあるし、簡単には行かない…。
そんな地元の現状を改めよう、地元で本の売り買いの出来る場を…という事で立ち上がったのが、所謂「本オンリー」だ。
頒布物は同人誌を必ず含める。「オンリー」と名は付くが、実質的にオールジャンルの同人誌即売会と言えよう。
グッズ・ラミカ・便箋が増え、コスプレイヤー率が高まり、昔ほど本を見なくなったとの声を聞く。
地方の同人誌即売会の主力は若い中高生。本を作る元手となる経済力も弱いし、同人初心者も多いから手軽に作品を出せる便箋・ラミカに走る…同人誌が減る理屈も、分からないでもない。
だが、「本を欲しい」買い手からすると、このような即売会は、魅力に映らない。都市部のオンリーや大規模オールジャンル、或いはショップに走り、地元の即売会は見切ってしまう。
そして地元即売会に出るサークルも、本を求める買い手が居なくなり、またコスプレイヤーの増加もあり、サークルとして参加し辛くなる。東京に出るにも、交通費の問題もあるし、簡単には行かない…。
そんな地元の現状を改めよう、地元で本の売り買いの出来る場を…という事で立ち上がったのが、所謂「本オンリー」だ。
頒布物は同人誌を必ず含める。「オンリー」と名は付くが、実質的にオールジャンルの同人誌即売会と言えよう。
本オンリーの走りは、北陸に興った「北陸本専」。
主催陣がサークル出身者たる事を活かし、サークル目線に立ったきめ細やかな対応。主催経験は浅いながらも完成度の高い運営。私が見てきた全国各地の即売会の中でも、トップクラスで評価している即売会だ。
サークルも毎回100サークルは集まり、何故か知らんが全国各地から遠征サークルが続出している位だ。
また、北陸本専の成功を刺激に、他の地域でも相次いで「本オンリー」が立ち上がった。今でも続いている「本オンリー」も少なくない。
その中で最大級の出世頭が、北海道は札幌市開催の「Elysian」である。
初期こそサークル数が低迷するも、本専同様のきめ細やかな対応がリピーターを増やし、また参加者を楽しませる(しかしサークルの頒布の邪魔にはならない)各種企画を用意、場の盛り上げに努力している。
その甲斐あって初期の低迷期と同じ即売会とは思えない程に、サークル数は急増(現在は200-300サークルが参加)。今秋の「2日間開催」を経て、来年からは会場をより広い所に移しての開催が、予定されている。
「北陸本専」「Elysian」が成功を修める一方、率直申し上げて結果が伴って居ない即売会がある。
名古屋でオンリーイベントを精力的に開催されるイベント主催団体「AHS」が立ち上げた本オンリー「本命」である。
毎回50サークル前後を集め定期開催を図っているが、名古屋の市場規模を考えると、もう少しサークル数が増えても良いのでは?という気もする。
チラシは随所でお見かけする。夏コミでは全サークルへのチラシ配布を行う等、告知努力は相当で、その頑張りは称賛して然るべきであろう。(名古屋界隈の店舗でチラシ等見かける機会が少ないので、そこを強化しても良いのでは?とは思うが…)
しかしながら、その努力あるからこそ、もっと結果が出ても良い筈だ、とも思う。何故「本命」は、結果が伴わないのか?
一年位前からずっと気にはしていたが、考えが纏まらず、ブログに上げるのは控えていた。
だが、最近になり、ようやく自分なりの考えが纏まったので、ここに記したい。
「本命」のサークル数が伸びない理由は色々考えられるが、私は、他の大規模即売会とのバッティングが多かった事を、主因として捉えていた。(地元名古屋のコミックライブや、大阪「こみっく☆トレジャー」とのバッティング有り)
だが、先日10/18開催の「本命」を見る限り、特に大きな即売会とのバッティングは無い。しかし、サークル数は普段のレベル。バッティングだけが理由ではなさそうだ。
参加サークルのリピーターを確保しきれていないのは、確かに事実だと思う。
確かに(リピーター率の高い)「Elysian」程のきめ細やかさは無いかも知れない。だが、「Elysian」のレベルを求めるのも酷な話だ。
また、もし仮にそうだとしても、それをカバーし得るだけの告知努力を果たしている。
リピーターが増えずとも新規サークルを増やし補える。数字に結び付かない事の理由にはならない。
では一体、「本命」の参加者数が少ない理由は、何処に内包されているのか?
