エルシャダイオンリー「大丈夫だ、問題ない。」に参加した私は、その足で、つくばエクスプレスに飛び乗った。
目的は、茨城県つくば市で開催される「つくばSF・コミックフェスタ2011」(通称:「つっコミ!!」)である。
このイベントは、2月11〜13日の3日間開催。つくばエクスプレス・つくば駅近くの「つくばセンタービル」「つくば中央公園」「つくば国際会議場」等を会場に、 コスプレイベント・アニメソングライブ&声優トークショー・同人誌即売会・企業出展、4つイベントの複合型イベントとして開催された。

主催は、地元FMラジオ局の「ラヂオつくば」を運営する、つくばコミュニティ放送株式会社。
つくば市、つくば市商工会、つくば青年会議所等の地元団体が後援に名を連ね、地元関係者を中心に立ち上がったイベントである。
最近若干増えてきてるが、「萌え」による「町おこし」の流れに乗り、地域団体が中心となり興したイベントと見て良いだろう。
私自身は、この手のイベントの行く末に興味があったということもあるのだが、即売会の少ない茨城県、しかも「つくば市」ではおそらく初めての即売会。どんな物になるのだろう?という興味から参加を決めた。
しかしながら、ケットコムでこの即売会の存在が捕捉されたのは、1月1日。(冬コミでチラシ等が撒かれ情報として伝わったのだろうか?)
主催者挨拶を見ても、日付は12月1日。
イベントの立ち上がりを12月1日としても、開催まで2ヶ月ちょっとでは、準備期間が無さ過ぎる。正直、本当にサークルが集まり、同人誌即売会が開催されるのか?という不安はあった。

会場は「つくばセンタービル」の1階。レストラン街の空きテナントを特設会場にしての即売会で、サークル数は約15サークル程度。告知の不十分さを考えると、意外に集まったという印象だ。
筑波大学の学生団体・「萌え酒」を販売する茨城県結城市の酒屋といった地元色の強いところがサークル参加していたような。創作系のサークルも多かった。

残念なことに、生憎の大雪ということもあり、イベントへの人出は鈍く、明らかに閑散としていた。
野外広場には「タコヤキ」「焼きそば」といった定番ものから、「エジプト料理」「アルゼンチン料理」等普段お目にかかれない料理まで幅広いレパートリーの「屋台村」が形成されるも、この雪の影響もあってか買いに行く客は殆ど居ない。
ご当地ヒーロー「イバライガー」のテーマソングが、空しく響いていた。

その一方、館内レストラン街では、イバライガーや初音ミクとの記念撮影会が開催され、子供たち中心に楽しそうにツーショット写真が撮られ続けていた。
また、館内はコスプレフリーらしく、数は少ないもののコスプレイヤーが闊歩していた。ただ、何故か知らぬが、お見掛けするキャラが、パチェリー・レミリア・風見幽香など東方系に偏っていたような気がするw

また、館内では物産展も併設。納豆カレー等、水戸コミケでもお見かけした業者さんが多数出展
品揃えも含め、水戸コミケと同様の雰囲気を感じた。

夜には「つくば国際会議場」で声優による「ライブ&トークショー」が開催された。私は参加できなかったが、串田アキラ氏ら有名所の招聘にも成功、大いに盛り上がった模様だ。
全体的に見て、立ち上げから僅か2ヶ月、この手のイベントに長けた方が少ないにも関わらず、イベントとしての体を成すだけのものを作り上げる事ができた事に関しては、主催者及び関係者のパワーやバイタリティーあってのこと。敬意を表したいものである。

しかしながら、「同人誌即売会」の開催という点に関しては、残念ながら非常に厳しく批評せざるを得ない。

一般参加の入場料は無料だが、その代わりサークルリストもカタログも無い状態。どんなサークルが来ているのか、全く分からない状態で、一般参加者としても不便だ。
また、サークルにしても、自身のサークルを参加者にアピールできない。参加サークルにとっても、不便な話である。
参加サークルが自身をアピール出来ない即売会であり、普段なら「参加者目線に立っていない即売会だ!」と青龍刀振り回す所なのだが…この即売会に関しては、寧ろ「参加者目線に立っていない」というより「即売会のセオリーが分かってない」と考えた方がより適切に思える。
どう見ても、主催者の中に「同人誌即売会」を理解されている方がいらっしゃる形跡を感じない。

