１年半ぶりに、北九州市小倉開催の「大九州合同祭」に足を運んだ。
「大九州合同祭」は、2009年から開催されている東方オンリー「大(9)州東方祭」が母体。
一定のボリュームを集める東方オンリーを軸に、他ジャンルのオンリーイベントやオールジャンルを加え、誰でもサークル参加できるよう門戸を広げた形で現在の多ジャンル合同開催形式に、形態を変更している。

最近では、九州各地での巡回開催にも力を入れ、大分・鹿児島・熊本・長崎では１００ｓｐ以上のサークルを集める成果を見せている。
その一方、「大九州合同祭」の旗艦（フラッグシップ）イベントとなる小倉の開催は地盤沈下が目立ち、サークル数は減少傾向だ。
巡回開催で開拓した、九州他地域の参加者を上手く小倉に誘導し切れていないことや、小倉の旗艦イベントとしてのブランド価値を育てきれていないことが、この即売会が向き合うべき「課題」になるだろう。

参考：2016年12月21日付『「大九州合同祭（大(9)州東方祭）」に求められる新たな「ブランド戦略」』

（とは言え、今回もカタログ掲載分は３６０ｓｐ規模だが、その後の直前受付で７０ｓｐ増え、４３０ｓｐ規模にまで達している。減ってはいるが、九州においては、コミックシティに次ぐ規模の有力即売会という評価に変わりはない）
これまではサークルとしての参加がメインであったが、今回は同日広島県江田島開催の艦これオンリー「砲雷撃戦！よーい！」にも足を運びたかったということもあり、一般参加の道を選んだ。
今年から「大九州合同祭」は、委託サークルの受付をスタートさせており、頒布は委託でお任せするという選択が生まれたことも、この決断を後押ししたと思う。
というわけで今回は、一般参加者の目線を込めた形で、レポートさせていただきたい。

朝、会場の西日本総合展示場に到着。
以前会場だった「新館」に長蛇の列ができていたのでこれかな、と近寄ってみると、別のイベントとの由。
これは、アニメやサブカルチャーを通じた地域振興を狙う北九州市の肝入りで開催される「北九州ポップカルチャーフェスティバル」（略称「ＫＰＦ」）の列のようだ。西日本総合展示場新館と、駅前の「あるあるＣＩＴＹ」を会場としている。
「大九州合同祭」は今回、小倉駅側から見て新館よりもさらに奥に位置する「本館」での開催だ。

個人的には、せっかく同じ日・隣接会場での開催なのだから、両者間の相互訪問を促す連動企画があっても良かったようにも思えるが、それは別の話なので置いておく。
とりあえず、今回の「大九州合同祭」は本館での開催ということで、足を進める。

会場前には大勢の参加者がたむろっているが、列形成は敢えて実施していない。
カタログを購入すると「整理券」が手渡され、その整理券の番号を基に開場直前に列を形成させるという方式だ。
この方法なら、列形成まで喫茶店で寛ぐなり自由に過ごすことができるので、その分一般参加者にもメリットとなる。
開場直前にスタッフが「この番号の人はここに並んでくれ」とアナウンスするが、この番号が600番台に達している。初動だけでも600人以上いることが伺える。
規模減少傾向とは言え、相変わらずその動員力は健在だ。

過去参加した時には、会場前に多数の飲食屋台が林立していたが、今回は新館開催の「ＫＰＦ」側で多数の屋台を出店させている。その兼ね合いで調整したのだろうが、本管「大九州」側に立つ屋台は1店のみ。
まあ、近い位置に屋台村が林立しているので、参加者の利便性は余り変わらないだろうか。

また、会場前には多数のノボリが立っており、お祭り「らしさ」が演出されている。
よく見るとそのノボリは、「合同祭」内の各プチオンリーのロゴとイラストとを散りばめている。今日はこのイベントがあるんだ、というのが一目瞭然だ。