先日、とある方から聞いたお話だが…男性向けジャンルで活動されるサークルさん(名古屋近辺在住)が、「本命」のチラシを拝見してこういう感想を述べたそうな。
その感想は、サークルの率直な感想であり、これも一つの「サークル目線」と言えよう。
こんな考え方もあったのか、と私の心に響く物があった。
そのサークルさんは、このような感想を述べられた。
「本オンリーって言うが、同人誌即売会なんだから本があって当たり前じゃねえか?」
このサークルさんは男性向けジャンルで活動されている方。活動の主力は都内開催のジャンルオンリーや、コミケ・サンクリ等の大規模即売会が中心と想像できる。恐らく地元即売会は、女性向け色が強いからと参加していないのだろう。
男性向けジャンルならば、グッズ率の高い東方を除けば、サークルの頒布物は「本」が当たり前の世界。
そこをフィールドにする以上、「本オンリー」というコンセプトそのものに疑念を持つのも頷ける。当該サークルさんの仰る事は、ごもっともだ。
だが、私はこのコメントを更に掘り下げて考察する事で、2つのポイントを見い出した。
先ず一つ、「本オンリー」という概念は、即売会に参加して、ラミカ・便箋・コスプレイヤー率の高さに辟易した経験。それが土壌となって初めて成立する、という事。
地方の実情を知らない東京人が「本オンリー」と言われた所でピンとは来ない。(では何故東京でチラシを撒くか、それは地元を見限って東京に進出したサークルを呼び戻す為だ)
そしてもう一つのポイントは、名古屋という立地条件が、東京や大阪と言った都市部へのアクセスに容易な環境である事。実は、これこそが、「本命」苦戦の根本的原因ではないか、と考えている。
先述のサークルさんの立場から見れば、自身の活動場所を地元には求めない。
大阪・東京は、電車を使えば日帰り遠征も容易な立地、近くて大規模であってても女性向け色の強いコミックライブは行かず、東京や大阪で開かれるオンリーや大規模オールジャンルを選ぶだろう。
地方在住ながらも、東京や大阪を容易に選べる。故に、地方の実情・地元の実情を知らぬままサークル活動に臨む事も、決して不可能ではない。
それだけ、名古屋という場所はアクセス容易なのだ。だからこそ、「本命」は苦戦している。
女性向けジャンルで活動する方の立場で考えてみよう。
地元に本が無い…ならば、東京に進出しよう!と考える。
東京へは新幹線で一時間半、時間はかかるが高速バスならよりリーズナブルに済む。
他の地域に比べ、名古屋は交通手段に恵まれ、それ故「東京」はハードルの低い選択肢となり得る。
そして、東京にはコミケもコミックシティもオンリーもある、魅力的な選択肢揃いだ。
仮に東京がハードル高くとも、名古屋にはより容易な選択肢がある。大阪へは近鉄特急で2時間、東京よりも安く手軽に遠征でき、そしてコミックシティがある。特にコミケ後開催のものは10000サークルを突破する一大イベント、魅力的かつハードルの極めて低い選択肢だ。
こうして見ると、名古屋から見れば、大阪・東京という魅力的な選択肢があり、本オンリーたる「本命」は、相対的に重要性が薄くなってしまう。「本命」にとっては厳しい環境だ。
さて、ここで「北陸本専」の金沢、「Elysian」の札幌がどういう環境かを見てみよう。
東京・大阪と言った都市部のイベントも、名古屋同様に有力な選択肢となる。
だが問題は、その選択肢のハードルの高さだ。
金沢は、東京へは新幹線等の乗り継ぎで約4時間、夜行だと約8時間。結構な長旅で、距離も交通費も、名古屋以上に嵩む。大阪へ行くにも、特急3時間…お手軽に行ける環境ではない。
東京・大阪のハードルは決して低くは無い。かといって地元の即売会も若い子が多いし本も少ないしで行きづらい。
東京・大阪を選び辛い以上、地元で頑張る「北陸本専」に対する期待、そして役割の重要性は、相対的に大きいものとなる。
北海道だともっと厳しい。
確かに東京・大阪へは飛行機一本と便利だ。だが、飛行機は値段が張る。しょっちゅう気軽に遠征できるものでも無い。
