久々に、池袋開催のオールジャンル同人誌即売会「サンシャインクリエイション」(サンクリ)に顔を出した。

以前ほど目には付かなくはなったものの、オールジャンル同人誌即売会は低落傾向にある。それは、東京/地方といった地域的な括りを超えて、地域問わず何処でも見られる傾向に思える。
「サンシャインクリエイション」においてもそれは例外ではない。

全盛期は2000サークル以上を集め、落選も多数出す即売会だった。サンシャインシティを4ホール手配しないと、追っ付かない状況だった。
しかしながら、2009年の不祥事、それに伴う2回の中止。
個人的にはそれよりも重たく捉えているが、その翌年の2010年には、2ホールしか手配せず、1300サークル中300サークルをも落選させた事もあった。
こういう粗相もあってか、参加者の足も離れてしまった。

これまではサンクリに遠慮し、サンクリと同日バッティングを避けていたオンリーイベントも、サンクリの求心力の弱まりを見て、同日のバッティング開催を厭わなくなった。
これで、オンリーイベントとサークルの食い合いとなり、サンクリは、更にサークル数を落とす事となった。

今では、2ホール・1000サークル規模での開催。
1000の大台を維持し続けているのは大したものだとは思うが、往時を知る身からすると、物足りないのも否めない。
過去不祥事を起こしたのは事実だが、あれから5年も経っている。
もうそろそろ、長期の低落傾向からおさらばし、復調に向かっていただきたい。そう考えていたところだ。

今回のサンクリは、久々の3ホール開催だ。サークル数は1384サークルと、前回6月の1000から激増している。
年4回のサンクリにおいては、秋開催のものが最もサークル数が集まる、という事情もあるだろう。
@++さんも自身の記事(10/6のイベント http://blog.livedoor.jp/increment/archives/52097932.html)の中でこの点について触れ、昨年秋開催(1617サークル)との比較で見ると、今回ですら、サークル数が目減りしている事を指摘している。
1000から1300に増えたとは言え、手放しでは喜べないだろう。

しかしながら、今現在においては、「艦隊これくしょん(艦これ)」が、一大ムーブメントを巻き起こしている。
艦これ本を出す参加サークルも非常に多かったし、それに伴い一般参加者も多数来場した。
人の多さや混雑ぶりは、往時のサンクリを彷彿させた。特に艦これサークルが多く配置されたAホールに、その傾向が強かった。
往時の阿鼻叫喚を知る方々が、口を揃えて「昔のサンクリが戻ってきた!」とおっしゃっていたのが、私としては、非常に印象的であった。
私も、会場内のこの暑さ(熱さ)、息苦しさ、そして混雑ぶりを体感し、「これこそがサンクリの本来の姿なんだよなぁ」と思ったものである。

自分としては、今回のサンクリの盛況が弾みとなり、次回以降のサークル数の回復方向に繋がる事を、願っている。
今回の盛況は、サークルとしても、オールジャンル同人誌即売会の「良さ」を見直す好機でもある。
サンクリ側も、今回の盛況を好機と捉え、サークル集めに努めていただきたいものである。


私は、今回の盛況を、サンクリの良さを見直す機会として捉えているが、これについて二点ほど、掘り下げて申し上げたい。
一つには、サークル的に、サンクリが「売れるイベント」「手応えのあるイベント」として見直される可能性がある事だ。
我々サークルも、現金な連中だ。極端な事申せば、多少運営に瑕疵があろうとも、手応えのあるイベントなら、参加意欲が高まる。
今回のサンクリは、来場者多数。サークルとしてもその分手応えもあった筈だ。
手応えがあれば、次回以降も参加しようと意欲を燃やす。自然と、サークルのリピーター化にも繋がるだろう。
今回のサンクリの人出…というか「勢い」は、サークルに次回以降の参加を検討させるに値するものであったと私は見ている。
サンクリ側も、このチャンスを活かしていただきたい。

もう一つは、「オールジャンル同人誌即売会の良さ」が見直される可能性がある、という事だ。
最近の東方オンリーにおいて、参加サークルの新刊が「艦これ本」だったという事例があり、その是非が物議を醸した。
ここではその是非については触れないが、少なくとも、オンリーで余所のジャンルの新刊を出すと、バッシングされる危険が高まる…というのは紛れもない事実であろう。
東方オンリーで艦これ本を出したら、東方警察()が取締りにやってくるかもしれないw
だが、オールジャンルの同人誌即売会は、何を出そうと自由だ。たとえ申し込んだジャンルと別ジャンルの本を出しても、叩かれずに済む。東方警察()もやって来ないだろうw

一部地域では、オールジャンル同人誌即売会の事を、「フリージャンル」と称しているが、「フリージャンル」とはよく言ったものである。
何の本を出そうとも「フリー」。サークルの自由裁量だ。
ジャンルをイナゴしてもOKだし、複数ジャンルにまたがって作品を出しても構わない。
そしてこれこそが、オールジャンル同人誌即売会における最大の長所と言えよう。
サークルも、「何出してもOK」という自由さを持つ、オールジャンル同人誌即売会の良さに着目いただければ嬉しい限りだ。


東方の時も、それ以前のギャルゲ全盛期の時もそうだが、爆発的な人気ジャンルの存在は、同人活動に挑む方を増やす。同人界の裾野も広げる。
コミケなどでは、キャプ翼星矢から東方に至るまで、人気爆発ジャンルが存在する時、申込サークル数が増える傾向にある。
今回の「艦これ」がそこまでのムーブメントになりうるかどうかはまだ断定できないものの、可能性は充分だ。
先ずサンクリとしては、今の「艦これ」のムーブメントを突破口としてサークル集めに専心し、サンクリ復活への足がかりを掴むことが大切ではないか、とも考えている。
(勿論、他のあらゆるオールジャンル即売会にも、艦これの力を活かして欲しいとも思う)