大(9)州東方祭」に関する論評の続きです。
今回は、「大(9)州東方祭」当日の様子を時系列的に語りつつ論評とさせて頂きたい。
朝7時に開場。9時からサークル入場の為、1000sp超級の大規模即売会並の広い会場で、僅か2時間で設営を終えねばならない。
だが、実に100人にも及ぶスタッフ達の数の力により、設営は無事完了。8時半にはチラシ撒きも出来る状態に。

そしてその8時半から列形成も始まる。
一部居た徹夜組も含め、約300人程度。
しかし、外警担当者に言わせれば、前回「博多東方祭」ほどではない、との事。

実はこの「大(9)州東方祭」、他の即売会とは異なり、来場者の出足が「遅い」即売会であった。
普通の即売会は、開場前に大勢が並び、開場直後は阿鼻叫喚。時が経つにつれ人が少なくなり、終了寸前にはまったりモード。そういう即売会が大半だ。
だが、「大(9)州東方祭」は午後に入っても客足は衰えなかった
極めて異例の展開だが、これには幾つかの原因が考えられる。

1.会場が小倉ゆえ、博多以南・以西の東方厨の皆様にとっては移動時間がかかる

2.各種魅力的な企画が午後から

目玉企画「TAMUSICコンサート」もそうだが、「東方非想天則ゲーム大会」「チルノダンス」…これらの企画も午後以降のタイムスケジュール。
これらの企画目当ての方なら、午後に小倉に着いても充分事足りよう。
参加者の客足が衰えなかった理由を、ここに求められよう。

そういう訳で、外警の重要な任務たる、一般来場者の誘導。
気のはやる東方厨の皆さんを、事故無く上手に誘導する大切な仕事だが、初動が厳しくなかった事もあり、問題無く無事に終えた模様だ。


会場内の状況を俯瞰すると、東方オンリーに有りがちな通路列が通行不能な程の充満、とはならず。かと言って閑散では無く、ほどよい混雑ぶりであった。
これは、同時開催の痛車展示会に因る所が大きかった。
痛車はスペースを多く取る。会場総面積の4割が痛車スペースだったが、そこに流れる来場者も多かったし、また、ゆっくりしたい方はスペースに余裕ある痛車スペースに移動してゆっくりすれば良い。
それゆえ、例大祭等でありがちだった「ゆっくりし過ぎて人多すぎ状態」も起こらずに済んだ。
企画には、人を分散させる効果がある、という考え方も出来る。


その痛車展示会は、約50台の車が参加。…何故か岡山組が多い。
さすが岡山は「ぶちすげぇコミックバトル」が早くから痛車に門戸を開いただけあって、痛車文化が浸透しているw
「ぶちすげぇコミックバトル」に痛車で参加している方々も多数、九州に遠征されている模様だ。
(以前話題にした)「平田食事センター仕様の痛車」なんてのもあり、私の頭痛を酷くさせたw

開場からしばらくは普通の即売会であったが、12時を少し超えた辺りから、「自重しないモード」に突入。
参加者を楽しませようと、数多くの「企画」を用意する。
それは良いのだが、このイベントの本義は即売会だ。
即売会である以上、サークルの作品を一般参加者が購入する…すなわち売り買いが本義である。
売り買いの場を阻害するような事態にならないか?

過去には企画を充実させる余り、一般参加者の目が企画に移り、頒布できる環境が奪われサークルの反感を買った、なんて事例を幾つも見ている。
同じような展開にならないかが、心配の種であった。


12時30分過ぎには、「東方非想天則」のトーナンメント戦が開始。
事前に募集を掛けていたがようだが、先着128人参加可能!という自重しない…いや意欲的な展開。
これに関しては、即売会スペースから痛車スペースを挟んだ先がゲーム大会のスペースという事で距離も離れており、サークルの頒布に影響を及ぼす事は無かった。


ちょっと不味いと感じたのは、13時過ぎより実施された企画「チルノのパーフェクトさんすう教室をみんなで踊ってみた」(所謂「チルノダンス」)。
午後からTAMUSICがコンサートを行うステージにて、総勢100人近いコスプレイヤーが、音楽に乗って「チルノのパーフェクトさんすう教室」を踊る、という企画だ。
100人ものコスプレイヤーが踊る様子は圧巻。会場内も大いに沸いた。

確かに企画自体は楽しく、大いに盛り上がった。
だが、それゆえに、「チルノのパーフェクトさんすう教室」が始まると、サークルスペースから潮を引いたように買い手が去って行く
「チルノのパーフェクトさんすう教室」が、サークルの頒布機会を奪った側面がある事は間違いない。

更に宜しくない事に、チルノダンスに人だかりができるのは当然だが、その人だかりがサークルスペースの中にまで侵食した事。
サークルから見れば、自分のスペースの目の前に立っている人が、自分のサークルの頒布物を見ず、チルノダンスに目が行っている…言葉は悪いが、「チルノダンス」がサークルの頒布を妨害している事にもなる。
ステージとサークルスペースとが隣接している配置が、その原因として求められよう。
こういった反省点を踏まえ、次回以降はもう少しの検討・再考をお願いしたい。

ただ良かった点としては、司会者やスタッフがこの状況に気付き、ダンス観賞者はサークルスペースの前に立たないようにと徹底して呼びかけ、傷口を最小限に留めた事。
また、チルノダンス自体10分程度。その10分が終われば、即売会は元の雰囲気に戻る。短時間という事もあり、サークルにさほどのフラストレーションを与えずに済んだ事も、幸いであった。
少し肝を冷やしたが、サークルの頒布に余り影響が出ずに済み、胸を撫で下ろした次第である。