そして、それ以外の交通手段は、事実上存在しない。(厳密に言えばフェリーや北海道・東日本パスで交通費を抑える事も可能だが、時間がかかり過ぎるので万人向けの方法とは言えない)
東京・大阪は、金沢のケース以上にハードルの高い選択肢。地元で頑張る「Elysian」の存在意義は、相対的により重要なものとなる。
「Elysian」も「北陸本専」も、サークル目線に立ったきめ細やかな対応で、きっちりリピーターを掴んでいる。当然、そこは忘れてはならない。
だが、彼らが成功したもう一つの理由は、東京や大阪に行き辛く、東京や大阪が選択肢として弱い事。それゆえ、相対的に自分達の役割や価値は高まった。
これが、両即売会成長の背景である。
一方、手軽に大阪や東京に足を運べる環境にあっては、選択肢としての重要性は、相対的に低くなる。あまたある選択肢の一つに過ぎない。
本が欲しければ、東京や大阪に行けば良い。
「本命」が名古屋で苦戦する最大理由は、その立地条件ゆえ、と分析する。
確かに名古屋は、同人的には市場規模の大きい土地。それ故に、もっとサークルが集められるのでは?と思いがちだ。
だが、本の売り買いをしたければ気軽に東京・大阪に足を運べる環境だ。言わば「強敵」たる東京・大阪と、厳しい競争を戦っているようなもの。
即売会が、市場の大きさに比例しないのも、立地という事情を考えるとやむを得ないのではなかろうか。
私は正直、「本命」は名古屋という場所の立地環境ゆえ、今後もなかなかに厳しい戦いが続くのではないかと考える。
女性向けジャンルのオンリーである程度の実績を挙げており、そっちに注力した方が、主催的にも楽なんじゃないかと思う。
だが、それでも「本命」がやる気を見せるのなら、厳しい環境とは思うが是非頑張って欲しいとは思うし、応援して参りたい。
コピー本作成講座を企画する等の取り組みから、名古屋の地で「本」を広めたいとの思いは伝わる。
ならば、名古屋で「本オンリー」を開く事が実は意外に厳しい事を意識して頂き、今以上に努力する事を望みたい。大変な環境の中、それでも頑張るんだという事なら、その意気を応援し続けたいものである。
主催陣がサークル出身者たる事を活かし、サークル目線に立ったきめ細やかな対応。主催経験は浅いながらも完成度の高い運営。私が見てきた全国各地の即売会の中でも、トップクラスで評価している即売会だ。
サークルも毎回100サークルは集まり、何故か知らんが全国各地から遠征サークルが続出している位だ。
また、北陸本専の成功を刺激に、他の地域でも相次いで「本オンリー」が立ち上がった。今でも続いている「本オンリー」も少なくない。
その中で最大級の出世頭が、北海道は札幌市開催の「Elysian」である。
初期こそサークル数が低迷するも、本専同様のきめ細やかな対応がリピーターを増やし、また参加者を楽しませる(しかしサークルの頒布の邪魔にはならない)各種企画を用意、場の盛り上げに努力している。
その甲斐あって初期の低迷期と同じ即売会とは思えない程に、サークル数は急増(現在は200-300サークルが参加)。今秋の「2日間開催」を経て、来年からは会場をより広い所に移しての開催が、予定されている。
「北陸本専」「Elysian」が成功を修める一方、率直申し上げて結果が伴って居ない即売会がある。
名古屋でオンリーイベントを精力的に開催されるイベント主催団体「AHS」が立ち上げた本オンリー「本命」である。
毎回50サークル前後を集め定期開催を図っているが、名古屋の市場規模を考えると、もう少しサークル数が増えても良いのでは?という気もする。
チラシは随所でお見かけする。夏コミでは全サークルへのチラシ配布を行う等、告知努力は相当で、その頑張りは称賛して然るべきであろう。(名古屋界隈の店舗でチラシ等見かける機会が少ないので、そこを強化しても良いのでは?とは思うが…)
しかしながら、その努力あるからこそ、もっと結果が出ても良い筈だ、とも思う。何故「本命」は、結果が伴わないのか?
