昨年冬コミで発刊した『同人誌即売会開催史(1990年代)』の執筆に当たり、筆者は、1990年代における全国各地の同人誌即売会事情も調査した。
各都道府県一通り調べていく中で、香川県観音寺市『サニーコミケ』という同人誌即売会が開催されていたことを知った。

筆者は、香川県観音寺市とのご縁が深い。
今でこそ、アニメ『結城友奈は勇者である(ゆゆゆ)』の舞台として知られる観音寺だが、放映以前にも、市内の某旅館に泊まり、市内の温泉施設『琴弾廻廊』でお風呂を味わったことがある。
『ゆゆゆ』放映後しばらくは無関心だったが、観音寺市のアニメ「聖地」町おこしに関する事例研究を進める中で、急速にご縁が深まっていった。
そういう自分としては、観音寺市で即売会が存在していた!という事実には、反応が目ざとくなるというものw

とは言え1990年代の即売会。2000年以降稼働している同人誌即売会検索サイト「ケットコム」を見ても、「サニーコミケ」の語では引っかからない。
流石にもう存在していないだろう、と思いきや『サニーコミケ』の公式(?)Twitter発見する。
おいおい、まだ存在しているのかよ!今は観音寺ではなく、隣の三豊市にて開催の模様。

元々筆者は、1月27日に観音寺市で開催される『ゆゆゆ』の聖地イベント『讃州中学文化祭in観音寺2』への参加を決め、観音寺入りする予定を立てていた。
そしてこの告知。





午後から開催とな。つまり『讃州中学文化祭in観音寺2』の公演が終わって即『サニーコミケ』に顔を出せば、丁度良いスケジュールになりそうだね。
私は、ゆゆゆイベントを終えたその足で、隣市・三豊市に急行した。


◆◆目次◆◆
1.『サニーコミケ』の歴史
2.現在の『サニーコミケ』は事実上の「お茶会」
3.帰途・ゆゆゆ民の洗礼
  • 1.『サニーコミケ』の歴史


元々、1990年代にスタートした『サニーコミケ』。
当時は、同人誌即売会の形式を取り、市内に存在していた商業施設『サニーマート』の中で開催されていた。これが『サニーコミケ』の語源と言えよう。

その後、観音寺市中心部の市民会館に移動。
市民会館といっても、2017年に建て替え竣工された現在の新・市民会館(通称「ハイスタッフホール」)ではない。建て替えられる前の、旧・市民会館の方である。

「お祭り」的な要素の強い即売会で、当時参加されていた常連と思しきサークルさんの参加予定を拝見すると、愛媛の『伊予っこ』・高知の『つるかめざっか』と共に参加予定に入れていた
この両イベントに参加しそうなサークルが参加しているイベント、ということ。
両イベント(片方だけでも良いが)をご存じの方なら、どういう参加者層かは、何となく察することができるだろうw
(なお、『サニーコミケ』の常連参加者は、現在でも高知『つるかめざっか』の常連サークルであることは申し添えておきたいw)

参考リンク:2009年02月24日付『2/8 高知市「つるかめざっか」レポ』


観音寺時代の『サニーコミケ』は色々とはっちゃけていたようで(汗)、即売会の併設企画として、『ゆゆゆ』でも舞台となった市内の海岸「有明浜」にて【キャンプ】を開催したこともあったようだ。
有明浜が【コスプレフリー】となり、海浜公園内をコスプレ姿で闊歩した、というお話も伺ったw

その後、観音寺の旧・市民会館が老朽化により取り壊し。
これに伴い、2013年から隣の三豊市に会場を移したとのこと。
現在は、即売会というより「お茶会」的な形式ではあるが、年6回・奇数月に開催を続けている。
今回2019年1月の開催に付けられたナンバーは「171」…年季の入ったご長寿イベントたることが伺える。



  • 2.現在の『サニーコミケ』は事実上の「お茶会」


現在の会場は、三豊市豊中町の「農村環境改善センター」。
最寄り駅は観音寺の隣駅「本山駅」。本山から北に約1.5km・徒歩20分程度の道程だ。
三豊市の豊中庁舎にほど近く、市内随一の商業施設『ゆめタウン三豊』も徒歩圏内。駅から遠いのを除けば、比較的アクセスは悪くないと思う。

