かつて、艦これ聖地開催のオンリーイベントとしては『砲雷撃戦!よーい!』が一世を風靡していた。
しかしコロナ禍に入り、諸々の事情により『砲雷撃戦』は開催されなくなり、いつの間にか終止符を打った。
そして『砲雷撃戦』無き後、聖地開催型・艦これオンリーの「不在」を受けてか、小規模ながらも、自由な発想で開催される即売会が増えていったように思える。

2023年4月には、鹿児島県枕崎市にて、坊ノ岬(同県南さつま市)組オンリーと称し、枕崎沖合の海戦に出撃した艦のオンリーイベントが開催。
同年同月には、神奈川県南足柄市にて、重巡洋艦「足柄」のオンリーイベントが開催。
「地域おこし」などの要素に足を踏み入れず、規模の拡大を志向せず。あくまで作品ファンが集った「同人誌即売会」の枠をはみ出さずに開催している、といった印象だ。

それに先駆けた催事が、2022年6月、秋田県能代市で開催された、艦これ・軽巡洋艦「能代」オンリー『提督、これが能代です!』である。
足柄オンリーといい、艦名の元となる土地での開催も、少し目立ってきたように思える。

【目次】
1,艦これオンリーと「町おこし」要素との断絶
2.中止を経て翌年の開催
3.喫茶店2階のスタッフ控室(?)での開催
  • 1,艦これオンリーと「町おこし」要素との断絶


催事のことを語る前に、筆者の過去における同人誌即売会評論/コンテンツツーリズム研究に関する「総括」的要素も含め、表題の件について少し触れておきたい。

『砲雷撃戦!よーい!』が、コロナ禍に入り開催を取りやめた理由は、公にされていない。
しかし、『砲雷撃戦』とは別の主催が立ち上げ、「艦これオンリー」とあえて銘打たず「舞鶴生まれ艦船娘二次創作作品販売会」と銘打った、『舞鎮駆逐隊』という催事があった。
2022年9月に開催予定も、理由が公にされることなく中止をアナウンスした。

この辺り、舞鶴市(京都府)など艦これ聖地での同人誌即売会開催が難しくなった真相は、公式のアナウンスがなく、自称「事情通」や匿名地元民等の告発ツイートなどで断片的な情報が提供されるのみ。
彼らの発信する情報を妄信するわけにも行かないが、恐らく確実であろう事実としては、

.灰蹈焚劼魘に、艦これオンリー『砲雷撃戦!よーい!』は開催されず
◆慄ね觀眄錙抛瑛諭舞鶴の地域事業者と連携した催事『舞鎮駆逐隊』も、「艦これオンリー」と銘打たなくとも中止に
4呂海豸式は、舞鶴側と協働・連携を深化。舞鶴での公式催事も企画。


といったところであろう。

ここから推測されることとしては、【艦これ聖地で、町おこし要素も加えた同人誌即売会は、艦これ公式の事業と「競合」する】ということ。
ファンイベントたる同人誌即売会は、あくまで公式の作品提供があって成立する。
公式の邪魔になってはいけない。


筆者は、過去「町おこし」要素を絡めたオンリーイベントの聖地開催を、「町おこし」成功事例として分析したこともある。当時の論考を撤回するつもりはないが、「作品と地域との関係性構築」といった観点からの研究・分析が「抜けていた」のも事実である。
公式と即売会とが競合関係に陥った「聖地開催」の事例を見るに、筆者の研究も片手落ちであったと言える。


  • 2.中止を経て翌年の開催


艦これオンリー自体は、版権元も開催を黙認しているだろう。
ただ、艦これオンリーが地域と提携しての「町おこし」に足を踏み入れると、確実に公式と競合する。

即売会主催は、この催事は版権元と関係ありません云々、とよくアナウンスする。
能代オンリー『提督、これが能代です!』でも同様のアナウンスをしているが、昨今の艦これ聖地開催オンリーの事情を踏まえてか、公式サイト上でのアナウンスに独特な要素が含まれている。