一年位前からずっと気にはしていたが、考えが纏まらず、ブログに上げるのは控えていた。
だが、最近になり、ようやく自分なりの考えが纏まったので、ここに記したい。
「本命」のサークル数が伸びない理由は色々考えられるが、私は、他の大規模即売会とのバッティングが多かった事を、主因として捉えていた。(地元名古屋のコミックライブや、大阪「こみっく☆トレジャー」とのバッティング有り)
だが、先日10/18開催の「本命」を見る限り、特に大きな即売会とのバッティングは無い。しかし、サークル数は普段のレベル。バッティングだけが理由ではなさそうだ。
参加サークルのリピーターを確保しきれていないのは、確かに事実だと思う。
確かに(リピーター率の高い)「Elysian」程のきめ細やかさは無いかも知れない。だが、「Elysian」のレベルを求めるのも酷な話だ。
また、もし仮にそうだとしても、それをカバーし得るだけの告知努力を果たしている。
リピーターが増えずとも新規サークルを増やし補える。数字に結び付かない事の理由にはならない。
では一体、「本命」の参加者数が少ない理由は、何処に内包されているのか?
先日、とある方から聞いたお話だが…男性向けジャンルで活動されるサークルさん(名古屋近辺在住)が、「本命」のチラシを拝見してこういう感想を述べたそうな。
その感想は、サークルの率直な感想であり、これも一つの「サークル目線」と言えよう。
こんな考え方もあったのか、と私の心に響く物があった。
そのサークルさんは、このような感想を述べられた。
「本オンリーって言うが、同人誌即売会なんだから本があって当たり前じゃねえか?」
このサークルさんは男性向けジャンルで活動されている方。活動の主力は都内開催のジャンルオンリーや、コミケ・サンクリ等の大規模即売会が中心と想像できる。恐らく地元即売会は、女性向け色が強いからと参加していないのだろう。
男性向けジャンルならば、グッズ率の高い東方を除けば、サークルの頒布物は「本」が当たり前の世界。
そこをフィールドにする以上、「本オンリー」というコンセプトそのものに疑念を持つのも頷ける。当該サークルさんの仰る事は、ごもっともだ。
だが、私はこのコメントを更に掘り下げて考察する事で、2つのポイントを見い出した。
先ず一つ、「本オンリー」という概念は、即売会に参加して、ラミカ・便箋・コスプレイヤー率の高さに辟易した経験。それが土壌となって初めて成立する、という事。
地方の実情を知らない東京人が「本オンリー」と言われた所でピンとは来ない。(では何故東京でチラシを撒くか、それは地元を見限って東京に進出したサークルを呼び戻す為だ)
そしてもう一つのポイントは、名古屋という立地条件が、東京や大阪と言った都市部へのアクセスに容易な環境である事。実は、これこそが、「本命」苦戦の根本的原因ではないか、と考えている。
先述のサークルさんの立場から見れば、自身の活動場所を地元には求めない。
大阪・東京は、電車を使えば日帰り遠征も容易な立地、近くて大規模であってても女性向け色の強いコミックライブは行かず、東京や大阪で開かれるオンリーや大規模オールジャンルを選ぶだろう。
地方在住ながらも、東京や大阪を容易に選べる。故に、地方の実情・地元の実情を知らぬままサークル活動に臨む事も、決して不可能ではない。
それだけ、名古屋という場所はアクセス容易なのだ。だからこそ、「本命」は苦戦している。
女性向けジャンルで活動する方の立場で考えてみよう。
地元に本が無い…ならば、東京に進出しよう!と考える。
東京へは新幹線で一時間半、時間はかかるが高速バスならよりリーズナブルに済む。
他の地域に比べ、名古屋は交通手段に恵まれ、それ故「東京」はハードルの低い選択肢となり得る。
そして、東京にはコミケもコミックシティもオンリーもある、魅力的な選択肢揃いだ。