今回の「大九州合同祭」では、以下の各イベントを併催している。

東方Projectオンリー「大��州東方祭」
艦これオンリー「西海の暁」
アイドル全般オンリー「アイドリルティング♪パーティー」
ガールズ＆パンツァーオンリー「だいきゅうしゅう作戦、開始です！」
オールジャンル同人誌即売会「Comic Stream」
川上稔作品オンリー「外道求同会」
TYPE-MOONオンリー「Servantism」
けものフレンズオンリー「すっごーい！たーのしー！」
ハンドメイドイベント「手功座」

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これに、ステージイベント「(9)-BASE!」や書道講座・フリーゲームコーナー・東方麻雀・模型展示・痛車展示などの各種企画も併催されている。
特に各種企画に関しては、カタログ上で平均1/3ページ程度、画像込の紹介コーナーを設けており、初心者にも分かりやすく説明できているのではないか？と思う。





1年半前の来訪時に指摘させていただいた「イベント内各プチオンリーの配置が分かりづらい」という課題については、オールカラー印刷を活かしカタログ内の配置を色分けすることで、相当分かりやすく改善されたと思う。

もう一つ指摘した「オンリーイベントらしさが見られない」という課題については、様々な要素を詰め込む「合同祭」というイベントの在り方にも関わるため、この在り方を続ける限り根本的な改善は難しいかもしれないが…

ただ、すぐにできそうな事としては、ボリュームの大きい東方は別として、それ以外の各プチオンリーは、１プチオンリーごとに配置の「島」をつくる、という方法が取れると思う。
島を形成できるほどサークルが集まっていない（ぶっちゃけ1桁台）のプチオンリーについては、複数をまとめ１つの島にしても良い。
せっかく各イベントごとの「ノボリ」が装備されているのだから、その「ノボリ」を各島に設置すれば、カタログを見ずとも「この島にはこのプチオンリーがあるのか」と一目瞭然。
参加者にも分かりやすいし、島単位の配置とすることでオンリーの一体感を若干ながら演出できるだろう。

（なおこの方法は、いささか古いが、「大九州」のように多ジャンル合同開催形式を取る「スキマフェスティバル」が取った手法そのままである。「スキマフェスティバル」における各プチオンリーの、オンリーイベントとしての一体感を演出させる手法については、2009年11月05日付『11/3 横浜「スキマフェスティバル４」』をご参照いただきたい）


気になるのは、ステージイベント「(9)-BASE!」だろうか。
新館で1年半前に開催された時は、音響等そこまで気にはならなかったが、今回は本館という音響が伝わりやすい会場ということもあり、離れたところでも音が伝わりやすい。
かろうじて会話はできるレベルだったが、「(9)-BASE!」側からの音量も大きく、大声気味にしないと相手に伝わりづらい。

私も、実は「町おこしセミナーを大九州でやってみるという手はどうか？」と内々に協議していたものの、ハッキリ申し上げて、この音量下で実施するのは気が引ける。これが正直な気持ちだ。
（どこか小会議室でも借りて個室での対応の方がベターかな…）

今回は、「同人誌即売会の楽しさを伝えたい」という趣旨から、即売会内のニコ生放送という新企画に挑んだようだが、この調子では「同人誌即売会の楽しさ」よりも「ステージイベントの楽しさ」が伝わっただけなのではないだろうか？
音量が大きい方が、どうしても目立ってしまうのは世の常である。

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この他、以前より問題提起している「小倉開催・大九州合同祭」のブランド沈下傾向だとか、プチオンリーの在り方だとか、いろいろ考えさせられる部分は多かった。

いかに小倉を盛り上げるか？
サークルが思うように集まらないプチオンリーを、いかに育てるか？

この２つが「大九州合同祭」における目下の大きな課題と考えているが、この辺りについては、イベントの方向性にも関わる話である。
今後色々と数字を分析した上で、じかに主催氏と膝突き合わせつつお話するのがベターと考えている。本稿では、分析も済んでいないため割愛させていただきたい。