2014年に放映されたアニメ「結城友奈は勇者である」(以下「ゆゆゆ」と記す)は、香川県観音寺市を舞台としている。アニメ自体は、1クール12話で終わったもの、その後も関連作品が連載されるなど、細々ながらメディア展開は続く。
大ヒットというわけではないが人気は根強く、舞台・観音寺市には聖地巡礼に訪れるファンも徐々に増え始める。

2016年2月には、同人誌即売会主催団体「SDF」により、聖地・観音寺での初開催となる「ゆゆゆ」シリーズのオンリー「勇者部満開」が開催。
市中心部商店の協力も得つつスタンプラリーも併催され、これは、その後の市ぐるみによるアニメ町おこし展開の下地を築いたものと意義付けられよう。
時を同じくして、アニメ町おこしを目的とした「地方創生加速化交付金」を、観音寺市は国から受けることが決定。これを受け、市もこの交付金を財源としてのアニメ町おこし補正予算を計上した。

1年間の準備期間を経ての2017年。観音寺市は、町おこし施策として、地域事業者と提携しての「ゆゆゆ」コラボグッズを展開。町中でのスタンプラリーも開催した。
また、舞台となる観音寺中学校を会場に、声優を招聘してのステージイベント「讃州中学文化祭」を開催。観音寺への誘客を試みた。
なお、この「讃州中学文化祭」に呼応するかのごとく、同イベントの前日にちゃっかり開催したのが、聖地2回目開催となる「勇者部満開」であった。

私も、観音寺市の町おこしの実態をこの目で見聞きしつつ調査しようと思い立ち、「勇者部満開」「讃州中学文化祭」合わせでの観音寺入りを決意。
当初は一般参加を予定していたが、どうせならある程度事前に観音寺の町おこしのことでも調べて薄い本出した方が面白いかな?という軽い気持ちでサークル参加に切り替えた。
これが、ゆゆゆ沼への壮絶なる転落への幕開けとも知らずに…
サークル参加を申し込んでから、じゃあ取りあえず作品の中身でも勉強するかなとアニメを観始める。
…この作品、案外面白くね?謎が多くて世界観も気になるよな。
ほうほう、外伝作品も小説であるのか…うむ続きが気になる。アニメDVD特典のゲームも面白いね。
とこんな感じで関連作品も含めて一通り消化。ハマり過ぎて、サークルとして出すべき同人誌の原稿が手に付かず、一歩間違ったら落とす所であったw(最終的にはそれなりの研究成果に仕上げましたが…)

というわけで、サークル参加してから作品にハマる、という明らかにおかしな展開ながらも、当方、作品に触れて僅か半月で「ゆゆゆ沼」に転落。
「友奈ちゃんのオフトゥンになりたい」「大天使乃木園子様万歳!」と呟くだけの廃人が無事誕生したのであったw


とりあえず2月のオンリーは無事に終わったが、これは当ブログ・2017年02月11日付記事『2/4 香川県観音寺市開催・結城友奈は勇者であるシリーズオンリー「勇者部満開」』をご参照いただきたい。
次回構想については、打ち上げの席で夏の開催を検討しているとの話を、主催氏より伺った。元々年1回ペース(毎年2月)で考えてはいたものの、劇場版の春〜夏にかけての公開や、秋に放映を控えるアニメ第二期など、展開が活発になったことを受けて開催ペースを早めようと判断したようだ。
確かに、夏からはスマホゲームがサービス開始。関連作品も漫画連載の再開や小説新連載もスタートさせるなど、秋のアニメ第二期に照準を合わせるかの如く展開を広げている。マルチメディア展開を通じ盛り上げ、人気を高めようとする公式側の思惑と動きが、極めて活発に映る。
というわけで、劇場版公開直後に当たる7月16日の、「勇者部満開」観音寺開催が決定した。

この開催日は、観音寺市最大規模の夏祭り「銭形まつり」の開催に合わせたもの。同人誌即売会は無論、町を歩き夏祭りも楽しんで貰おうという意図が透けて見える。
夏コミ原稿締切も迫るタイミングだが、もはや「ゆゆゆ」廃人になってしまった私が、このイベントに足を運ばないという選択は存在し得ない。
一応早朝に、岡山県倉敷市下津井やら瀬戸大橋やら香川県坂出市やら、聖地巡礼スポットや観光地を巡回。お昼頃には観音寺入りを果たした。