仮に東京がハードル高くとも、名古屋にはより容易な選択肢がある。大阪へは近鉄特急で2時間、東京よりも安く手軽に遠征でき、そしてコミックシティがある。特にコミケ後開催のものは10000サークルを突破する一大イベント、魅力的かつハードルの極めて低い選択肢だ。
こうして見ると、名古屋から見れば、大阪・東京という魅力的な選択肢があり、本オンリーたる「本命」は、相対的に重要性が薄くなってしまう。「本命」にとっては厳しい環境だ。
さて、ここで「北陸本専」の金沢、「Elysian」の札幌がどういう環境かを見てみよう。
東京・大阪と言った都市部のイベントも、名古屋同様に有力な選択肢となる。
だが問題は、その選択肢のハードルの高さだ。
金沢は、東京へは新幹線等の乗り継ぎで約4時間、夜行だと約8時間。結構な長旅で、距離も交通費も、名古屋以上に嵩む。大阪へ行くにも、特急3時間…お手軽に行ける環境ではない。
東京・大阪のハードルは決して低くは無い。かといって地元の即売会も若い子が多いし本も少ないしで行きづらい。
東京・大阪を選び辛い以上、地元で頑張る「北陸本専」に対する期待、そして役割の重要性は、相対的に大きいものとなる。
北海道だともっと厳しい。
確かに東京・大阪へは飛行機一本と便利だ。だが、飛行機は値段が張る。しょっちゅう気軽に遠征できるものでも無い。
そして、それ以外の交通手段は、事実上存在しない。(厳密に言えばフェリーや北海道・東日本パスで交通費を抑える事も可能だが、時間がかかり過ぎるので万人向けの方法とは言えない)
東京・大阪は、金沢のケース以上にハードルの高い選択肢。地元で頑張る「Elysian」の存在意義は、相対的により重要なものとなる。
「Elysian」も「北陸本専」も、サークル目線に立ったきめ細やかな対応で、きっちりリピーターを掴んでいる。当然、そこは忘れてはならない。
だが、彼らが成功したもう一つの理由は、東京や大阪に行き辛く、東京や大阪が選択肢として弱い事。それゆえ、相対的に自分達の役割や価値は高まった。
これが、両即売会成長の背景である。
一方、手軽に大阪や東京に足を運べる環境にあっては、選択肢としての重要性は、相対的に低くなる。あまたある選択肢の一つに過ぎない。
本が欲しければ、東京や大阪に行けば良い。
「本命」が名古屋で苦戦する最大理由は、その立地条件ゆえ、と分析する。
確かに名古屋は、同人的には市場規模の大きい土地。それ故に、もっとサークルが集められるのでは?と思いがちだ。
だが、本の売り買いをしたければ気軽に東京・大阪に足を運べる環境だ。言わば「強敵」たる東京・大阪と、厳しい競争を戦っているようなもの。
即売会が、市場の大きさに比例しないのも、立地という事情を考えるとやむを得ないのではなかろうか。
私は正直、「本命」は名古屋という場所の立地環境ゆえ、今後もなかなかに厳しい戦いが続くのではないかと考える。
女性向けジャンルのオンリーである程度の実績を挙げており、そっちに注力した方が、主催的にも楽なんじゃないかと思う。
だが、それでも「本命」がやる気を見せるのなら、厳しい環境とは思うが是非頑張って欲しいとは思うし、応援して参りたい。
コピー本作成講座を企画する等の取り組みから、名古屋の地で「本」を広めたいとの思いは伝わる。
ならば、名古屋で「本オンリー」を開く事が実は意外に厳しい事を意識して頂き、今以上に努力する事を望みたい。大変な環境の中、それでも頑張るんだという事なら、その意気を応援し続けたいものである。
熱意はあるし、それは認めるけれども、その方向性が間違っていてリピーターになりたくないと。
本専系イベントは比較的小規模でそういったクチコミに左右される点もあるだけに、それがサークル・一般双方に伝播してしまっている気がします。
名古屋界隈は大都市圏でありながら色々と厳しい地方でありますが、本命の場合はやはり花羅氏の言う本質的な部分が足りてないんじゃないかと思いますなぁ。