「東方椰麟祭」にサークル参加させていただいた自分だが、サークルとしては、13時30分と、少し早目に撤収させていただいた。
理由は、同日、江田島市で開催されている艦隊これくしょんオンリーイベント「砲雷撃戦!よーい!」にある。

そもそも、人口3万足らずの瀬戸内海の島・江田島で同人誌即売会が開催されるなんぞ、前代未聞だ。
艦これが登場し、江田島も艦これの「聖地」として見做されるようになったからこそ、ここで同人誌即売会が開催される。
この町で同人誌即売会が開催されるなんてのは、今後はほぼ有り得ないだろう。
「東方椰麟祭」にサークル参加している身ではあるが、この機を逃したくはない。そんな思いもあった。

あと、こんな事もあった。
3月下旬に、艦これオンリー「蒲田鎮守府」で、「砲雷撃戦」主催氏とお会いした。
これから福岡の艦これオンリーに向かうとか、そんな話を伺った。
その時に、椰麟祭と同じ日に江田島は選択に悩みますよー勘弁してくださいよーみたいな話を振ってみた。

「えーハシゴすりゃいいじゃないですか!ハッハッハッ!」

てめぇ気楽に抜かしやがって…俺はその為に、その日のスケジュールに悩んで、椰麟祭のサークル参加も迷ってたんだが…

一応私も、ハシゴしやすいようにイベントの終了時間も伸ばして貰いたい、的な要望もさせていただいたが、それは撤収やその後スタッフが帰京する事も考えると難しそうとの事だった。
帰京スケジュールの話をされると、私も何も言えない。
(もっとも、結果的に頒布時間が伸びて、ハシゴしやすくはなったのだが…詳細は後述する)

とりあえず主催氏が「ハシゴしろ」と言い出すもんだから、自分も「やってやろうじゃねーかこの野郎」という気になり、椰麟祭に即サークル参加を申込。
江田島行きの高速船の時間も確認し、広島・宇品港発13時10分頃発の高速船に乗れば間に合うと判明。
それが駄目でも、到着時間ギリギリだが、14時20分頃発の高速船に乗れば間に合うと判断した。
椰麟祭会場〜宇品間と、江田島・小用港〜砲雷撃戦会場間は、タクシーを利用して時間を節約する。
これで何とかハシゴできるかな?そういう算段を立てた。

とは言え、椰麟祭で当サークルにお立ち寄りの方もそこそこいらっしゃって、撤収のタイミングを掴めず。
13時10分宇品発の高速船は諦めることに。
何とか13時30分に撤収を終え、椰麟祭を離脱。
タクシーを拾おうと試みるも、全然捕まらず、仕方なく市電で宇品へ。まあ、タクシー使うのに比べれば、交通費節約できるからいいか…

宇品の高速船切符売場に貼ってあった、重巡・利根のドヤ顔が彩る「砲雷撃戦!」告知ポスター(こんな所に貼ってあるとは…少し驚き)を横目に、江田島・小用港行きの切符を買う。
宇品14時20分頃発の高速艇は、小用14時45分着予定。


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果たして会場に間に合うのか?
そして、100人以上×5回の入れ替え制を敷いたと聞く会場に、無事に入れるのか?
不安と期待を交えながら、江田島に向かう。


【集合場所は、江田島の玄関口「小用港」】

江田島自体は、橋で本土と陸続きではあるものの、陸路でのアクセスは、呉や広島といった都市部からだと、音戸の瀬戸経由で結構遠回り。
そこで、広島(宇品港)や呉からの船…すなわち海路が最短ルートであり、重宝される。
そして、広島や呉からの船は、小用港を発着地としている。
小用港は、江田島の「玄関口」とも言えるスポットであり、今回のイベントにおいては、ここが参加者にとって非常に重要なスポットとなる。
(ちなみに小用は、戦艦榛名・終焉の地という「聖地」でもある)

会場近辺は、田舎町とは言え町中の住宅地で、空き地も無い。多くの参加者を集め待機させられるスペースがない。
そこで今回は、江田島の玄関口としての機能を持つ小用港をイベントの「集合場所」と定め、そこに来場者を待機させる戦略を取った。
小用港は、広い駐車場が完備され、待機列を置きやすい環境。江田島の玄関口の機能として、皆が集まりやすいスポットという事もあり、ここを集合場所と定めたのだろう。