イベント『提督、これが能代です!』(以下,本イベントとします)は個人の企画・運営による「艦隊これくしょん」に登場するキャラクター「能代」をメインにした同人即売会です。本イベントは「艦隊これくしょん」関係各社及び実在する艦艇ならびに地方自治体とは一切関係ございません。


「地方自治体」との関係性途絶を主張するのも珍しいが、これも、昨今の艦これ聖地開催オンリー事情が織り成す展開と言えよう。


本催事は、元々2021年6月に開催を予定。
一般参加者も事前予約制の為、筆者は前もってweb経由で予約。代金も決済した。
さらにその前2日間年休を取って奥尻など道南を旅行。土曜日に能代オンリーに顔を出し、秋田空港から名古屋に飛び、名古屋のひぐらし・東方オンリーへ参加…とスケジュールを組んでいた。
ところが、ひぐらし・東方オンリーは翌月に順延。能代オンリーも翌年に順延。奥尻でも飛行機が取れなかったり、秋田⇒名古屋の移動も直行便が運休し、羽田乗継になったり…旅程ほぼ全てが崩壊したw

能代オンリー自体は、翌年2022年の6月開催が決定。
一般参加事前予約制はそのままだが、前年取った予約がそのまま生きてるので、能代オンリーの参加に支障は無い。
本件に関しては「幸い」と言えるが、2022年4月に東北へ転勤。能代が随分近くなった。
新幹線や飛行機に頼らず、その日の朝出発で能代入りできるのはありがたいw


  • 3.喫茶店2階のスタッフ控室(?)での開催


会場は、JR能代駅から徒歩約15分。能代市中心部のロケーション。
近隣には、イオンモールやバスケミュージアムも鎮座。商店街ど真ん中での開催だ。

会場が駅から遠いので、筆者は、秋田駅から都市間高速バスを利用。
市の中心部を通るので、アクセスが捗る。最寄りのバス停から、徒歩5分で会場に到着。

で、会場なのだが、外観はこれ。

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これが同人誌即売会の会場ということで、とたんに「限界即売会」の香りが漂ってきたw
会場が「Lily Cafe」という時点で気づくべきだったが、喫茶店が会場という「新境地」である。

喫茶店だけに、能代オンリーも「ドリンクワンオーダー制」を強いており、ドリンクチケットを1階で購入。
喫茶店の奥に小さい階段があり、それを上る。
二階に入ると、「能代」等身大パネルが飾られ、即売会らしい雰囲気は漂う。

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でも待て、この狭さってさ、「喫茶店のバックヤード」ですよね(汗)
「喫茶店のバックヤード開催の同人誌即売会」と銘打てる、限界即売会と言って差し支えないw

即売会は、2階のカーペットスペースでの開催。
どう考えても、普段は店員さんの仮眠・休憩場所として運用されている感じだ。
こ、この展開は想定外だ(震え)

参加サークルは、主催含め4サークル。募集10サークルと記憶しているが、10サークルだと相当「密」になったと思う。
一般参加者は事前予約制だったが、実は10名のみの限定枠。
この即売会は、選ばれし民のみが参加し得る同人誌即売会と言えようw
(なお、会場の状況を見てという条件付きながら、予約なし一般参加も若干受け入れた)

カーペットルームだけに、椅子テーブルではなく座布団・ちゃぶ台を設置。
埼玉県久喜市鷲宮の「らき☆すた」オンリーを彷彿させる展開だったw

4サークルしかいないので、筆者は全サークルを巡回する。
お店の人がやってきて、サークルにドリンクを届ける。なるほど、サークルさんは即売会会場からドリンクを注文すれば、お店が即売会会場に届けてくれる、という構図か。

筆者は一般参加者なので、1階のカフェに降りて食事。
ドリンクチケットでタピオカを購入し、ハンバーガーセットを注文した。

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なかなかボリューム感ある食事を堪能しつつ、新手の「限界即売会」に出会えた…という評価になろうか?
面白い即売会に出会えるのは嬉しいが、己がクソ即売会ハンター/限界即売会愛好家に成り下がってしまったことを実感した、そんな能代の昼下がりであったw