13時30分、TAMUSICコンサート第一部、開始。
即売会開催時間中に、演奏会なんてステージイベントは正直どうか、という心配は強かった

>「バイオリン&ピアノ生演奏でまったり」
>同人誌即売会中に似合う癒し系BGMを生演奏のみで優雅にお届け

と書いてあり、あくまでBGMを提供というスタンスで、頒布に影響を与えないように気を遣っている形跡は感じる
だが、仮にサークルと買い手との会話が成立しなくなるほどに音響が大きかったら、やはり頒布の邪魔になる。
もしそういう状況になれば、速攻音響担当の所に駆け込み、音響を弱めるよう迫るつもりであった。

ただ、それも杞憂であった。
スピーカーはサークルスペースに平行する向きで配置。サークルに大きな音となり届く事は無く、場の秩序は保たれた。
音響担当者の機転が光る一幕であった。

また、チルノダンスの時の失敗を生かし、ステージとサークルスペースの間に4〜5メートルの間を取りスタッフが常駐。ステージ近くのサークルも影響を受けずに済んだ。
チルノダンスの失敗を早くも次に生かそうとする、その機動力の高さは評価に値する。


さて、このTAMUSICコンサートは、ボーカルも交えての第二部が本番だ。
即売会は15時半終了。終了後にすぐコンサートを始める算段だが、流石にそれは無理筋なスケジューリングであった。

コンサート第二部参加者は、待機列600人越え・列の長さは200m越えの長蛇の列
彼らを会場外に並ばせて、タイミングを見計らい会場に入れる訳だが、それに当たっては先ず、帰宅するサークル・一般参加者の皆さんがある程度会場外に出てからでないと、混乱をもたらす。
だが、参加者全員が、直ぐに会場を出られる訳では無い。多少の時間を要す。
そしてそれは、コンサート待機組も同様。600人も列が出来れば、全員が入場するのに時間が掛かるのは当然だ。
(ついでに申し上げると、最終的にコンサート観賞者は1000人近くに達している)

やはり、即売会終了〜コンサート開始まで、最低30分のタイムラグは必要だ。
タイムラグ無しのコンサート移行は、無理筋であった。

ただ、コンサート自体は大いに盛り上がった。
東方同人音楽の大家としてネームバリューの高いTAMUSICのコンサートだし、当然と言えば当然だ。
ニコニコ動画で人気の曲も流されたし、「えーりん!えーりん!」のコールが響き、会場が一体となっての盛り上がりで、「大(9)州東方祭」という祭りの花火を締めくくった。


17時30分にコンサート終了後は、即撤収だ。
18時がタイムリミットであり、それを越すと追加料金が発生するとの事。
…誰だこんな余裕の無いスケジュール組んだ変態はwww

まあ、ぶっちゃけ主催が組んだ無茶なスケジュールで、追加料金主催が払うのも自己責任なのだが…それを黙って見ているのもアレなので、及ばずながらお手伝い。
痛車軍団も撤収。芸術的な流れで次々と会場外に消えていく。痛車の撤収がスムーズだったのは大きかった。
相当ギリギリだったが、辛うじて18時撤収は間に合う

まあ、今回は間に合ったから良いが、次回以降は、【もう少し余裕のあるスケジュール】を組まれる事をお勧めしたいものである。
実際、その余裕の無いスケジュール故に、コンサート参加者を寒空の中待たせる事にもなっているのだから。


この「大(9)州東方祭」は、参加者を楽しませようという思いから、数多くの企画を打ち出した。
それは奏功し、多くの参加者が楽しんくれた。
即売会としての満足度は、非常に高いものであった事は間違いない。
企画の多さが、サークル頒布の邪魔になるのでは?とも心配したが、ギリギリの所で踏み止まり、大きな影響を及ぼす事は無かった。

だが、あくまでそれは「ギリギリ」である。
スケジュールの無茶さもそうだが、余りにも「ギリギリ」の所で事が動き過ぎており、運営に余裕が無い。
企画を見ると「遊び心」満点なのに、運営に「遊び」が無いとはこれいかにw
今後も東方オンリーを継続したいのなら、もう少し「余裕」の部分を取って欲しい。それが主催氏自身の為にもなろう。


「大(9)州東方祭」は、東方ジャンルの歴史の1ページを、そして九州同人界の歴史の1ページを紡ぐ、素晴らしい盛り上がりを見せた即売会である。それは間違いない。

実は当日、東方シリーズの作者たる「上海アリス幻楽団」がサークル参加していた。(急遽ゆえパンフには掲載されず、館内アナウンスが流されたのみ)
新作も無いし、本人以外の方が代理で参加したに過ぎないが、コミケと「博麗神社例大祭」にしか参加しないこのサークルが参加する、というのは異例の事だ。
「大(9)州東方祭」の盛り上がりに「何か」を感じて参加したのだろう。
(ちなみに上海アリス幻楽団のブースでは、何故か「Happy Birthday」の作品も頒布されていた)

そのような素晴らしい盛り上がりを見せた即売会、良いところを褒めるがスタンスの「STRIKE HOLE」にしては、今回は、少々厳しい物言いである。
(青龍刀で厨主催を打ち首に処すスタンスではございませんw念のためw)
だが、これも次回以降の隆盛と発展に期待しての論評である事、ご理解頂ければ幸いである。

という訳で次回は、「大(9)州東方祭」今後の課題について語りたい。
特に、九州同人の発展という観点から考察を深め、前向きな提言を志して行く所存である。