会場に入ると、中には椅子・テーブルが並べられ、そこに皆が持ち寄ったお菓子も並べられる。
うん。完全に、お茶会の雰囲気だw
入場時に、会場代として200円だけ払う。それが済めば、後は会場内フリーである。
とりあえず、同人誌即売会行脚サークル「STRIKE HOLE」である以上は、「サークル」としての体裁は取っておきたいなーという思いがあり(汗)こんな感じで布陣を取る。

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当サークルの冬コミ新刊「同人誌即売会開催史(1990年代)」も、ご参加の方に手に取っていただいたが「1990年代と言いつつも後半に偏っている」というご指摘をいただく(汗)
うーん、そこはその世代をリアルタイムで見ていた方々からすれば、物申したくなる部分だろう。
筆者の即売会開催史研究も、まだまだ即売会開催データの収集が必要、ということでもある。今後の課題の一つが浮き彫りなった、ということで批評を受け止めたい。


参加者は常連が殆ど。40〜50代の参加者が大半だが、10代の若い子も少数ながら。
老若男女問わず和気藹々やっている雰囲気。
筆者も、観音寺の菓子店『大黒屋』で購入した銘菓「砂銭」を差し入れ。「讃州中学文化祭はどうだった?」と聞かれ、流石地元民だけに『ゆゆゆ』観音寺の状況も気になる様子だ。

その一方、主催さんからはお土産だと「たこ判」「たこ焼き」をいただくが…ちょっと待てや、これ以上荷物が増えると帰りのジェットスター手荷物制限に引っかかるわ!…ってことで荷物を減らすべく、慌てて頬張るw
(後で調べると、三豊市仁尾町の『たこ判 小前』というお店らしい。普段は参加者を近くのうどん屋に連れてくらしいが、今回はそれに代えて『たこ判』を持ってきた模様だ)


この日の企画としては、お正月らしく「書初め」が登場。
どんな「書初め」かは、この画像見ればだいたいお察しいただけようw

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「印象派書初め」とのことだが、筆者は「印象派」に囚われず思いの丈をしたためる。文句あるか。

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そしてその横では、有志が大量のDVDを持ち込んで、テレビモニターで「プリキュア」シリーズを延々流し続けているという展開。プリキュアが、このイベントのBGM代わりである。
プリキュアシリーズは、初代プリキュアから最新作まで皆持っていると豪語されている…いったいこの『サニーコミケ』ってイベントどういうイベントなんよw

挙句の果てには、突発企画で「ベルサイユのばらカルタ」なんてのも始まった。
壮麗なBGMの流れる中、宝塚スターが字札を朗読する。そんなCDが掛けられ、それを元に絵札を取るというスタイル。しかし字札の中身と絵札とが全くマッチングしておらず、「本当にこの絵札でいいの?」と取るのを皆が躊躇するという展開にw

帰りの飛行機もあるので、16時過ぎには中座したが、来場した14時からの約2時間。カオスかつ濃密な、不思議な空間に滞在した。そんな気分である。
このカオスさは、今週末高知で開催される『つるかめざっか』にも通じるものがある。
『サニーコミケ』の常連参加者は、『つるかめざっか』においては主に3階会場(コスプレ広場兼企画サークルのブース)に陣取り、サークルとして参加していると聞く。
『サニーコミケ』は『つるかめざっか』との親和性が非常に高い。そう感じてはいたが、その感覚は、そんな間違ってはいないようだ。



  • 3.帰途・ゆゆゆ民の洗礼


本山駅から、高松方面への電車に乗る。もちろん、ローカル線の普通列車だ。
乗った瞬間、車内が満員・すし詰め状態であることを思い知らされた。
ああ、そうか。今日は観音寺でイベントがあったんだよな。筆者も参加した身だけどw
ちょうどイベントや聖地巡礼・スタンプラリー等も終わり、皆が帰途に就くところ。このスシ詰め状態も、納得せざるを得ない。

高松空港行のリムジンバスが出ている「丸亀駅」で降り、ようやくこの窮屈感から解放された。

ゆゆゆ関連作品『乃木若葉は勇者である』の舞台「丸亀城」の方角を眺めながら、私は、心の中で呟いた。

「嫌な…電車だったね…」