東北に居地を移してから丸1年。
当然、これをチャンスとばかりに東北の即売会巡りに勤しみたいものだが、コロナ禍で様子見なのか。即売会開催の動きが、全く見当たらない。
岩手ではそれなりに即売会開催の動きは目立つものの、青森や秋田は全く動きはない。
せっかく東北に行ったところで、参加できる即売会が無い。

そんな中、ついに秋田県内で、久々に即売会開催の報を聞く。
県都・秋田市ではないものの、「大曲の花火」で有名な、秋田県大仙市での開催。
本当はサークル参加したいところだったが、筆者が捕捉した時は、既にサークル募集締め切り…
気を取り直し、一般参加で足を運ぶことにした。

【目次】
1.大曲駅から徒歩5分、「大曲の花火」展示館が会場
2.若い世代の創作者を受け入れる努力も
3.今後の課題
  • 1.大曲駅から徒歩5分、「大曲の花火」展示館が会場


会場は、JR大曲駅下車。そこから徒歩5分程度。
駅前の花火通りを抜け、丸子川を渡った先の川沿いに立地。
会場の正式名称は「花火伝統文化継承資料館 はなび・アム」。大仙市の名物「大曲の花火」に関する展示を取り揃えており、大曲観光のメインスポットとも言えよう。
3階・4階が花火の展示コーナー。無料で見学可能が可能だ。

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観光施設ではあるが、1・2階は多目的ホールも備わっており、市民向け公共施設としての要素も併せ持っている。
余談だが、筆者は1月の雪深い中、ここで仕事せざるを得ない羽目になり、強風で地吹雪の襲い掛かる中、この施設に足を運ぶ苦行を強いられた。駅から350m程度の距離だが、遭難しそうな予感すら漂った。
…まあ今回は雪も無い、穏やかな春の気候なんで、そんな心配せずに済むがw

会場の「はなび・アム」は、こういう施設もあるので、即売会も不可能ではないかな?とは思っていた。
だから『だいせんサブカルマーケット』がここを会場に開催すると聞いても、実はそんな違和感はなかった。

開場10分前に、「はなび・アム」に到着。
初動は5人ぐらいかな?と思ったが、開場直前になると、駐車場に停まっている車から多数下りてくる。
なるほど、皆車の中で待機していたわけか。
ということで、初動15〜20名ぐらいで、『だいせんサブカルマーケット』は幕を開けた。

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  • 2.若い世代の創作者を受け入れる努力も


サークルは18サークル。そんなメチャクチャ多いわけでもないが、秋田市内の開催でもなく、大仙市での開催というはじめての試み、加えて過去2年ぐらい秋田県内全域で即売会が存在せず「不毛の地」と化していたことを考えると、充分健闘している。次に繋がる数字だと思う。

これまで2年ぐらい、秋田で即売会が存在しなかったせいもあるのだろうか。
創作のマグマが吹き上がってる、と感じた。
サークルこそ18サークルだが、各サークルともこの催事合わせの新作を用意している。ポストカードやしおり、イラスト集が多い傾向だが、同人誌も、「狼犬の買い方」とか「なまはげ研究本」とか、秋田県内の文化に触れた、内容の濃い作品が目立った。

参加者層を見ると、参加サークルは男女比2:8ぐらいか。一般参加者は4:6ぐらい?
世代的には、昨今の高齢化傾向を受け30代以上が多い。
なお「だすだす」「んだんだ」など秋田弁が館内目立ち、秋田らしさも感じ取れるw

本催事の取組としては、若手世代の受入や取り込みに積極的なところ。
秋田市南西部にある「秋田公立美術大学」の学生さんが描かれたオリジナル作品・同人誌の展示も。
皆レベルが高く、こういう学生さんの「才能」を発揮する場所として、同人誌即売会の存在は大切だ、と感じる。

入場料は300円だが、学生の入場料は無料優遇。最近は学生参加者を受け入れるべく、参加費に「学割」を設けるなど工夫を図る即売会も出てきている。
この手の学生創作者を取り込もうとする取組は、子育て世代のベビールーム設置と並び、人口減少基調の中同人者を取り込む注目すべき取組と言えるだろう。

告知方法も工夫を図っている。
FM放送局に、大仙市在住のイラストレーターさんが出演。『だいせんサブカルマーケット』を宣伝する取組も。
この他、Twitterは無論のこと、TikTokやLINEなど他SNSも積極的に活用
SNSを活用しつつ、地域密着の告知を図る取組を強めている。
その甲斐あって、最終的には126名が来場。初回で浸透も弱い中、この数字は次に繋がるはずだ。


  • 3.今後の課題


気になる点としては、会場「はなび・アム」の駐車場キャパシティだ。
公共交通機関での来場も容易なロケーションとは言え、秋田県内はクルマ社会。皆さんクルマでお越しになるのが基本だ。
秋田に限らず、地方開催の即売会は、車での来場を念頭に置き、駐車場スペースにも気を配る必要がある。

今回は車来場について特に制限をかけていなかったが、会場前の駐車場キャパシティは、20台が限度だ。
今回駐車場の様子を見ていたが、結構来場してたので、駐車場に余裕が無かった。
入れ替わり立ち替わりなので、満車になることはなかったが、あと1〜2台余分に来てたらあぶれてしまうところだった。

次、2回目を秋に実施するとのこと。
今回の成功を受け、県内同人者への浸透度は高まる。
筆者は、来場者が1回目を上回る可能性は、相当高いと見ている。

「はなび・アム」の駐車場キャパオーバーを避けるべく、駐車場はサークル中心の利用とする。
一般参加者向けには、市内他駐車場を案内して、はなびあむ駐車場をなるたけ使わないよう呼び掛ける。或いは公共交通機関の利用を呼び掛ける。利用駐車場の分散呼びかけも必要だろうか。

もっと大きな会場を捜すという案もあるが、「はなび・アム」自体も本催事に非常に協力的だ。
「はなび・アム」の公式アカウントが、『だいせんサブカルマーケット』関連のツイートを積極的にリツイートしているぐらいだ。同人誌即売会をRTで応援してくれてる会場なんて、全国探してもこの大仙以外ではお目にかかれない。
ここまで協力的な会場との関係性は、もっと強化していきたい。となると、会場を変える選択肢は、考えにくいだろう。

ならば、次回開催を見越し、利用駐車場の分散化にも取り組むのが最適解だと思う。
そして、今後も「はなび・アム」との関係性を継続しつつ、即売会の定期開催を目指していただきたい。