1月9日に名古屋で「幻想花まつり」に参加した私は、名古屋発の夜行バスに乗り、仙台に向かった。
翌日1月10日は、東方オンリー「東方杜郷想」が開催される。前日の名古屋に続き、東方オンリー遠征2連戦であるw

この「東方杜郷想」は、2年前に初めて開催された、東北地区初の東方オンリーである。
当初は、東北でオールジャンル同人誌即売会を定期開催する「杜の奇跡」の主催氏が、東方オンリーにも進出すると言う構図であった。
「杜の奇跡」同様に、参加者、特に参加サークルを思いやる丁寧さで営まれる即売会であり、運営の安定感も高く、評判の即売会の一つである。
参加サークルも、100〜150と常時3桁の数字を安定して集めていた。
「杜の奇跡」「東方杜郷想」同一主催の営む2つのイベント同士が相乗効果を発揮し、両即売会共にサークル参加数を伸ばしていった。
しかしながら、諸般の事情により、「杜の奇跡」が主催氏が「東方杜郷想」の主催の任から降りる事となり、「東方杜郷想」の主催は、「東方祭実行委員会」に引き継がれる事となった。
「東方祭実行委員会」は、「大(9)州東方祭」「新潟東方祭」等他地域で東方オンリーを精力的に開催。結果と実績を挙げている東方オンリー主催者の一人である。私は、氏に引き継がれるなら「東方杜郷想」も安泰だと考えていた。

今回の「東方杜郷想」は、「東方祭実行委員会」に主催が引き継がれてから、初めての即売会である。
「東方杜郷想」という名前はそのままでも、主催が変われば、行うイベントも変わってくる。
どんな風に変貌を遂げるのか?という点が気になり足を運んだ。

参加してみて、一番強く感じた事は、いかに同じイベント名を冠していても、主催が変われば即売会の様相も思いっきり変わるものである、という事。
昨年までの杜郷想とは、全くの別物のイベントと言っても、差し支えは無いだろう。
主催が変わるだけで、即売会もこれほどまでに変わるものなのか。
即売会というもの、主催のパーソナリティに左右される、属人的なものたることを痛感した。

パンフレットを購入する。構成・編集等全てが、新潟東方祭や大(9)州東方祭のそれと近似している。まあ、編集者が一緒なら、そうなるのは当たり前の話だが…。
館内の構成を見ると、全体の過半が即売会スペースだが、残り半分はステージでライブやったり、東方カードゲームのスペースだったり。ええ、どう見ても大(9)州そのままです本当に(ry

お昼になるとチルノダンスのショーが始まるのも、大(9)州と同様だ。
但し、九州ほどに人が居なかったり(というか九州はダンサー多過ぎw)、事実上の司会をイオシスの龍波しゅういち氏が務めたって違いはあるが…

唯一、旧来の杜郷想らしさが残っていたのが「餅つき」企画。一昨年からの定番企画である。
但し、餅つきの後に本来ならお餅の「振る舞い」があるのだが…何故かそれが二時間近くのタイムラグを空けてから、というのは興醒めだった。
お餅はついたらすぐに振る舞った方が気分も出るだろうに。
様々な企画をねじ込んだ結果として、このスケジュールになったようだが、餅つき→餅のお振る舞いは連続させて欲しい。そうなるようスケジュールを調整すべきだったと思う。


良くも悪くも、大(9)州東方祭や新潟東方祭のやり方を、そのまま仙台にも持ち込んだイベント、という感じだ。
他地域で好評だったチルノダンスの「踊ってみた企画」や同人音楽サークルによる生ライブは、仙台でも好評だった。
今までの東北の即売会に慣れた方には面食らったかもしれないが、こういうやり方も、一つの運営だと思う。
新生「東北杜郷想」は、東北の皆さんに新たな「風」を吹き込むことが、充分にできたのではないかと思う。

…但し、大(9)州東方祭や新潟東方祭のやり方の「良い点」だけを持ち込むのなら良いのだが、「悪い点」まで持ち込むのは感心できない。
彼らの宜しくない点の一つは、「企画の詰め込み過ぎによる余裕の無い運営」。
様々な企画を詰め込み、参加者が楽しめるのは良いのだが、その分、運営にゆとりが無くなるのが不安な所。
今回の「杜郷想」でも、企画を多く入れた影響で、餅つきとお餅の振る舞いとの間が二、三時間空く等、スケジュールにチグハグさを感じた。

これは企画の詰め込みの結果でもあるが、即売会中に生ライブ始めるのも如何なものか。
即売会会期中のステージイベントは、一般参加者の目が、サークルからステージに向くから、サークルの頒布活動に良い影響を与えない。私は元々余り良い顔はしない。
それでも、チルノダンス程度なら10分程度で終わる。一時的に一般参加者の目はステージに向くが、それが終われば元に戻る。サークルの頒布活動に重大な支障とはならない。
また、大(9)州東方祭では即売会会期中に生ライブ始めた事もあったが、昨秋のように広い会場の隅っこで、音響も館内全体に響かぬよう気を遣ってなら、サークルの頒布に影響は無い。

だが、昨春の大(9)州や新潟東方祭がそうだったが、館内全体に大きな音が響くとなれば、サークルへの頒布にも影響が出る。一般参加者の目も、どうしてもステージに目が向く。
今回の「東方杜郷想」も、まさにそのパターンであった。

サークルと会話するのに支障を来すレベルには、辛うじて達しなかったものの、なかなかの大音量。ホールの外にも大きく音が響く。
サークルの中には不満に思う人も出てくるのではないか。
私も、主催氏本人に音量が大きい旨申し入れをした。
正直、私が青龍刀振りかざし暴れるレベルに、辛うじて達せずに済んだ…って所だろうか?

東方祭実行委員会が主催する東方オンリーは、音響が問題になるケースが、時折見られる。
今回は、致命的なレベルに達してはいないものの、過去に散見した悪い部分が、仙台にも持ち込まれてしまった印象がある。
もし次回以降があるのならば、音響の工夫や企画スケジュールの再検討をお願いしたいところである。

とは言え、全体通して見れば、サークルも130以上参加。参加者も1000人近く訪れ、相変わらずの活気に溢れた即売会であった事は間違いない。
チルノダンスや生ライブ等、他即売会の良いところを仙台にも持ち込み、仙台の東方好きの皆様に、新たな「楽しみ方」を提起する事もできた。
次回以降の開催は未定だが、これだけの熱気に満ちたイベントだ。
旧来の形態の「杜郷想」でも、今回の「杜郷想」の形態でも、どちらでも構わない。
何らかの形で、東北の地で東方好きの皆さんが集う場が続く事を願いたいものである。