「参加者は、小用港に集合してほしい。会場に直接に足を運ばないで欲しい」
主催側は、そう呼びかけた。

イベントパンフレットも、小用港で販売。同時に、島内スタンプラリー企画の台紙や、入場整理券も配った。
今回は、狭い会場で対応する為、数回の入れ替え制を取った。この入場整理券を基に入場時間を定め、入場時間直前に、会場近くの武道館に集合。そこから会場に向かうという方式だ。

入場時間までは、小用港で地元業者がこのイベント合わせに「朝市」を開いてくれる。今回のイベント用に登場した「提督弁当」などの、地元名産品に舌鼓を打っても良いだろう。
島内スタンプラリーの企画も、入場時間までの時間潰しとしての狙いもあるだろう。
これらの企画は、参加者の時間潰し対策でもあるが、イベント目当てに来島した参加者を、島内の名所に目を向けさせるから、観光振興としての「まちおこし」効果も、生まれたと思う。


【第二の拠点・武道館】

広島・宇品港発の高速船は、14時45分に、小用に到着。既に朝市は撤収したが、「砲雷撃戦!」スタッフが駐屯するテントは残っている。
戦艦榛名の聖地らしく榛名コスのスタッフさんから、パンフレットを購入。スタンプラリーの台紙はいただけたが、入場整理券は全部捌けたらしく貰えず。
…果たして会場に入れるのだろうか俺。

とりあえず、会場近くまで足を運んで様子を見る。
目指すは、会場近くの集合場所となる「武道館」である。
会場入りの時間になったら、この武道館に集まり、そこから団体で会場に向かうという方式だ。

武道館へは、小用から徒歩で約25分と距離があるので、できれば車で移動したい。
ちょうど小用港から路線バスが出るのでそれに飛び乗り、一路武道館へ。
…というか、会場から徒歩25分もかかる場所が集合場所とは…こんな即売会、さすがに初めてだw
なんか俺、ものすごいエクストリームスポーツをしに来てるんじゃないだろうかw

小用から武道館へ向かうバスの車窓からは、道を歩く提督たちの姿が見える。
小用港へ帰途に着く人もいれば、私のようにこれから向かう人も。
術科学校前バス停で下車し、武道館に向かう。つくりは体育館なので、靴を脱いで中に入る。
指定時間になったらここに集い、会場に歩いて向かうが、今し方15時入場組が出て行ったとの事。今は買い物を済ませた提督たちが、戦利品を仕分ける休憩場所と化していた。

武道館常駐スタッフに、入場整理券は貰えなかったものの今到着した旨を話し、今から入れるのか聞いてみる。
本来15時閉会だが、「15時入場」という集団が存在すると言うことは…閉会時間が伸びてるという事。
その当たりも尋ねたが、会場と離れたスポットなせいか、会場側の意向が上手く伝わっていないようで、「たぶん大丈夫じゃないか」という曖昧なお答え(汗)
…自分も、たぶん入れてくれるだろうとは思ってるが、万が一入れなくても構わない。ここまで来たんだし…と駄目元で会場に向かう。

だが、そこに至る道は、明らかに【裏路地】である。人や二輪がすれ違う事はできても、車の進入は不可能な幅。
会場と武道館とを結ぶスタッフの「伝令」も、自転車(原付もだが)を使っていた。

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昔ながらの住宅街で、路地も三差路五差路と入り組んでいる。
会場から更衣室のある武道館まで戻るコスプレイヤーの歩く方向や、交差点の地面に養生テープで貼り付けた方角案内で、どちらに向かうべきか、かろうじて判るレベルだ。
…誰だこんなとこで数百人規模の即売会を開く馬鹿野郎はw
私にエクストリームスポーツを強いる主催への憎悪をたぎらせつつ歩くこと10分。ようやく会場の「海友舎」に到着する。