とは言え、2月にはサークルとして参加したものの、今回は一般参加に切り替え。
その理由は、会場が「かまぼこ音楽堂」と聞いたがゆえ。
2月もこの会場だったが、明らかに倉庫を改装した感じのイベントホールで、冷暖房絶対に効かない雰囲気。この会場で7月…すげえやな予感しかしねえ…
冷房の効いてるはずの、新築の観音寺市市民会館でも使えないの?とは思ったが、市民会館が「銭形まつり」のメイン会場に供用されているので、それは流石に難しいかと諦める。

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果たして7月の観音寺は暑さ厳しく、最高気温35度を超える猛暑日。
予想通り、というか最悪の展開であった。
会場の「かまぼこ音楽堂」は会場内蒸し風呂。自分も会場内に入るが、すぐに汗が垂れてきて5分の滞在が限界。自分含め、会場内に入らず野外で涼む(但しその野外の気温は35度超だが)参加者も少なくなかった。

とりあえず自分としては、こんな酷暑の中開催を決める主催氏は、宇多津町のゴールドタワーに磔に処すか、財田川で綿流しに処すべきだと心の底より感じた次第であるw

そんな中、サークルとして参加した猛者は30サークル。
自分のように暑さを予見し逃げ出した者もいる中、前回と変わらぬサークル数を維持できたことは、このジャンル内に訓練された高い「ロイヤリティ(忠誠心)」が存在することを示していそうだ。
都内でオンリーを開いても、参加10サークル前後で推移しているにもかかわらず、聖地開催では30サークル集うという点も興味深い事象である。
このジャンルは、参加者数は少ないながらも熱気は相当だ。
アフターイベントも、あの蒸し風呂会場が立錐の余地ないほどに参加者で充満。…助けて。

外で涼んでいると、主催氏がやってくる。

「いやービールが美味いですね!」

そりゃ当たり前だこの野郎。こんな気候で開催すりゃビールも美味くて当たり前だっつーのwww

まあ、そういう地獄を絵に描いたような、参加者が試されている即売会であったが、救いとなるのは物販の数々。
会場外には露店が設置され、冷たい飲み物が多数用意。また、会場内ではサークルが「結城友奈は勇者である−鷲尾須美の章−」(いわゆる「鷲尾須美は勇者である」=「わすゆ」)のメインキャラ3人をあしらったジェラートを頒布していた。…これが無かったら本気で死んでましたよw

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先に、訓練された連中がこのジャンルには多い旨を申し上げたが、参加者サイドからの自主的な持ち込み企画も、今回は目立ったように思う。
春の劇場版アニメに登場した「国防体操」なる踊りを、開場前に皆で踊るという企画が登場。ファンにとっての「聖地」として知られる市内のホテル「ワカマツヤ」では、前夜に国防体操の練習が実施されたらしいw
そして当日、開場前には「右へ右へぐーるぐる」と叫ぶ参加者の集団が…何も知らない連中が端から見たら、これどこの危ない集団かと思われることは間違いないw

もう少しマトモな企画としては、ファン有志による「かんおんじぐるめらりぃ」という企画が挙げられる。
「ゆゆゆ」に理解のあるお店を中心に18店舗(観音寺市17店舗・坂出市1店舗)が協力。メニュー購入のたびにスタンプを集め、スタンプ数により記念品がもらえるという展開だ。
市最大の祭事「銭形まつり」開催中ということで市内繁華街は人出も多く、各店舗も書き入れ時とばかりにお店を空けている。そこも、グルメラリー開催に当たっては好材料だったと思う。
ただ、多くのお店が賑わっていた反面、お気に入りのお店であっても相当忙しく、店主と語り合う余裕が無かったのは物足りなさも。


総じて見て、今回は「銭形まつり」に合わせる形で、ゆゆゆオンリー「勇者部満開」も開催された訳だが、「銭形まつり」を楽しめた半面、暑さが半端じゃなく居住性は極めて良くなかったと言えるだろう。
あの会場でやるんなら、もう少し涼しい時にお願いしたいものである(汗)

また、「銭形まつり」自体は見どころ充分だったものの、町中が賑わい過ぎていた。
お店に入ってもゆっくり寛げる雰囲気はなかった。お知り合いのお店の方も、忙しかったり、或いは「銭形まつり」スタッフに徴用されていたり…等でゆっくりお話できなかった点は消化不良を感じた。
ここら辺は、「銭形まつり」と同時開催であるがゆえの副作用か。多分次回「勇者部満開」はもう少し涼しい時期、「銭形」よりは町中の人出も少ないはずだから、そこら辺の消化不良も自然に改善されることだろう。