それでも、即売会経験が無いなら無いで仕方ない。経験を積もうと努力する事で道は開けることもある。
「東方椰麟祭」の主催氏は持ち前のバイタリティで経験を積み、主催素人ながらあれだけの即売会を開催し得た。山梨の「凱風快晴」は、東方オンリー中心だがスタッフ参加・一般参加による視察等を多くこなし、即売会について勉強を重ね、最終的に成功を収めた。
また、これはどちらの即売会にも言えるが、経験豊富な「ブレーン」的存在が相談相手についてくれた事も大きかった。

だが、「つっコミ!」にそういう人材が存在したか、即売会を視察したか、となると正直疑問符である。恐らく、それは該当しないと思われる。
もし即売会を勉強した方なりブレーンなりが居るのならば、パンフレットなりサークルリストなりの存在しない即売会の形態はおかしい。そう必死になって止めるはずだからだ。
サークルが自身をアピールする為にあった然るべきな「カタログ」。これが存在しないという同人誌即売会のセオリーを外す形態となったのは、やはり主催者の即売会に対する不勉強、ならびにブレーンの不在を意味すると思う。
これが、「つっコミ!」の第一の反省点である。

「つっコミ!」の第二の反省点は、「告知不足」である。
これは開催2ヶ月前・12月の立ち上げという事が大きく作用しているが、たった2ヶ月の準備期間では、正直無理がある。
いや、ケットコムのエルシャダイオンリーのような成功例も世の中にはあるが、あれはイベント巧者のケットコムだから成功し得た例外中の例外、普通の主催が参考にしてはいけない。
通常であれば、半年とか1年前とかにイベントを立ち上げて、それから目ぼしいイベントやショップでチラシを撒く。これが王道だろう。
どんなサークルを集めるかによってターゲットは異なるが…私が主催なら、以下のイベントにチラシを撒くだろう。

女性向けメインなら → 都内のコミックシティ 余力あらば有力オンリーにも
男性向けメインなら → コミティア・サンクリ・コミ1 余力あらば有力オンリーにも
東方オンリーなら → 例大祭・紅楼夢 及び都内開催の東方オンリー全般 余力あらば大9州・椰麟祭など他地域にも手を出す
どんなターゲットでも共通 → 近隣地域のオールジャンル(土浦「亀城祭(仮)」は必須、他石岡とか県内イベント全般、更に隣県栃木のコミックライブ宇都宮あたりにまで手を出す)、コミケ


これらの有力イベントにチラシを撒き、出来る限り多くのサークルさんにその存在を知って貰う事が、サークル参加に繋がるはずなのだが、それが全く出来ていなかった事が、サークル数の低迷に繋がっている。


上記の反省点を踏まえ、もし「つっコミ!」に次回があり、そして同人誌即売会を開催されるのであれば、次回は以下の施策を取る事をお勧めしたい。

・即売会にサークル参加、一般参加、スタッフ参加、一通り経験を積み「即売会」について学ぶべき
・何処かのイベントにスタッフ参加して、スタッフ経験者の人脈を築く

(サークル参加なら、イベント主催としてサークル参加するのが現実的か。スタッフ参加なら、スタッフを公募している所に立候補志願すれば幾らでも経験は積める)
・できれば半年以上は告知期間を取り、主要な即売会でチラシを撒き、その存在の浸透に努める
・県内幾つかのショップにチラシを置かせてもらう。水戸・土浦等幾つか有力店舗あり(詳細は拙著「告知論」参照、メッセージ等いただければ主催さんには差し上げますよ)


これらの施策を取るだけでも、結果は随分違ったものになってくるだろう。
殆ど告知していない今回ですら、15サークルは集めているのだ。きっちり告知すれば、少なく見積もっても40サークルは集まるだろう。
次があるのなら、上記反省点を踏まえ、再起を期していただければ幸いである。