【会場「海友舎」は昔ながらの建物】

「海友舎」は、旧日本海軍・下士兵向けの交流所・集会所的施設だ。
2階建ての木造建築で、今では老朽化して使われなくなった建物だが、有志(ぐるぐる海友舎プロジェクト)が保存活動を行い、こうして現存し、日の目を見ている。
…と言えば聞こえはいいが、ここちょっと大きめの「お屋敷」レベルの広さじゃねえかよ!どうしてここで即売会ができるんだw

腹は減ってはいなかったが、せっかく来たんだから、と先ずは地元の味覚を味わいたい。
海友舎の庭では、スタッフが、かき氷やカレーを振る舞う。本当なら名物「提督弁当」なども置いてあったらしいが、流石に売り切れ。
私は、最後の1食となった「潜水艦カレー」を賞味。
また、地場の業者さんの振る舞う、江田島名物「大豆うどん」も平らげた。

入場整理券を持ってないので、通りすがりのスタッフに、中に入って良いか聞く。まあいいんじゃないか的な回答。とりあえずお許しをいただけた…のかなあ(汗)
ここまで来たんだし…と言うことで、とりあえず中に入る。

中に入ると、少し古い学校の実験室にありそうな木製の机があり、それをサークル机に充てて頒布。
サークルによっては、【タンス】が配置机代わりに割り当てられたケースもw
人の熱気がすごく、古い建物で冷房もない。扇風機をフル稼働させてはいるが、皆汗だくだ。
サークルを一巡し、適当に買い物したところで、15時30分を超え、主催から閉会の挨拶。

「15:00からの入場組がいたので、何となーく頒布時間延長しましたが…これで終了となりまーす」

こうして、前代未聞の同人誌即売会「砲雷撃戦!よーい!」は無事幕を閉じた。
江田島での開催が前代未聞なら、個人の邸宅の延長な「海友舎」での開催も、そしてそこに数百人来場するのも前代未聞だw
会場から離れた武道館も活用し、更に離れた小用港までも活用。住宅街の裏路地をも導線に活用し、大きな混乱無く数百人の来場者を受け入れた…ベテランイベント主催・SDFならではの、素晴らしく高い技量である。
帰りの小用港で、バスの運転手と話したが、バスの運転手もその統率を絶賛していた。

…だが待って欲しい。本当にそれで片付けて良いのだろうか。
運転手は、こうもおっしゃっていた。

「海友舎なんて狭いでしょ?なんであんなとこで」

確かに、江田島なら他にも施設は多数ある。公民館やコミュニティーセンター等も多数ある。皆、海友舎より広い施設だ。
中には、金銭のやり取り不可という即売会には不向きな施設もあろうが、探せば、絶対に「海友舎」より広い施設は出てくる。
武道館にシート敷いて、そこで開催するという手もあろう。

江田島に人が来るのは分かりきっている。
たぶん、他の主催だったら、海友舎よりもずっと広い施設を探しただろう。
運転手にも語ったが、やはりこれは、「主催のこだわり」故だと思う。
主催が、海軍縁の施設での開催を志向。その結果として、あんな狭い会場で、という話になるわけだw
そういう会場での開催を面白がるから、参加者がより集まる、という側面もある。

つまり我々参加者は、SDF主催氏の、「(本来即売会では開催が困難な筈の)会場へのこだわり」という「酔狂」…それに、喜んでお付き合いしている、という訳であるw

SDFは、各地での「砲雷撃戦!よーい!」開催を通じ、「聖地」での開催ノウハウを培っている。
地元商工会に協力を仰ぎ名産品の屋台を出店してもらったり、前日からの史跡探索ツアーを充実させたり…と「遠征参加者目線」で遠征者が楽しめる施策を増やしている。
これは、主催の活動地盤が都内で、開催地を地盤としていない、という本来不利な筈の要素が奏功していそうだ。

…加えて、SDFは、およそ即売会開催には適さない変な会場での開催ノウハウも、着実に身に付けつつあるのではなかろうかw
6/8開催の「砲雷撃戦!よーい!例のプール海域SP」(これは「例のプール」と呼ばれる都内のプール付マンションでの開催)といい、今回といい。

来年には、「宿毛湾泊地」という「聖地」を擁する、高知県宿毛市での開催も構想中らしい。(アフターイベントで漏らしていた)
今後も、SDFに振りまわされながらも、彼らの挙動からは目が離せないだろうw